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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

ザ・カゲスター 33・34話(最終回)感想&総括

『ザ・カゲスター』の感想。

33話

 日本各地に、感染者が発狂して暴徒化しその後死に至るオウムラサキ病を広めようとする怪人オウムラーダ。影夫もそのオウムラサキ病に感染してしまい、子供のころ遊び場としていた洞窟に自らを鎖で縛りあげて感染者を増やすまいとする。その後特効薬が完成したという知らせを受けた鈴子は、サタン帝国に襲撃された研究所で命からがらそれを手に入れ、影夫を助けオウムラーダを倒すのであった。

 相変わらず、カゲスターには毒と病気の耐性が無い模様。

 戦闘で活躍するカゲスターにそれ以外で活躍するベルスターとしたい意図があったのかもしれませんが、カゲスターが毒で動けなくなってベルスターがそれを助けるというプロットは使いすぎです。

 感染者が健常者を襲って感染者を増やしていくというバイオハザード展開や、感染者が車に襲い掛かってくる場面の撮り方など、部分で見れば面白いのですが、『カゲスター』全体としては、うーん……。

 オウムラーダを倒されたサタンは怒り心頭で、次回、ついに戦力総結集でカゲスターを討つ作戦に出る!

34話

 戦力総結集、ということで再生怪人軍団を持ち込むサタン帝国ですが、その中にサタン帝国登場前のコスプレ犯罪者が何の疑問もなく混ざっているというあたりに本作の迷走の軌跡が垣間見え、最終回なのに開幕からいきなりテンションダダ下がりという(^^;

 怪人トドギラスをリーダーに、子供たちと釣りに出かけた影夫と店で働く鈴子たちを別々に襲撃する怪人集団。

 店ではカミナリ部長と屯田警部が鈴子を交えて漫才するのですが、最終回なので初期の設定拾おうとしたのかもしれませんけど、子持ちの中年と嫌味な中年上司が低レベルな口げんかをしているだけというこのシーンが面白くなるはずもありません。というか、これ面白くないから排除されたんじゃないのか(^^;

 再生怪人軍団は弱い法則なのか、元から知能レベル低いだけなのか、何故か一人ずつ向かってはベルスターに返り討ちに遭う怪人たち。そんな彼らを叱りつつも、逃げるドクターサタン。

 逃げる怪人を追跡したベルスターだが、追いかけた先にあったのはトドギラスの冷凍ガスで動きを固められた子供たちとカゲスターが、処刑されようとするところであった!

 凍らされてなすすべなく海に投げ込まれるカゲスター、だが

 「カゲロベエー!」

 喋れるんかい?!

 カゲロベエ召喚で拾われるカゲスターを溶かすため、ベルカーを呼び出すライトからベルファイアーを繰り出すベルスター。

 またそういう、わけわからん新技を……

 結局逃げられた再生怪人軍団、再び町にて子供たちをトドギラスの冷凍ガスで凍らせて誘拐、って開幕に状況が戻っただけなんですが。その子供たちを人質に、富士山の地獄谷で待ち受けるサタン帝国!

 そこから再生怪人軍団との戦闘で、次々攻撃を受けた怪人たちが重なっていく映像がなかなか楽しいと思いつつ、最後にまとめて爆発! もう突っ込まない方がいい気がします。

 トドギラスが人質に刃を向けるも、ベルスターのライトで目くらまししてからカゲスターが必殺技を連続で浴びせ、爆殺!

 本拠地に逃げるサタンと追撃するカゲスターとベルスター。アジトのギミックを用いて様々な攻撃を繰り出すサタンですが、悉く無効。

 ……なんかもう、カゲスター強すぎてサタンが哀れですが、仮にもラスボスなのにサタン自身がちっとも強大に見えないのは、どうしてなのだろう。

 二人にボコボコに殴られ、血しぶき(?)を地面にばらまきつつ、とどめに二人の必殺ダブルスターシュートを受けるという過剰なぐらいの攻撃を受けてドクターサタンは爆死するのであった。

 最後は元の通り影夫はカミナリ部長に叱られつつ、二度とカゲスターベルスターの分身をしなくてもいいようにと平和を願いながら生きていくのであった、と大団円でおしまい。

総括

 一言で言ってしまうなら「何がしたかったのかさっぱりわからない作品」でした。

 話の構成、主人公の設定、サブキャラの設定、敵キャラの設定、あらゆる面にコンセプトの練り不足が見えてしまい、そもそもどういうヒーローを描きたかったのか、何をこの番組最大の特徴としたかったのか、それが全くわかりません。

 本作の特徴らしい特徴は「ヒーローのビジュアルが強烈、というより変」ぐらいではないかと。

 正直、長所と呼べる部分が一つも見つかりません(^^;

 

 いくつか問題があるのですが、まず世界観の設定と変更。

 序盤はコスプレや優れた技術を用いつつも市井の犯罪者どまりの敵を相手としており、カゲスターたちはこれを殺さず倒し、その逮捕は警察に任せるという形で進められていました。

 このあたりの設計は後の『快傑ズバット』『特警ウインスペクター』に近いものを感じるのですが、敵を一般人レベルに格下げしている割にドラマ部分を煮詰めることがなく進められてしまい、全体としてどういうスケールの話を展開したいのかよくわからないという問題を生むことに。加えて市井犯罪者に対して超人のカゲスターが強大すぎ、バランスが悪いという問題も発生しました。

 その後サタン帝国登場で、敵が一応カゲスターと五分の怪人になったのですが、これがまた作戦の規模がふらふらしていて収まりが悪く、またカゲスターとベルスター双方の活躍の場を用意しようとして「カゲスターが毒にやられベルスターが助ける」あるいは「カゲスターが捕まってしまうがなんとか脱出し一人で勝てないベルスターを助ける」のパターンが多くなってしまい、マンネリ化を生むことに。

 せっかく現れたサタン帝国の規模もイマイチのまま、最終回は無残にぶちのめされるという盛り上がらない展開になってしまいました。

 そして、本作の問題としてはこちらの方がメインだと思うのですが、根本的に「カゲスターはどういうヒーローなのか」が全くわかりません。

 カゲスターは「何ができるのか」そして「何ができないのか」、これが34話かけて全く描かれませんでした。

 戦闘能力の面でいえば、カゲスターは強いことは強いのですが、その強さがまた「単に強い」以外の何物でもなく、はっきり言ってインチキ臭い強さ。

 毎回違う必殺技を繰り出して安定しないこと(終盤、スターを二つ足にくっつける「流星キック」が最強技みたいな描写でしたが、具体的にどう違うのかは全く不明)、ピンチの切り抜け方が唐突な脈絡のない新技発動、それらに何ら理由づけを備える様子なしで、「カゲスターだから何でもできる」という安心感が完全に通り越して全てを茶番にしてしまいました。

 カゲスターが『黄金バット』みたいな人から完全に分離した存在、あるいは超自然的な存在ならともかく、影夫という一個人から生まれた分身であり(終盤、分身ではなく直接変身のような描写になってしまいさらに悪化)、カゲスターの万能っぷりに説得力を持たせるような工夫が何も用意されてなかったのが大きな痛手。

 カゲスターの能力と言えば、そもそもカゲスター誕生の経緯さえ「高圧電流で細胞が変質してそんなことができるようになったのかもしれない」と曖昧、呼び出すカゲロベエの人格がどこから来たものか召喚の条件さえも曖昧と、見ていて曖昧なことがあまりに多すぎます。

 これらの点から戦闘と勝利に物語が乗らないことが多く(お話の内容に関係なくカゲスターはなんだか勝ててしまうため)、カタルシスが中途半端な回が多くなった、という感じです。

 ……唯一「毒に耐性が無い」が最後まで貫かれましたが!

 

 総合すると、デザイン以外の何も固まらないまま始まって、紆余曲折の末に普通のヒーロー番組のフォーマットにしたら余計にドロドロになって、最後まで固まりませんでした、というのが本作だと思います。

 連続した話の整合性よりもエンタメ重視といった雰囲気が強く粗製乱造感ある70年代東映特撮ですが、個人的にはその中でもさらにワーストクラス。

 ヒーローにはある程度の制限を持たせておかないと、却って特色や個性がなくなってしまうのだな、と感じさせられる一作でした。