読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

魔法つかいプリキュア! 第16話感想

魔法つかいプリキュア!』の感想。

 魔法界から補習仲間のみなさんとフランソワさんが来訪。フランソワが言うにはこちらの世界で洋服の生地を仕入れることがあるらしく、何度も来訪しているとのこと。

 ……あれだけ一見感動的な展開として盛り上げておいたリコがみらいを追いかける話は、いったい。

 ガイドブック(!)も用意して準備万端な補習メイトのみなさんは、魔法界の土産をみらいたちにプレゼント。クルクル味が変わるクルクルッキーとイチゴメロンパンの交換で食事とか、1クールでやってほしかった要素が次々登場してすごい露骨な軌道修正の空気を感じます。

 魔法が上達している補習メイトに何やら曇った表情のリコ。撮影魔法を街中で平然と使うところをみらいがなんとかごまかしつつ、通りがかった勝木さんに会って補習メイトの紹介に。

 勝木さんもフランソワさんに対して全く反応なしでして、第3話の初登場からずっと思っているのですけど何故この人はオカマの設定にされているのでしょうか?

 性的マイノリティの問題なのでデリケートだから扱いづらいのかもしれませんが、だからこそ何故この設定に? という疑念が拭えません。現状、この設定がまるっきり役に立たないのはまだしも、フランソワのキャラ設定の要の部分が一番薄味ということなので、総合でフランソワのキャラが全然立ってこないということになっているのですが。

 あるいは、この作品のナシマホウ界ではこういう人が当たり前のように街中を歩いているとか、世界で活躍するオカマの大スターがいるとかなんでしょうか。

 ショッピングを楽しむ一行、レストランに入りリコ&みらいとフランソワが会話。フランソワもみらいたちと同じぐらいの年齢の時に、仕立て屋の修行のためにこちらの世界に住んだことがあり、ナシマホウ界を楽しむ補習メイトの姿に自分を重ねていた。

 「別に珍しいことじゃなくてよ。ナシマホウ界には魔法界の人間もたくさん住んでいるの。たとえば、彼とか。彼女もね。有名なタレントさんとか、アーティストもいるんだから。もちろん、魔法が使えることは隠してね

 そう、あなたの隣にも『魔』の手は忍び寄っているかもしれないのです――

 ……すみません、魔法界はナシマホウ界を知っていて、ナシマホウ界のガイドブックまであるほどに情報持っていて、こちらの世界に住んでいる人もたくさんいるのに、ナシマホウ界には魔法界と魔法の存在を秘密にするのって胡散臭すぎるのですが。

 杖の木と個人の才能のあり方(6話)、人魚との関係の疑惑(7話)などから魔法界に対する疑惑がどんどん膨らんでいるのですが、彼らは異世界を渡り歩く侵略者では。

 空を奪われ海に閉じ込められた人魚たちは、実はノンマルトなのではないか。

 作り手としてはルパーツ星人(『ウルトラQ』)みたいな、友好な来訪者のイメージで作っているつもりなのでしょうが、魔法界とナシマホウ界の価値観諸々にあやふやな部分が多く、はっきりしている部分は重ならない価値観であることがほとんどなので、出来上がりに漂うのはゼイリブ』的な恐怖(^^;

 まあそんな杖の木ディストピアの疑惑は脇に置いといて、ナシマホウ界で暮らすうちに補習メイトに置いていかれることを不安に感じていたリコを励ますフランソワとみらい。

 14話のセリフとつなげつつ、この世界で暮らすことも勉強であるとしてきたのは良かったのですが、改めて第9話で飛び出してきたのは何も考えてなかったのだなと言うのが浮き彫りとなり、いい話にまとめようとするたびにこれまでの話が破壊されていく苦しい展開。

 まあ、本作の設定は整合性とか倫理面とか色々問題アリなので、壊すなら徹底的に壊して再構築した方がいいかとは思いますが。

 で、今回のリコに対するフランソワの励ましは多分、本作で初めて真っ当な「大人」のアドバイなのですが、これまで老若男女問わず大人がロクデナシ勢揃いだったことや、前述した「何故フランソワはオカマなのか」問題を踏まえると、「フランソワがまともな大人」というより「フランソワはオカマなのでまとも」と読み取ってしまうのですけど、いいのかそれで。

 普段からアドバイスを求められる頼りになる人かと思えば、基本的にあっちの世界の住人なわけでして、どうにも今一つどの方向に向けてキャラを設計したいのかが見えてきません。

 一方で「目標を持たないみらい」が今更ながら対比、と露骨な確認作業。……いや本当、第3話で示されて以降ずっと放置しっぱなしで今更飛び出してきたんですが、そういやそんな設定でしたね……。

 そんなところでスパルダが登場し、リンクルスマホンを奪うため自らヘリコプターと合体して闇の雲を生み出し、襲い掛かる。

 ……なんで?

 バッティ曰く「力を制御できていない」とのことで、演出としては追い詰められた幹部が最後の力を発揮し暴走するシチュエーションなのですが、そもそもそこまで追い詰められているような背景事情など全く用意されていないため(段階を追って「次に失敗したら処刑」という話とか、まるっきりない)なんで本領発揮して挑むような感じになっているのかさっぱりわかりません(^^;

 「闇は、あらゆるものを覆い尽くす。ドクロクシー様の闇は、こんなものではない! 魔法界も、この世界も、全てを覆い、闇の世界となる!」

 「友達がいるの……どっちの世界にも、大切な友達がいるの!」

 「ええ、大切なの……わたしにいろんなことを教えてくれるの! 魔法界と、この世界のみんなが!」

 10話の内容と意図的に重ねたのでしょうが、根本的な問題がありまして、「闇に閉ざされる=友達がいなくなる」の式がどうして成り立つのか。

 理由不明ですがスパルダは兎に角ドクロクシーの闇の世界大好きで、世界をそうしようと考えているんだ! とするのに対してそんなことさせない! と強がるプリキュアですが、本作は過去作品の異世界のようにドクロクシーが闇に閉ざした世界(疑似的に悪の目的が達成された世界)が描写されないため、「闇に閉ざされた世界」の具体性がまるっきり存在せず、故に何故スパルダはそれに賛同しているのか、何故プリキュアは否定に回るのかが確立されないという、おもむろに背骨が抜けた状態であることを感じられる会話。

 闇に閉ざされるとスパルダがヨクバールをあちこち生み出して人間をいたぶるのかもしれませんが、これまでスパルダは弱い人を嘲笑いこそすれど積極的に破壊活動をしてこなかったわけですし。

 「闇に閉ざす」という言葉は、一見した感じがいかにも悪そうなので悪の目的として手軽に据えられるのでしょうけど、裏付けがないままだと「愛の奇蹟」とか「勇気の力」とかと同じ、都合のいいだけのマジックワードでしかありません。

 そこをさておいても、今回の話のテーマとして展開されたのは「こちらの世界でも学ぶことはある」というリコ個人に訴える問題であり、一方プリキュアの主張は「世界の人々のために戦う」という多数の人々の問題になっていて、一見今回の話をバトルでの主張に組み込んでいるように見えて論点がずれているため実は組み込まれていないという状態になっています。

 そうやって論点がずらされているので、マジカルの主張する「わたしにいろんなことを教えてくれるの! 魔法界と、この世界のみんなが!」という言葉は、裏返すと「自分に何も教えてくれない世界ならいらない」ということになるのですが(^^; ……ああそうか、だからドクロクシーの世界は問答無用で排除対象なのね(笑)

 そうやって啖呵を切ったところで、プリキュア二人の体から光が放たれ闇の雲を貫き、光るはーちゃんと合わせてサファイアの金魔法を放つと、はーちゃんの力に気づきながら圧されたスパルダは小さなクモとなってバッティに拾われるのであった。

 「スパルダさん、敗れましたか……」

 あ……あ……?

 脈絡もなしに何故かフルパワー発揮で暴走、その癖姿は普通のヨクバールと大差ないヘリコプターにくっついただけ、設定が曖昧なので主張が空虚、それに合わせてプリキュアも空虚な主張、今回単品だけで見ても噛み合っていないプリキュアの主張、そこからはーちゃんの奇蹟発動と一見だけ盛り上げながら変化なしの普通の決め技による撃破と、全てがダメな方ダメな方へと走り続け1ミリの山も作られない悪い意味で衝撃の幹部退場劇。

 毎度ながら本作の戦闘の投げやりっぷりはひどいのですが、今回仮にもはーちゃんの奇蹟の力を見せておきながら、それによる見せかけの山さえも用意しないという、何をどうしてここまで無残なことになるのか。

 無残なスパルダ退場劇ですが、絶対に倒さなければならないと思わせるような話もなく、かといって一人のキャラとしての面白味もサラッサラなかったので、そのこと自体は全く何とも感じません。

 本作の幹部については「倒すことが問題ないようにキャラを薄くした」って話を度々聞くのですが、その意図は「視聴者が感情移入しないようにすることで撃破されても惜しまれることがないようにした」ではなくて「製作者が感情移入しないようにすることで容赦なく殺せるようにした」ではないのだろうか。

 仮にそうなら作り手からも「一人のキャラ」というより「倒すべきギミック」とか「障害物」程度の役割としてしか認知されてないのでしょうけど、何故このギミックを倒さなければならないのか全く示されないため、それを飛び越えるプリキュア達に面白味が生まれてきません。

 越えるなり倒すなりしなければならない理由がはっきりしている分だけ、ハードル走のハードルの方が100億倍役割や面白味を持っています。

 そんな空虚なハードル走の後に、列車が時間だからと走り去る魔法界組、堂々と絨毯で空を飛んで勝木さんに目撃される。

 ……せっかくまともな大人を見れたと思ったところで容赦なく株を下げていくのが安定の本作。

 ていうか今回、補習メイトは平然と魔法を使いまくっているのですが、この子たちに「ナシマホウ界で魔法を見られたら杖没収」ルールは行き届いていないのか。魔法技能はランクアップしているけど、基本的なルールが把握できてないようでは帰ったらまた補習ではないのか。

 つくづく胡散臭い「杖没収」ですが、もうこれ、「実は校長先生が与えた試練(?)のために教頭先生がウソついただけで、本当はそんなルールは存在しない」とでも考えないと辻褄があわない領域にたどり着いているんですけど。

 仮にそうだとしてリコたちがやるのは「原則魔法使わないで頑張ろう」じゃなくて「見られなければ使っていいってことだよね」という斜め下の着地なので、この設定の教訓は、厳しい規制が呼ぶのは不正。

 あちこち露骨に立て直しを図ろうとする意図は感じられるのですが、本作そもそも建てるための地盤が緩いとか海だとかいうレベル通り越して、言葉だけは壮大だけど実態は何もない宇宙空間のため、小手先で柱を用意したところで何も建つはずがありません。まず大元の星を作るところから始めなければならないレベル。

 メインライター担当エピソードでありながら、シリーズとしての根幹的問題を山ほど見せつつ、単品としてもぐっちゃぐちゃの酷いエピソード。ある意味、凄かった。