読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

美少女戦士セーラームーンcrystal 36話~37話感想まとめ

アニメ感想 セーラームーン 金元寿子

美少女戦士セーラームーンcrystal』の感想。

36話

 無限学園上空、笑うミストレス9と囚われた内部戦士と、地底から吹き出す闇。

 「時は来た! 今こそ力を蓄えた師ファラオ90自身が、この星と同化する! 器化の時が来た!」

 師ファラオ90の器となる者は人間ではなく星そのものだった、とボスキャラとしてのスケールを上手く演出。

 台詞から察するに、以前のタウ星系でも師ファラオ90は星を器とし、そこにダイモーンたちが栄えていたという話のようで、少なくともタウ星系には「星の意志」が存在する、という解釈でいいのか。

 第2期では惑星ネメシスとデス・ファントムが結びついていましたが、次元関係なくこの世界の星には意識が存在する可能性があり、その化身がセーラー戦士&タキシード仮面(地球)なら、師ファラオ90はタウ星系の地球の意志=エンディミオン、と言えるのかもしれません。

 そうなるとミストレス9はタウ星系のセーラームーンと言える立場で、幻の銀水晶がタイオロンクリスタルに近しい光というのも、タイオロンクリスタルがタウ星系の銀水晶である、と考えれば筋は通ります。

 この辺、掘り下げればいくらでも面白くなりそうなのですが、話の本筋から外れてしまうためか断片的な情報しか出せず、タウ星系&師ファラオ90の正体が曖昧なままにされてしまうのは残念なところ。

 膨らんでいく闇を外部戦士が結界で抑えつけるが、ミストレス9は人間の姿から怪物に変貌しようとする。内部でほたるの精神は必死で押さえつけようとするが、ミストレス9は体を引きちぎろうとする。

 セーラームーンの攻撃も通じないミストレス9だが、銀水晶とちびうさの魂を抑えられているために変化できず、今度は内部戦士の魂まで抜き取ってしまう。しかしそれすらも抑えるほたる。

 「不思議……魂だけになってしまった私、体の乗っ取られてしまった私は、芯だってことよね……なのに、どうして私はこんなに一生懸命なんだろう? パパももういない、私には何もないのに、なのに……どうして私にまだ力が残っているの? 私はこんなに強かったかしら?」

 その時、ちびうさの幻とサターンの幻を見るほたる。

 「私の中にもっと大きな別の私を感じる……その私が、持てる力の全てをかけて、みんなを助けよと言っている! そう、今の私にできること、それはこの5人の魂と幻の銀水晶を、ここから助け出すこと!」

 前回、本作におけるヒーロー像とは「誰かに生きることを願われる」と「その願いに応じて自らの意志で立ち続けること」として固まったのですが、ここでほたるはちびうさからの願いを見据えて、内部のもう一人の自分の意志を受けて立ち上がることでヒーローとして覚醒。

 魂と銀水晶を持って飛び出したほたるの精神は、セーラー戦士を救い出した後ちびうさの下へ。魂と銀水晶を戻されたちびうさも復活。

 「ちびうさちゃんを助けることができて私、うれしいの。女の子同士なのに変なのかもしれないけど、運命の出会いだと思ってた」

 「私も、そう思ってたよ! ほたるちゃん!」

 しかしその時、魂が離れたために障害が無くなったミストレス9は、ついに変化。肉体が失われたほたるの魂は、消滅していく。

 「会えてよかった……友だちになれて本当によかった。私、ちびうさちゃんのこと大好きだよ」

 感謝の言葉を述べて消えるほたる。

 「こんな……こんな悲しい運命もあるんだ」

 個人的に、「運命」を全面的に肯定する世界観があまり好きではなく、設定上重要なことであってもほたるが「出会えた幸福」だけを押し出して消えていくのには若干の引っ掛かりがあったのですが、ちびうさがきちんと「別れの不幸」も運命として受け止めてバランスをとったので、安心しました。

 「戦えるよ……ううん、戦うんだ! ほたるちゃんに助けてもらった、この命で! もう泣かない……私だってセーラー戦士だもん!」

 そしてちびうさは、ほたるから受けた「生きることの願い」を受け止めて戦いに赴こうとする、と次々に連鎖していきます。

 「まるで娘を嫁に出す気分だな」

 ……例えとしては適切なのかもしれませんが、どうしてそういう言葉が出てきたんだ衛(笑)

 「でも、不思議だ……何故かパワーが溢れてくる。まるで俺の方がちびうさからパワーをもらったみたいだ。それに、ほたるちゃんのパワーも……うさ! 俺もすぐ行く!」

 頑張る娘の姿に、お父さん、ハッスル。

 タキシードパワー、メーイク、アップ!

 簡素ながら変身バンクが用意されたタキシード仮面ですが、マントで隠れているときの光る体のポーズが謎。

 怪物化したミストレス9に一斉に攻撃を放つセーラー戦士だが、通用しない。襲い掛かるミストレス9に慄く面々。そこに

 「ピーンクシュガー・ハートアタック!」

 背 後 か ら (笑)

 以前テルルに正面からぶつけて通用しなかったので、今回は隙を見て背後から狙ってみましたという合理的な考えで、恐るべし未来の王族!

 しかし、母の方は「さっきまでほたるちゃんのお父さんだったもの」に攻撃することを一瞬ためらったのに、娘は「さっきまでほたるちゃんだったもの」に遠慮なしというのは、冷静に考えたら色々ひどい気がする(^^;

 墜落したミストレス9の怒りの声に、結界にはひびが入る。

 「何をしている!」

 飛んできたタキシード仮面、スーパーセーラームーンへの変身を促す。

 今更ながら、今期では平然と生身で飛行しているのですが、セーラー戦士の補助とかじゃなく自力で飛んでいるみたいなので、完全に一般人のレベルを越えていますなタキシード仮面(笑)

 セーラームーンとちびムーン、二人がそれぞれ聖杯を生み出し、スーパーセーラームーンとスーパーセーラーちびムーンに。変身したところで次回。

 噛めば噛むほど、凄い言葉だ「スーパーセーラーちびムーン」。

 「スーパー」なのに「ちび」なのが不思議。

37話

 二人の協力技はミストレス9を押すが、時空の歪みから師ファラオ90が来ることを感じ取るプルート。

 「おお、待ちわびたぞミストレス9!」

 「ああ、我が師よ! 今こそ一つに……」

 大きな眼が浮かぶ闇に飛び込んで溶けていくミストレス9。より強大になる力に危機を感じ取った戦士たちは、一斉に攻撃する。

 合体攻撃のプラネットアタックではなく、何故か単独の必殺技なのですが、バンクの都合でしょうか。ウインクチェーンソードの物理攻撃が効きそうに見えないのですけど(^^;

 そして

 「タキシード・ラ・スモーキングボンバー!」

 使ったぁー!!(笑)

 今更ながらバンクまで用意されており、完全に他の戦士の必殺技と同格の扱いです。

 しかしなんと、師ファラオ90はあらゆるエネルギーを吸収していく力を持っていた! ちびムーンがパワー切れを起こし、それを助けに行くタキシード仮面。他の戦士たちも次々にエネルギーが切れて落下していく。巨大化した闇の大津波は、ついに結界を弾き飛ばして街に流れ込んでいく。

 思い返せば、1期2期と最終決戦の舞台が市街地から外れていたこともあり、明確な街の被害として描写される決戦はこれが初めてかも。

 上空に開く次元の裂け目、それはかつてマーキュリーが見た箱庭宇宙と同じもの、タウ星系だった。

 「遙か彼方に忘れ去られた我が母星系、タウ星系よ! 見よ! 我は今まさにこの星を覆い尽くし、同化するのだ! ハッハハハハハハハハ……」

 タウ星系が滅亡(?)した理由もわからないのですが、師ファラオ90の特性から見るに自分たちでエネルギー使い尽くしたような印象を受けるのですけど、そういう事情も曖昧なままなのが本当惜しい。

 絶望する戦士たち。そこに雲の隙間から月の光が差し込む。

 (あったかい……そう、あたしはいつも皆に守られてきた。前世の昔から皆に見守られ、ずっと支えられてきた。守らなくちゃ、今度はあたしが! 皆を守らなくちゃ!)

 改めて本作のヒーロー観「誰かの願いに支えられて生きる」が強調され、戦士の力の結晶と言える聖杯ムーンカリスを抱え、銀水晶の力を合わせて飛び込んでいくスーパーセーラームーン。その様子を見つめるだけで、動けない戦士たち。

 「うさ……お前だけを先に逝かせた。守れなかった……」

 「セーラームーン……ママァー!」

 「こんな……こんな、バカな! 私は、私はただ、この手であの子を守りたかった。ただ、それだけだったんだ……」

 悲しむ戦士たちだが、その時タリスマンが輝き、闇の中から放たれる光。そして現れる一人のセーラー戦士

 「私は死の淵よりの使者。破滅の星、土星を守護に持つ死の戦士。セーラーサターン」

 覚醒したセーラーサターンに驚く戦士たち。

 「私が以前、引き金を引かれて呼ばれてから、まだそう時が経っていないような気がします。……いつでも私は、招かれざる客のようですね」

 戦士たちを見て、笑みをこぼすセーラーサターンは闇へと降りていく。

 「いくつかの偶然が徐々に重なり合い、事象面に異変が生じ、いつの間にか歴史に少し狂いが生じてしまったようですね」

 そして武器、サイレンスグレイブをファラオ90に突き立てる。

 「この無限洲で起こった事故で、永遠の眠りを迎えるはずだったほたるは、サイボーグとしてあり得ない人生を送り始めてしまったこと。それは彼女の肉体にも、そして目覚めるはずのなかった私の魂にも、ショックを与えました。土萠教授の歪んだ心が、この異界の者たちを呼び寄せてしまったこと、そして、身体が器化をされたまま生き始めたこと。でも、仕方がない。私たちがここへ引き寄せられたのも、異界の通路がここに開いたのも、この地が選ばれた場所だったから。全てが破滅へと歩き始めたことも、定められた運命。目覚めた以上、私はこのサイレンスグレイブを、振り下ろさなければなりません」

 振り上げられたサイレンスグレイブに吸い込まれるエネルギー。地上のファラオ90をも持ち上げるその破滅の力に、予言の破滅の力はサターンだったと確信するファラオ90.

 「忌むべき存在よ、侵略者よ! 無に帰せ! そしてこの世界に終焉を!」

 サイレンスグレイブが振り下ろされ、今まさに世界が終わろうとしているというところで次回に続く。

 今回のエピソード最大の問題となるポイントが、目覚めたサターンによる「幾多もの偶然が運命と歴史を捻じ曲げた」という主張。

 本作はこれまで、「未来は確実に存在する」ことが前提として掲げられ、故に運命は変えられないことが軸だったのですが、ここで「運命を変える要素が存在する」ということをサターンが持ち出してきました。

 その上で「運命を変える要素」は人間の愛や絆ではなく、一人の人間の邪悪な心によるもの(土萠教授は娘への愛でほたるを生き延びさせたのではなく、実験台にしただけ)とされており、「運命に逆らうことが悪」から「悪が人の運命を狂わせる」という方向に盛ってきて運命至上主義を修正し補強したといえます。

 が、問題なのが「本当にほたるが生き延びたのは運命ではないのか?」ということ。

 教授がほたるを生き延びさせたのも、最初から運命で決まっていた話ではないのか?

 前回でほたるとちびうさの二人につき「出会えたこと(生きる幸福)と別れること(死の不幸)の両方を運命として受け止めた」という話が展開されているため、そちらの話を尊重するなら、都合の悪いことを「運命から外れた、運命を捻じ曲げる要素」と主張しているサターンの言動は、この二人の想いと出会いを踏みにじっている、極めて一方的で身勝手な主張と言う他ありません。

 その点、サターンの内で何が運命から外れた偶然で何が運命に定められた必然なのかの線引きがかなり甘く(教授の言動は全て悪意が及ぼした偶然扱いなのに、無限洲が選ばれた場所であることと破滅の運命は必然として肯定)、恣意的としか思えない主張となっていることも重要。

 ここから完全に私の解釈になるのですが、「いつでも私は、招かれざる客」というサターンの嘲笑も含めると、覚醒を阻止しようとしたウラヌス他の誰よりも、セーラーサターン本人が自分が存在することを悪とみなし、その運命を呪っているのではないか。

 特に今期、「生きること=誰かの願いを受けること」という点が強調されており、ほたるが誰からも願いを受けていないが故に自らを生きる価値がないとみなしていたように、サターンの方も自分の持つ力故に誰からも生きることを望まれていない、故に自分には生きる価値がないと認識しているのではないか。

 最期にちびうさから願いを受けたほたるはともかく、サターンはセーラー戦士として土星にいたことについて、最初からそういう力を受けて隔離されていたわけではないと思うのですが、作品世界的に絶対的な悪として扱われる「破滅」「死」の力が、何故サターンに与えられていたのか、そこにどんな願いがあるのか、という部分は最終回でどこまで拾われるのでしょうか。

 風雲急を告げる、次回最終回。