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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

『心が叫びたがってるんだ。』感想

アニメ感想 映画感想

アニメ映画『心が叫びたがってるんだ。』をDVDレンタルで視聴したので、ざっくりと感想。

 幼い頃、何気なく発した言葉によって、家族がバラバラになってしまった少女・成瀬順。

 そして突然現れた“玉子の妖精”に、二度と人を傷つけないようお喋りを封印され、言葉を発するとお腹が痛くなるという呪いをかけられる。それ以来トラウマを抱え、心も閉ざし、唯一のコミュニケーション手段は、携帯メールのみとなってしまった。
 高校2年生になった順はある日、担任から「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命される。一緒に任命されたのは、全く接点のない3人のクラスメイト。本音を言わない、やる気のない少年・坂上拓実、甲子園を期待されながらヒジの故障で挫折した元エース・田崎大樹、恋に悩むチアリーダー部の優等生・仁藤菜月。彼らもそれぞれ心に傷を持っていた。

                ――以上、公式サイトより引用

  主人公(ヒロイン)が幼少期にラブホテルで父の浮気現場を目撃してしまう、という割と衝撃的な入りに度肝を抜かれつつ、そのトラウマでしゃべれなくなる主人公とそれを動かしたり動かされたりする周辺人物を丁寧に描写。

 ちょっと台詞が全般的に説明的な感じがするのですが、「はっきり言葉を発しないと伝えられない思いがある」という作品テーマなので納得の範疇。「必死で伝えようと言葉を選んでいる」部分もたまに差し込まれますし。

 寺社の階段でメールでのやり取りとか、最後のミュージカルシーンでの登場人物配置とか、画と音と文字との使い方が全体的に面白い。

 最大のクライマックスになるのが、成瀬のバトウ・ジツもとい坂上に罵声を浴びせてからの告白と、それを切り捨てる坂上。

 それまで歌とナレーション的語りぐらいしかセリフがなかったところに、思いつく限りの罵倒の言葉を振り絞る成瀬を、水瀬いのりさんが熱演。

 うまくいっている場面で「このままでは済まないんだろうな」とある程度思っていたところに、案の定トラブルを話に持ち込んで、そこから伏線を回収しつつ物語のテンションの最高到達点までグイッと押し上げるのがとてもきれいな流れでした。

 まあ、「受け止める」ように見せかけて実は案外「聞き流している」ような感じ(ただし自分以外のことを言われるとちょっと反応する)で通している坂上は、割と最低な男(笑)

 正直、坂上のキャラはあまり好きじゃないのですが、成瀬や仁藤とのこれまでを踏まえて一貫した言動をとっていたのは良かったところ。

 

 全体の構図として個人的にもったいなかったのは、ラストに関わる部分でありながら田崎→成瀬の描写が物足りなかったこと。

 帰り道でわざわざ成瀬についていく田崎とのやり取りなど、描写があるのはあるんですが、田崎については他の主要人物3人以外にも野球部に結構丁寧な描写が広がっている一方、他の実行委員との絡みが微妙に薄くなったような気がします。

 坂上にはDTM研究会が、仁藤にはチアリーダー部があるのですが、この両名はそちらをあまり広げなかったので、すんなり実行委員に入ってこなかった部分も含め田崎だけちょっと違うところに浮いていた印象に。

 坂上に何か言いたそうな表情をするシーンは、基本、何も言いませんし!(笑)

 先日、『Go!プリンセスプリキュア』の田中裕太監督が「クライマックス=人物の心が変わる瞬間」というお話をtwitter上でされていたのですが、これをそのまま適用するなら、田崎の場合は「教室で成瀬が歌い始めたとき」と「ファミレスで野球部員と諍いを起こして成瀬が止めるとき」の二つになるのですけど、これがもったいなかった。

 田崎に一回の急激な変化をもたらしたのではなくて、2回に分けて小さい変化をもたらす感じだったことと、この2回が成瀬の変化を組み込んだものであるためむしろそっちの強調に眼が移ってしまったことから、総合で田崎にはクライマックスが来なくて話の流れにただ乗っていったみたいに見えてしまいました。

 この2回が田崎→成瀬の想いにつながっていくのですが、両方とも"呪い"で体調不良の成瀬が飲み込んで打ち切るので、田崎の「変化」のイメージが薄くなるのが困りどころ。

 ついでに後者の方、"呪い"を忘れてしゃべり続ける成瀬にわざわざ言及して体調不良を起こさせるのは坂上なので、本当最低だなコイツ!(笑)

 本作の人物では田崎が一番好きなので、この終始ちょっとだけ浮いた感じが馴染み切らず、ここだけが残念。

 あと、田崎は喋っているとどうしても声優と監督と脚本繋がりで『鉄血のオルフェンズ』のオルガが浮かんでしまって、個人的に困る事態に(笑)

 順番では『ここさけ』の方が先なんですけど! ……田崎以外にもちょこちょこ『鉄血』で聞いた声が飛び出してくるので(一部出演者が共通しています)、先に『鉄血』見たのがマズかったのだろうか(^^;

 

 作品テーマとか、自分のツボからは微妙に外れた感じだったのですが、単発アニメ映画として特別目立った欠点らしい欠点もなく、総合だと非常に完成度が高くて面白い作品でした。

 人にお勧めできるかという話だと、まあ、同監督同脚本の『鉄血のオルフェンズ』よりはお勧めしやすい、かと。

 このスタッフの『あの花』はまだ見ていないのですが、機会があればいつか。