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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

Go!プリンセスプリキュア38話感想

『Go!プリンセスプリキュア』の感想。

  凄かった。

 正直、ここまでで一番、テンション上がっています。文章も大増量。

 冒頭からロボットゼツボーグとの対決。……『スマイルプリキュア!』を思い出すのは、たぶん気のせい。撃破後、フローラこそがプリキュアチームの軸にあることを知るクローズは、不敵な笑みを浮かべる。

 いつも通りのランニングから登校したはるかは、隣のクラスの生徒を名乗る黒須という少年から、夢を追って頑張るようはげまされる。

 「初めてだ……私の夢、からかわなかった男の子。カナタ以外だと、初めてかも!」

 藍原少年は全力で土下座案件。

 現在でも交流ある幼馴染男子が他に出てこないのですが、とりあえずはるかに盛大なトラウマを植え付けていることは間違いない(笑)

 そんな中、仕事に出るためしばらく学校を離れるきららと、父に呼ばれて会社のパーティに出るため同じく離れるみなみ。みなみははるかとトワに遠慮して断ろうとも考えるが、間に入ってきた黒須とはるかの押しによって参加することに。

 「夢、か……僕には、よくわからないな」

 放課後、バイオリン工房でカナタとはなすはるかだが、記憶を失っているカナタは夢を考えられず。そんなカナタに欲しいものを聞きだすはるか。

 「特に、無いかな」

 少し考え込んでから苦笑いをして返す王子。

 「夢」と聞くと度々曇った顔を見せていたカナタですが、記憶を失っている今はその失う前の記憶が持っていた夢への意識を抱えているのか、と思うとこの後の展開にも強く響いてきます。

 学園に戻ってきたはるかは考え込むが、そこに翌日開かれる絵本展のチラシを飛ばしてしまった黒須が。黒須はゆいの夢が絵本作家であることを知っており、よければ一緒に行かないかと誘う。はるかはゆいの夢のために賛同し、黒須に不信感を抱くトワも同行。

 後半の展開につなげるためか、今週のはるかは他人の夢に賛同し、そのために自分の力を惜しまない姿勢がやたらに強調。

 翌日、みなみときららを送り出して、トワとゆいも見送るはるか。ここではるかが「黒須と二人で」と言い出すのにゆいが動揺し、はるかがそれがどういうことか気づいていない、と、はるかが恋愛に微妙に鈍いことを示していきます。

 以前、みなみの婚約者騒動では一番動揺していた気がしますが、ゆうきとか王子とかの扱いを含めると、恋愛感情はまだ理解できなくて、単に「婚約=結婚=大人!」という考えと「みなみに不要とされる」ことが問題だったのか(^^;

 若干、はるかの恋愛事情が怪しくなりますが、ギリギリ破綻しないレベルで、かつこれも伏線になって生きてくるのが今回の恐ろしいところ。

 全員を送り出してパフ、アロマと共に、カナタ宛の先日の演劇のお礼を選ぶため買い物に出るはるかは、バイオリン型のアクセサリーを購入するが、その間にパフたちを見失う。

 ここで、店の中に入るはるかの陰から、学園男子生徒の脚が映り、自動ドアが閉まって隠れる、というホラー演出が秀逸。

 そして、ペットショップに売り出されるパフとアロマ。

 カナタが助けますが、一歩間違うとギャグの演出だ(笑)

 パフたちを探すはるかに、まだ時間があるからとやってきた黒須。雲行きが怪しくなる中、二人でパフたちを求めて林に。

 「さっきね、ああ、私一人なんだなーって、急に寂しくなっちゃって……いつも、みんなと一緒にいたから」

 「ハハ……気にすることはないぜ。お前はこの先もずーっと一人なんだからな」

 怪しげな言葉を発する黒須。

 「お前は自分で仲間を送り出した。お前の仲間もお前より夢を……大事な大事な夢を選んだ。」

 「黒須くん?」

 「言ってたよな、人の夢を応援したい、守りたいって。つまり、夢を大事にすればするほど、お前は、独りぼっちになるんだよ!

 黒須の正体は、クローズの変身だった!

 ……バレバレです(^^;

 それはそれとして、ここまでの『プリンセスプリキュア』は「夢は自分の意志から掴むもの」であり、そのために立ちあがるのを支援するヒーローとして描かれてきたのですが、ここでそのアンチテーゼに「夢を追うことが孤独につながる」と入れてきたのが面白い展開。

 そのころのゆいとトワは、絵本展がディスダークの策略による偽のイベントであることに気づき、現れたフリーズ&ストップと交戦していた。

 本当に孤立無援で、クローズとの闘いに持ち込まれるキュアフローラ。

 「俺にもやっとわかったぜ、夢の素晴らしさが。寂しいって言ったな? その通りだ。夢はお前たちをバラバラにする! 夢はお前を追い詰める! お前たちの大事な夢は、お前を絶望させる悪夢でもあるんだよォ!」

 圧倒的な力を前に、苦戦を強いられるキュアフローラ。そこにカナタも駆けつける。

 うつぶせに倒れ込んだフローラだが、カナタ王子との出会いを思い出し、目を見開くと、ハート型の花びらが目に映る。この演出、28話でもスカーレットが炎をともす演出で似たような展開を見せてますが、コンテが同じ人でした。

 「絶望なんかしない! 確かに私、寂しいと思った! だけど! ……だけど! 一緒にいなくても、私は、みんなに支えてもらってる! みんな自分の夢に向かって頑張ってる! そう思うと、自分も頑張ろうって思えるから!」

 「離れていても、私の夢を支えてくれる人がいる! それだけで、心強いから! だから寂しくたって私は、夢を諦めずにいられる!

 上で「『プリンセスプリキュア』は「夢は自分の意志から掴むもの」であり、そのために立ちあがるのを支援するヒーローとして描かれてきた」と書きましたが、ここでフローラはその点について大きな問題を見せます。

 はるかは自分の夢を諦めないことを理想とし、それに対して自分を肯定することを求め、それを人に貫いてもらいたいと考えてプリキュアの戦いを続けているのですが、では肝心のはるかはこれまでどうだったのか?

 これまでの春野はるかは努力すれば大体のことは実現できる高いポテンシャルを有する人ではありましたが、一方で努力をする前の「出来ていない自分」に対する評価を過剰に低くする傾向が度々ありました。

 もちろん、それをバネに突き抜けた例があるのですが(18話、37話)、それと同時に度々「他人に貢献できない自分は無用ではないか」と考える傾向もあり(15話、32話)、そちらの解決策は「他人が肯定してくれる」というものに偏っており、今回はそちらが強烈に押し出されています。

 それ自体は悪いとは断言できませんが(自分でできることに限界があるのは確かなので、自分を肯定してくれる他人の存在を頼ることも時には必要、と25話や27話で示されています)、今回の場合は大きな問題として立ちふさがりました。

 自分の信念を強く抱いているために自立支援ヒーローとして強く振舞える人、という印象だったキュアフローラが、実際のところは誰よりも自己肯定ができず、故に度々苦しみ、他人の存在なしに自分を確立できずにいる!

 キュアフローラの信念と理想、それに対する身の振りようのズレが、今ここで大きく噴き出してきました。

 諦めず攻撃するフローラはクローズの張るバリアにひびを入れるも、力及ばず地面に叩きつけられる。駆け寄るカナタ。

 クローズはカナタを似ているとしながらも、夢の力を持っていないことから別人と判定。物証があるのでここから別人と見るのは無理があると思うし、記憶がないから夢を失ってしまっているとした方が今回の展開はしっくりくる(&フォローも効く)ので、流石にここから「実はそっくりさんでした」はやらないでほしいなあ(^^;

 それやっちゃうとトワが見ず知らずの人をお兄様呼ばわりしていることになって、もっと可哀想になるし!

 「どうして、こんなに傷ついてまで、君は……」

 「カナタが、支えてくれたから……プリンセスになる。強く、優しく、美しい、みんなの夢を守る、プリンセスに……それが、私の夢でしょう?

 ……ついに、他人に聞いてしまった。

 「夢だから」ではなく「夢でしょう?」としているので、間違いなく意図的なものです。

 ボロボロでも笑顔を絶やさずいるのがはるからしいですが、はるかがどこまでも信念を貫くならば、自分の夢の所在をカナタに拠ってはならないし、ここでカナタに「自分の夢が何だったのか」を聞いてしまったのは、この時点でヒーローとして敗北。

 「……あの男の、言う通りだ。夢……夢が君を追い詰める。」

 表情を曇らせるカナタ。

 「はるか。もういい。もう頑張らなくていい。これ以上、君が傷つく必要はない!

 「え? カナタ、何を言って」

 「君をそうさせているその原因が、僕にあるというのなら、僕のせいで君が夢に縛られているのなら……僕が、間違ってたんだ

 はるかを想うあまり、過去の自分の発言を否定してしまうカナタ。

 「夢が、君を傷つける。夢なんて、そんなもの、もういらない」

 「やめて!」

 王子との出会いの回想が、動きのない静止画の連続になるカットが印象的。

 「はるか、君は……プリンセスになんてなるな! なるんじゃない!

 カナタは、はるかが追っている「夢」がはるかに負担を強いて、必要以上に傷つけているのがどうしても耐えられなかった。だから「春野はるか」を救うために「キュアフローラ」を否定する道を選んだ。

 カナタの考えは非常に納得できるのですが、今回のはるかは自分を肯定できていないこともあり、「春野はるか」と「キュアフローラ」を切り分けることができないために、深く刺さっていきます。

 さらに、はるかは恋愛感情(個人的な狭い範囲の愛)に疎く、そこでカナタの想いを理解することができない

 故に、カナタが「キュアフローラ」を否定したのは「春野はるか」を共に否定されたとしかとらえられず、死刑宣告に等しいものとなる。

 そして、それは敵からいくら言われてもはるかにとっては笑い飛ばせるものなのですが(「笑おう、スカーレット!」)、今回それを言ってきたのは記憶を失っているとはいえ、過去に自分を肯定してくれた最も信頼している人からだった。

 視聴者から見れば記憶を失っていることと、前述通りカナタの考えも間違いだと言いきれない面があるので一概に非難できないのですが(とは言っても「夢の否定」と「自己の否定」は、本作の世界では最も忌むべき最大の悪行ですが)、例え記憶を失っていても、名を変えようとバラの香りは変わらないように、カナタはカナタなのだとはるかは考えているのだから、そのダメージは決して軽くなりません。

 その上、今回カナタがこのような結論を出したのは記憶を失い、かつて抱いていた夢も失い、その力を持ち合わせていないからなのですが、「少しずつ取り返せばいいのだから、今は記憶を失っていてもいい」としてきたのは他でもないはるかである、というのがとことんまで凶悪。

 はるかの眼から光が消え、絶望の森のイバラが大きく育っていく。走り去るはるかを、追いかけることができないカナタ……。

 人物描写の積み重ねが非常に丁寧な本作ですが、その丁寧さを恐ろしいほどに生かした、強烈なエピソード。また同時に、ここまでのシリーズで描かれてきた主張に対するアンチテーゼを詰め込み、その暗黒面をも指摘し、強調。

 ……「他人の存在に拠る自己形成の危険」「他者を想う感情(愛)を絶対正義とみなす危険」というのがやたらに強調されていて、全体として前作『ハピネスチャージプリキュア!』へのアンチテーゼが見えるのは、穿ちすぎなのでしょうか(^^;

 年間のシリーズとしては、ここで無敵ヒーロー化が進行していたキュアフローラ完全敗北ということになり、今後の展開次第で作品の善し悪しを決めると言っても過言でないほどの、大きな山場を迎えました。

 この谷を完璧に超えることができれば、傑作になると思うのですが……次回、どうやらクローズが再退場の予感が見えて、もうそんな時期かと再び話数を見返して思うところ。

 脚本ローテから言えば伊藤さんか高橋さんなのですが、さすがに次回はメインの田中さんが書くかなあ。本作の節目のイベント戦はいい時と悪い時で差が結構激しいのですが、傑作が見たい。