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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

鉄血のオルフェンズ 18話感想

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の感想。

 無数の軍勢をにらみつける三日月たちだが、全世界の人々にクーデリアがドルトコロニーの惨状を呼びかける。ギャラルホルン側はその放送を阻止しようとするが、アフリカンユニオンを通じてノブリスが手を回したことにより、放送を阻止することができない。

 「ギャラルホルンに私は問いたい。あなた方は正義を守る存在ではないのですか? これがあなた方の言う正義なのですか? ならば私は、そんな正義は認められない。私の発言が間違っているというのならば、構いません。今すぐ私の船を撃ち落としなさい!」

 ……ここまで感想で私、何度かネタのつもりで「フォー・ジャスティス!」と発言してきたのですが、ここでストレートに「正義」という単語が飛び出してきて、戸惑っています(^^;

 いや何となく、私の意識としてはここまでの本作「純粋な善とか正義の類は存在するけど、通用はしなくて、しかし存在はする」というイメージで、そこで今まで劇中で「正義」という単語を使ってこなかった(加えて予告で「ジャスティス」を茶化したりもした)のは意図的なものだと思っていたのですが、いきなりクーデリアがそれを飛ばしてきたのには、困惑の方が強くなってしまいました。

 クーデリアが普段から正義を主張していたり、あるいは支援者みんな「正義」を基にクーデリアを持ち上げていたのならわかりますが、本作にそういう脈絡は一切なく、むしろみんな自分たちの幸福や権利を主張するうえで「正しさ」とか「正義」を使わないのは概念で存在してもそういう”言葉”が存在しないからではないのか、って思わせるぐらいでした。

 ここで上に述べた「通用しない善」を「正義」と呼んで作中で定義しなおし、その実態を問いかける物語になっていく、という意図かもしれませんが、いくつかその「善」を描いてから「それが正義(かもしれない)」というのを積み上げた上でクーデリアが「あなたたちの正義を認めない」と言うのではなくて、いきなり無の状態から「正義」という言葉が飛び出してきたようになっています。

 何しろギャラルホルン側でさえ「正義」という言葉をほとんど使っていないので、正直申しまして、このクーデリア演説の内容は明後日の方向を向いている、としか思えません(^^;

 なんというか、異次元から「正義」をつかさどる霊が降りてきてクーデリアにしゃべらせたんじゃないか、って違和感。

 そんな明後日演説を聞いての三日月が「声だけで止めた」とクーデリアを持ち上げるのも、どうなんだろう(^^;

 視聴者視点では三日月が知らないところでクーデリアが手を回しているのが見えているので「声だけ」はあり得ないのですが、前回三日月がクーデリアの行動力に見た「凄さ」と実践してみせた「凄さ」とが重なって、混線した感じに。

 三日月がこの二話分で続けた「凄い」に説明をいちいち乗せるのが、これまであいまいだった「クーデリアの何がすごいのか」を視聴者に見せるための展開であるのはわかるのですが、わかりやすすぎて却って胡散臭く感じます。

 それを見たチョコ影(仮面の男)はクーデリアの力だけでなく「鉄華団なら」も加えるので、若干こちらに関しては軌道修正して、やたらクーデリアの根拠なし持ち上げが続くのを緩和しましたけど。どうでもいいけど、トドがやけに綺麗な服着てるな(笑)

 ギャラルホルンにマークされてしまったため、今までの航路を取ることができない鉄華団に、モンターク商会を名乗ってチョコ影が通信を入れてくる。チョコ影が持ちかける「商談」とは?

 場面移動して、アインとガエリオの会話。アインも強くなることを求め、阿頼耶識を考えるがそんなものを受ければ人間ではなくなる、とガエリオ。

 ここでアインは火星出身であるがゆえに差別を受け、そこで理解してくれたのはクランクだけだった、という過去を話すのですが、尺が足りないにしてもアトラや昭弘やビスケットみたいにやたら説明的に過去話を入れてくるのはもう正直うんざりしているところですし、私個人としてはアインくんの過去はどうでもいい(笑)

 ……ていうか、予告でアインがやたらにガエリオを持ち上げる発言をしていたことや今回のガエリオに対する態度など、どうも私の眼にはアインくんが「自分のことを唯一認めてくれた人が亡くなって、代わりに新しく自分を受け入れてくれる人(ガエリオ)ができたからそっちになびいている」ように見えるのですが。

 えー、つまりですね……アインくんは犬です(笑)

 今回「二尉」に戻りましたが前回は「さん」で呼んでますし、新しいご主人出来たから前のご主人忘れかけている、みたいな感じで、多分ガエリオが死んだら今度はクランクのこと呼び捨てにするよ!

 回想のクランクさん、「周囲に惑わされずお前という人間の生き方を見せるんだ」とすごくいいこと言ってますが、どう考えてもそうなってないのはすごい皮肉。

 アインくんのあだ名候補に一瞬「忠犬イチ公」というのが浮かんでしまいましたが、さすがに蔑称染みているのでやめておこう。

 なお、それに対して「まるで俺がお前をバカにした連中と同じだと言いたげだな」とけん制して狼狽えさせるガリガリくん

 三日月に対して「火星人は火星に帰れ」と言い放っています。

 場面はまた鉄華団。チョコ影はノブリスとマクマードが得ようとしているハーフメタル利権に噛ませることを条件に地球降下船を用意すると伝えてきた。

 革命が成功すれば利権が手に入る、ということですので、ノブリスはここまでクーデリアを悲劇のヒロインとして始末すればその方が革命成功につながる、と考えていたのがマクマードの説得と事実を知ったうえで利用しようとするクーデリアを見て、生かした方が成功しそう、と見たのが前回の変化の真相ということに。

 そうなると問題はマクマードが何故生かした方が成功しそうと思ったかですが、なんだかマクマードの場合は、そっちの方が「仁侠」っぽくてかっこよくね? って理由でも納得できるから困ります(流石にそんなことないと思うけど)。

 それはそれとして、流れから言えばマクマードはデモのことも全て見越した上で鉄華団に輸送任務を任せたはずで、ここでクーデリアが死んだら鉄華団は切り捨て、鉄華団が守り抜いたらクーデリアは生かす、という博打に出て、それに勝ったというところか。

 クーデリアはともかく、誰もいない部屋で鉄華団についてつぶやくところなどから、マクマードが鉄華団の行動力に可能性を見ているのは確かだと思われるので。

 ところで、マクマードとノブリスのつながりを名瀬は知っていた(ただし、送られた荷物が武器だったことを知っているかは不明で、実際デモが起こると本気で悩んでいたので多分そこまでは知っていない)ことについて、オルガは彼らが化かしあいの世界で生きていると冷静に考察しますが、ここでオルガの前髪で片目だけ隠れるカットになっているのはちょっと興味深いところ。クーデリアとチョコ影から「瞳の輝き」が無垢・子供の象徴として使われているフシがあるので、それが片方隠れている、というところは意図的なものかと。

 チョコ影は武器の物資を提供するが、三日月と遭遇して正体がバレる。

 まあ、視聴者的にはバレバレなのですが、チョコ影の正体はマクギリス。誰も正体に気づけなかったのに三日月が気づけたのは、バルバトスの阿頼耶識を専用改造しているために何か力が発現したとかそういう展開に持っていかれそうなのですが、ビスケットは瞼を開いたチョコ影を速攻でマクギリスと認識したので、単にこの仮面は変装として微妙なだけかもしれません(笑)

 さすがに仮面からチョコの匂いがしたから、ではないと思う。

 ギャラルホルン変革に鉄華団の力を貸してほしいと交渉してくるチョコ影、その後クーデリアが食事をとらず去っていき、三日月はアトラからクーデリアが震えていたことを聞く、というシーンを挟んでから。

 「我らっ! 地球外縁軌道統制統合艦隊っ!!」

 ……あ、これ、ダメな人だ(笑)

 「面壁九年! 堅牢堅固!」

 「ん~、完! 璧!」

 ダメな人だーー!(笑)

 いくら本作頭のいい大人が少ない作品だといっても、あんまりに露悪的過ぎて、ちょっとこれどうなのかと思いもしましたが、井上喜久子さんの声でインテリ系ダメな人を全力で叩きつけられ、笑いの方が先に来てしまいました。

 地球で贈収賄疑惑などが持ち上がりながらもクーデリアを待つ蒔苗氏、訓練を続ける昭弘とシノ、これぐらいしかできないからとモビルスーツの整備を続けるタカギと人々の思いが交錯する中、地球に向かうためにチョコ影と手を組むか悩むクーデリアに、聖母アトラ降臨。

 クーデリアが悩み始めると、そろそろこのタイミングでアトラが来て慰めるかなと思っていたら本当に来てしまい、パターン化が進んでいてよくないと思いつつも、金元寿子だから仕方がない。

 (いい加減、声優に対する偏見と個人的な贔屓で話を転がすのは慎みたいのだけど、つい)

 夜食を忘れてしまったアトラは必至で励ますが、無力な自らを恥じるクーデリアに声でギャラルホルンを止めたことを述べ、さらに励ましの言葉をかけるのは三日月。

 「あんたが言ってた「責任」って、フミタンも言ってたんだ。そのこと、ずっと俺なりに考えてたけど、俺にできることなんて全然ないからさ。とりあえず、あんたが地球に行く責任があるっていうなら、俺は全力でそれを手伝う」

 二人の励ましを受けて涙するクーデリア。

 「な、泣かないでぇ! ああ、あ! 三日月、なんとかして! ほら早く!」

 「え、俺?」

 「当たり前でしょ! 女の子が泣いてたら男の子は慰めたりとか、そう! 抱きしめてあげたりとか! ほら!

 アトラが相変わらず、安定のお母さんっぷりです(笑)

 恋愛奥手な我が子に「ほら、今がチャンスだよ! 抱きしめちゃいなさいよ!」みたいな!(笑)

 震える三日月をクーデリアが抱きしめたのと対になる形で、今度は三日月がクーデリアを抱きしめるのですが、ここで三日月がキスをしないの、あの時のキスは本当に何も与える気がなかったのね……

 ここを踏まえてあのキスを考えたのですが、アレは愛の発現というか歪みの発露と言うか、恋の発現と言うのがなんか正確な気がします。そうなるとアトラが相手だと、やっぱりキスはしてなかったんだろうなと思ったり。

 抱きしめられるクーデリアを見てアトラも泣きだし、三日月に抱きしめられるのですが、ここまでの「右手=汚れ」「左手=家族」の象徴が正しいとなると、これまで右をクーデリアに左をアトラに向かわせてきた三日月が今回逆に抱えているのは、今後の展開の暗喩?

 何故か「右手に盾を左手に剣を」という言葉が浮かびましたが(笑)

 それはさておき、言われるまでクーデリアを救うこととか考えてないし、普段はクーデリアに嫉妬しまくって、その苛立ちは戦場で強くなることで解消し、クーデリアに対しては傷つけ汚し奪うだけ奪っていて、何も与える気がない三日月順調に最低野郎の道です(^^;

 いやまあ、三日月は「自分には人に与えたり誇ったりする力がなくて、だから学んでいきたいし強くなりたいし今できることをするしかない」って考えで動いているので、そもそもクーデリアを救うだけの力を持ち合わせてないという意識はあるのだと思いますが、上の所業は全て無自覚にやっているからタチ悪いのも事実で、「責任」! 「責任」ですよ三日月!

 そして、自分がクーデリアの身代わりになって傷つくことは全く問題なく笑って流せる一方で、クーデリアが抱えている悩みや苦しみに本気で寄り添い、共感し、涙を流せるアトラは、どこまでも人が好いというか聖母というか、すごくキュアピースです!(笑)

 前半部、クーデリアの演説の内容の異次元っぷりに困惑してしまいましたが、恋する最低野郎三日月と全てを救おうとする赦しの使徒アトラとそれに挟まれるクーデリアの三角関係がなんだかんだ楽しめている私は、結局この作品にはまっているのだという他ないです。

 なんだかんだでチョコ影の案に乗ることを決めたところで、次回、大気圏突入……。