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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

名探偵コナン「少年探偵団VS老人(シルバー)探偵団」感想

2015年5月9日放送『名探偵コナン』第777話が、かつてレスキューポリスシリーズや『特捜ロボ ジャンパーソン』などで脚本を執筆していた扇澤延男さんの脚本ということで、視聴。

※なお、筆者は『コナン』は最近の流れとか全然つかんでなくて、原作は20巻ほどまでの知識。最近GYAO!での配信やレンタルビデオで扇澤さんの担当エピソードを数本視聴しました。

兎に角思ったのは、この番組、尺がカツカツだなあ、ってこと。30分弱で前半事件、後半解決編、という構成はある意味潔いですが、脚本が大変そう。原作エピソードは何回にも分けてやるみたいですけど、さすがに。

推理番組としては、多分年齢層のこととか考慮しているんだろうけど、あまりトリックは凝ったものではなく、前半で十分犯人が分かる内容。「真犯人が推理を誘導して犯人を仕立てあげるが、迂闊な一言でバレてしまう」というプロットが、以前扇澤さんが書いた「見事すぎた名推理」と同じというのも気にかかるところですが、今回はその「迂闊な一言」があまりにもわかりやすすぎる置き方。セリフの内容も演技もあからさますぎて、もうちょっと抑えることができなかったのかと。

次に、気になるのは真犯人の動機について。ある人物の死に対する被害者の態度への反感、いわば怨恨が原因ということになるのですが、その「ある人物」と真犯人とのつながりで示されたのが「同じアパート」だけなのが、ちょっと弱く感じてしまいました、「お年寄り特有の狭いコミュニティでの仲間意識」「恋愛感情」など色々と推測できるのですが、あくまで推測。加えて被害者は完全に人間のクズとして描かれ、真犯人は探偵団募集の条件に「悪を憎む正義の心」と書く、目的達成のために自作自演の盗難事件や被害者の動向を調査するなど計画的な犯行と、怨恨はただのお題目だった(本当は「正義」を振るいたかっただけじゃないのか?)ようにも見える形になっているため、ますます複雑化。一応、真犯人の涙で、最終的にやっぱり怨恨であり、正義などなかった、という形にしているのですが…尺の都合で描けなかったのかもしれませんが、ここはどうにか描いてほしかったところ。

しかし、この老人探偵団募集広告の内容が前述の「条件:悪を憎む正義の心」に加え、最後に「共に乱れた世を正し 喝を入れようではないか!!」とか書いているのが、なんだか扇澤さんが脚本を書いた特救指令ソルブレイン』第9話「わしら純情放火団」に通じるものを感じます。この募集要項を書いたのは扇澤さんなのかコンテや監督なのかは知りませんが、自らの本当の目的を隠して適当な目的をでっち上げ、社会に不満を持つ老人たちを煽るという構図が実にそっくり。とはいえ、老人探偵団がやったことは暴力的な活動ではなく、真犯人以外は本当に善意で活動しており、特別に人への不満を見せない(まあ、真犯人が作り上げた「金髪サングラスで、頬に傷のあるアロハシャツの長身な若い男」が「いかにも悪そう」とか言いますけど)など、悪意をほぼ持たせなかったという点で、あちらよりもかなりすっきりしていますが。

そして、最後は例え小細工をしても、被害者と繋がりがあることは警察が調べればすぐに判明することで、そうなる前に自首した方がいいと諭すコナンたち。老人探偵団も恨み節一つ言うことなく自首を勧め、それを受け入れる真犯人、と人情ものに。

なんですが、うーん、既に70歳を超えた老人が殺人罪で服役後に「やり直せる」のか?という疑問や、前述通り計画的な犯行を企てる真犯人に善性があるとそこまで信じられるのか?という疑問が浮かんで、いまいちいい話になりませんでした。いくら人のことを思っていても、殺人は殺人だし。

とはいえ、真犯人は確かに老人探偵団を利用したが、その中で探偵団の誰かを犯人に仕立て上げる訳ではなく、架空の人物を作り上げて犯人にしようとしたということで、ちょっと人の好さを見せたりもしているのは良いところか。まあ、それも結局、自分が罪から逃れるためですけど。

面白いところを上げると、前半で老人探偵団はそれぞれ名前の似ている少年探偵団メンバーに自分を重ね合わせ、少年探偵団がそれに反発、という流れを見せてますが、その中で真犯人はコナンと重ね合わせ「無理矢理ダブらせなくても」と呆れられるという描写が入ります。

一見すると余り物のコナンと重ねただけ、なんですけど、コナンの普段の行動を考えると彼は正体を隠している身であり、自分以外の誰か(小五郎など)を名探偵として仕立て上げ、遭遇した事件を解決しつつ、目的達成のため動いている、という立場。

それに対する真犯人は、自作自演の事件解決で自ら名探偵を演じ、自分以外の誰かを目的達成のため利用して、本来の目的と自分の正体(殺人犯)を隠そうとした、という立場で、コナンと対になる行動を演じている

……勘ぐりすぎかもしれませんが、メタルヒーローシリーズでの扇澤延男さんはこういう捻った構成が冴える人だったんで、意図していても不思議じゃない。

総合すると、1時間ドラマでやれそうなプロット、というか話に入っている要素を考えると30分はきついなあと思わせる、光る部分はあるけど色々惜しい話、って感じでした。

そして、後日談では少年探偵団に弟子入り志願しようと全力ダッシュの老人探偵団たち。それを見たコナンが「シルバーパスいらないだろ」と呆れるオチ。

老人パワー、恐るべし。