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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

超力戦隊オーレンジャー18話感想

ニコニコ動画で配信された『超力戦隊オーレンジャー』の感想です。

 ナレーションに「自称・悪の天才」と呼ばれるジニアス黒田

前回もあまり頭良くなさそうな肩書だなあと思ってましたが、こうされると余計マヌケっぽく(笑)

前回ラストから、改めて隠れ家に逃亡した黒田親子。茂を治療する黒田。

茂の真相…彼は2年前に交通事故で死亡しており、それを信じたくなかった黒田はそっくりのロボットにその記憶を移植して、我が子として育ててきたのだ。

「でも今じゃお前の方がずっと大切だよ。人間の茂はちょっと車にぶつかっただけで死んでしまったが、マシンのお前は簡単には死なない。やり様によっては、人間の何百倍のパワーも持てるし、武器だって内蔵することができるんだ」

ナチュラルに「機械=武装化」の方向に偏っていく黒田。

この偏り方はちょっと、人間の弱さに対する絶望とかそういうのと違うところにありそうな気がするんですが、事故がなくても危ない人だったのでは、黒田(^^;

アジトを突き止めたオーレンジャーが向かうと、バラノイアの円盤が先に向かう。オーレンジャーがたどり着いたとき、アジトには茂だけがおり、黒田はバラノイアについて出ていったという。

「我々の仲間になりたいだと?!ハハハ、バカも休み休み言え!フフフハハハハハ……」

「何がおかしい?私は君たちマシンが大好きなんだ。だから仲間になって、オーレンジャーを倒すのに一役買ってあげようというんじゃないか」

「ふざけるな!人間のお前に何ができるというんだ?」

スクラップ置き場に連れて処分しろと命じる皇帝に、オーレンジャー打倒の秘策があると告げる黒田。

「それにお前たちにない、素晴らしいパワーもある!」

「何!パワーだと?!」

憎しみのパワーさ…息子も簡単に死んでしまった…そして私の妻も。人間は弱すぎるのだ…そんな弱い人間を作り出した神が私は憎い。そんな神を敬い、何も気づかない愚かな人間が憎い!地球上のすべての人間を滅ぼし、マシンが神に代わってこの地上を治めればいいんだ。わかるかな?この憎しみのパワーが!」

黒田が発するあまりの狂気に、バッカスフンド、言葉を詰まらせてドン引き。

この「人の憎しみ」は、脚本の杉村升がメインで手がけた『レスキューポリスシリーズ』でも度々テーマとして扱われ、杉村さんの外れた『特捜エクシードラフト』第46話で「憎しみは愛の裏返しで生まれるもので、人を愛する権利を奪えないように憎しみも奪えない」として、事実上「ヒーローの敗北」で決着した内容でした(こちらの脚本は扇澤延男)。

このエピソードではその「愛の裏返しで生まれた憎しみ」を、弱い人間を生み出した存在(=神)への憎しみ、そして人間の弱さそのものへの憎しみとしました。

妻も、息子も、神が人間を強く作っていれば死ななかったはず、何故神は人を弱く作ったのだ?という問いかけ。そして、完璧な機械は神をも超えるのではないか?とする、狂気の果てに見出した答え。

で、そういう問いかけの前にはまず「神はどこにいるのか?そもそもいないのか?」という問いかけと答えが必要になるはずですが、黒田は根拠なしに「神はいる」と信じ込んでいる。

それは何故か――で、ここからは完全に私の妄想なんですが、黒田もまた、人間だからでは?茂の死を受け入れられず、人間ゆえの愛と憎しみという「力」と同時に「弱み」になる要素を捨てきれずにいる。その「弱み」を受け入れられず、「力」だけ主張して、自分が作り上げた「神」に責任を転嫁することで逃げようとしているからでは?

神はどこにもいない、いるとすればそれは己の中、ということか。

「どこにでもいるくせに言葉しかくれない神なんて、いないのと同じだわ!」――アニメ『純潔のマリア』第9話より、マリア

「人間を滅ぼそうとする「神」に、立ち向かいそれでも生き延びようとする人間」というのは『サイボーグ009』などで石ノ森章太郎が扱った題材。杉村升は『仮面ライダーBLACK』のメインを務めるときに石ノ森作品を読んで、そのカラーをつかむところから始めたとのことですが(おそらく、環境問題や行き過ぎた科学技術への反発などをよく扱うのはこの影響)、その影響から進んだ答えの一つとして出てきたのがこのジニアス黒田、というキャラクターなのかもしれません。

本筋に戻ります。

吾郎たちは三浦参謀長にアジトで発見したフロッピーディスクを渡す。しかし吾郎には気にかかることがあった。何故黒田は我が子を置いて逃げたのか?

昌平と桃は茂を警護。父の優しかった姿を思い出す茂。

「でも、みんな嘘だったんだ。その思い出は、みんな死んだ本物の茂くんが経験したことで、僕には何もないんだ」

作られたロボットの哀しみ。完璧なマシンを目指して作ったロボットの実態が空虚、というのはなんとも皮肉です。

まあその記憶、そもそもジニアス黒田が勝手に植えつけたもので、死んだ茂くんが本当にそういう経験してたかも怪しいんですけどね!

黒田、事故の前から案外ヤバそうな人っぽいので、本当はえげつないアレやコレやを我が子に行った上で、捏造した記憶を植え付けていてもおかしくない。

それは穿ちすぎですが、そういう部分も含めて、ロボットの記憶や思い出という部分の悲哀もあるのです。ロボットの茂くんには本当は経験したことがない好きな思い出をインプットできるわけで、それは本当に思い出なのか?それで生きていると言えるのか?という部分の謎もまた考えれば考えるほど膨らんでいきます。

……こうして見ると、虚淵玄が作風で影響受けてるのは、井上敏樹よりも杉村升の方かもしれない。公の使命と個人的な目的の葛藤とか、こういう機械人間系のテーマ、マッドサイエンティストの扱いなどなど。虚淵さん、『仮面ライダーBLACK』の終盤に衝撃を受けたということですし。杉村升井上敏樹が扱うテーマって近いものがあるのですけど。

また与太話にずれたので戻ります。

茂のそんな思いを打ち明けられた昌平と桃に、金属の蔦のようなものが襲い掛かる。連絡を受けた吾郎・裕司・樹里は向かうがそこにいたのは気絶した茂だけ。周辺を捜索中に三浦参謀長は吾郎に連絡を入れる。茂はただのロボットではなく、武装が施されていた!

た、確かに伏線はありましたが、どの段階で武器を入れたジニアス黒田?!設計図がいつのものか不明ですが、前回から今回冒頭の修理で入れたとは考えづらいですし、最初から仕込まれていたのだろうかやっぱり。

そして、設計図に「ATOM」の文字を確認。「交通事故で死んだ我が子の代わりに似せたロボットを作り愛する」というのはまさに『鉄腕アトム』のプロットで、日本のロボット漫画の原点へのオマージュということを示したようです。

茂の周囲に戻ってきた樹里、その彼女を金属の蔦が襲う。駆けつけた裕司と吾郎に向き直る茂は、頭部がロボットのそれに!

アトムオマージュなのに、ロボットヘッドのデザインは石ノ森系(笑)

内臓ビーム兵器と口からの火炎放射を作動する茂。黒田は茂を遠隔コントロールして、油断したオーレンジャーを排除しようとたくらんでいたのだ。吾郎と裕司は変身、金属の蔦の出所を探して、ある洞窟にたどり着く。そこには拘束された三人とマシンと融合した黒田、その腹部に据え付けた茂の姿があった。

「嬉しいだろう茂?私もようやくマシンになった…これからも、いつも二人は一緒だからな」

自ら望んだ機械の体を手にしつつも、弱さと力の根源である愛と憎しみを捨てきれない黒田という捻じれた図。完全に人間の姿じゃないのに黒田の顔は一応残っているのも、その異様さを際立てます。

そして、茂の内臓ビームと火炎放射でオーレッドとオーブルーを攻撃、さらに蔦で締めあげる黒田。

「黒田!それでも父親か!こんな真似をして、茂くんが可哀想だと思わないのか?!」

茂に対し、体はロボットでも心は人間だろうと説得するオーレンジャー。すると茂は火炎放射器を止める。

「パパ…パパ!やめて!」

目から液体を流す茂はビームで蔦を撃ち抜いてオーレンジャーを解放、さらに父から離れて人間の姿に戻った!それを見たバッカスフンドは、黒田に協力していたマシン獣バラアイビーに黒田の始末を任せる。

茂とバラアイビーが離れたことで、黒田は椅子に座っていた格好になっていたことがはっきりわかり、同時に茂のいた場所は父の膝の上だった、ということが判明するのは秀逸なセットと演出。父の意に反して立ち上がった茂が、親の元を離れ一人の人間として自立した、ということのメタファー。

同時に、完全な機械である茂が人間として、息子としての愛でこれを打ち破った、という流れ。黒田は愛と憎しみの弱みを受け入れられなかったために、愛ゆえの苦しみを知る茂に負けたのだ!というのは妄想入ってますが(笑)

愛の奇蹟、は使いすぎると安っぽい便利ワードになってしまうので個人的にあまり使わないでもらいたいのですが、今回は愛の内容を父と子(黒田の妻)のクローズな家族愛に絞り、そのポイントで固めて、また愛」という言葉そのものは一切使わないというところが素敵。まあ他に理由づけは無いので、単純な愛の奇蹟以外の何物でもないのでしょうが。

黒田自身と茂を狙うバラアイビーに、自分は裏切られたのだと悟る黒田は、バラアイビーに光線で立ち向かうも、相手の方が実力は上。

「逃げろオーレンジャー…茂を、頼む……!!」

そして、黒田は無残にも殺されてしまう。最後に茂を託すこのセリフで、やはり黒田の敗因は「人間を捨てられなかった」ことだと示されます。同時にその「人間」として立ち上がった茂がオーレンジャー勝利の鍵となったのが因果。

地上に脱出したオーレンジャーはバラアイビーと対決。オーレッドが蔦を斬り、超力ライザーで一刀両断し、久々のビッグバンバスターを浴びせて撃破後、巨大化バラアイビーにオーレンジャーロボで応戦、撃破といういつもの流れに。

戦い終わって、茂の下に駆け寄るオーレンジャー。父の死を知る茂…

「いいんだ、僕も死ぬから」

「何言ってるんだ。人間はね、どんなに苦しくても、死ぬなんて思っちゃいけないんだ

隊長、言っていることは非常にヒーローらしくて素晴らしくてかっこいいのですが、ちょっと怖い。

「ごめんねオーレンジャー。パパ悪い人だったけど、僕好きだったんだ……」

オーレンジャーに礼を述べて動きを止める茂。その死に泣き崩れるオーレンジャー……桃役の珠緒(さとう珠緒)さん、本気で泣いてませんか。

と、そこに現れた参謀長。

泣くなみんな!茂くんは死んではいない…機能が一旦停止しただけだ!

ええーーーー?!!!

武装解除した上で私の手でいつか直して見せるという参謀長、そしてその後、そこには元気に走り回る茂くんの姿が!

あっさり生き返ったァッ?!!

生前の父がそうしてあげたように、茂くんとりんどう湖ファミリー牧場で遊ぶオーレンジャー

「茂くん、君は人間の心を持っている。人間はどんなつらいことがあっても、それを乗り越えていく勇気と強さを持っている。だから君も、頑張ってくれ、茂くん!」

最後は吾郎がヒーローらしく語って締め。

えーと、この語りは確かにこのエピソードのまとめとしてはとってもいい感じだと思うのですが、しかし、えー……ロボットの扱いってそれでいいのか

敵がマシン帝国であるからには、どこかロボット差別的な感じの話に落ち着けざるを得ないのでしょうが、しかしこのオチ……。父を失い残された茂はその精神面のショックは乗り越えていけるでしょうが、肉体の成長は訪れないし、理屈の上では不死にもできるわけで、そうなったときの哀しみはおそらく人間には理解できないものなのでは、となると「人間の心があるから大丈夫!」は無理があるんじゃないかなあ。

人間の心の強さ・弱さにスポットを当てたエピソードとしてはまとまりはいいんでしょうけど、茂のロボットとしての苦しみ・悲しみを結局理解できる場面や人を置くことなく「君は人間だ!」で決着させるのに、普通に生き返らせる、というのはどうなのかなあ。そこのところ、例えば後日に遊ぶシーン抜きで復活を明確にせずごまかしておけば違ったのだと思いますが、それで片づけるのはどこかから要望があって無理だったか。ロボットの存在に「ロボットとしての「個」の尊重」を通した『特捜ロボ ジャンパーソン』はいろいろ突き抜けていたんだなあ。

そして何より、父・黒田は息子ロボットの命を案じて死んだのに「機能停止しただけだ!」とか平然と言い放つ参謀長が超ドライ&マッド。

思いっきりロボット差別主義者の参謀長、そうでもないとバラノイアに対抗できないかもしれませんが、実は黒田以上の危険人物では。

今回、面白かったのは面白かったのですが、う、うーん、オチが…これで、いい、の、かなあ?かなあ??

次回、新ロボ登場か。