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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

鉄血のオルフェンズ 33話感想

アニメ感想 鉄血のオルフェンズ 金元寿子

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の感想。

 あの名もない戦争から1か月が経過。

 「今回のSAUとアーブラウ防衛軍の戦闘について、全ての責任は地球外縁軌道統制統合艦隊にあることは明白!」

 という口調から漂う、イオク様のダメオーラ(笑)

 ガランの存在は完全に抹消されたらしく、マクギリスを糾弾するイオクだが今回の騒動を最低限に抑えられたのはマクギリスの力ゆえとも指摘され、特にマクギリスの立場に大きな影響は及ばずも、黒幕ラスタルも揺るぎなし。

 ラスタルとマクギリスはマクギリスが養子として迎えられた時から面識があると判明し、ラスタルがマクギリスに欲しいものを訪ねると「バエル」と答えたという回想シーン。

 調べたら「バエル」は本作におけるガンダムの名前の由来となったソロモンの悪魔の一つで、その中の最高位(バルバトスは第8位)、王の地位に属するものとのこと。

 そうなると、おそらく本作世界における最初のガンダムと思われるのですが、前回でマクギリスはギャラルホルン創始者の一人であるアグニカ・カイエルに対する敬意を明確に示しているので、彼の使ったガンダムと見るのが有力?

 一方、クーデリアは意識を回復した蒔苗から地球に留まるよう勧められる。そして鉄華団は、先の戦争の事後処理に追われていた。

 会計について、完全にラディ―チェが実権を握っていたことをユージンは愚痴るも、丸投げにしてきた自分たちにも問題があると述べるオルガ。

 素直に見れば、大人の見地から事務方として正論を述べているのに「家族」などの曖昧な言葉でぞんざいに扱われていた、ということでラディ―チェに同情するポイントなのでしょうが、そこから選んだ選択肢が「だから戦争起こしたい連中に加担して職場のガキども皆殺しにするわ」という鉄華団倫理抜きに狂気の沙汰な時点で、何言っても同情できませんし、むしろオルガのこのセリフ、とんだ死体蹴りみたいな印象なのですが(笑)

 というか、画面に見える端末の数に対して事務職員一人という状況は「オルガが丸投げしてたから」で説明がつかないほど異常事態ですし、死に際に「現場のことは現場で判断するしかない」とかほざいてた割にそこを現場でどうにかしようとした気配はなく(地球支部での事務職員の追加雇用もしてないし、本部との連絡の実権握ってたくせに鉄華団テイワズへの要請もした様子はなく、言うまでもなくそこを補うために他の団員を教育することもしていないばかりか最初から「どうせ頭が悪いから理解できない」で放棄している)、そのくせ自分に緊急事態が発生した時にその事務仕事の引き継ぎを行うことは一切考慮していないとか、どう考えても胡散臭すぎます。

 現に今、本部におけるテイワズからの派遣職員であるメリビットが苦戦しているのですが、この労災の危険性バリバリの職場でラディーチェが怪我して入院したら、ほぼ確実にテイワズから追加or臨時代行の事務職員やってくると思うのですけど、そうなると事務仕事の引継ぎとか帳簿の扱いとか、きちんとラディーチェは説明できてたんでしょうか……?

 本社への背任行為とか、会計の改竄による横領の可能性とか、そこまでは証拠がないので断定できないにしても、そういう悪意がないのだとすれば普通に事務職員として無能だったのではないか、ラディーチェ。

 ……本当にどうしてテイワズ、こいつを雇って鉄華団に派遣してたんだろう(^^;

 倉庫にて、今回の混乱を引き起こした責を感じ、さらにラディーチェを殺害したことに対する葛藤を抱えるタカキをフォローする三日月。三日月が去ってから、クーデリアがタカキと会話。

 「解釈の仕方は一つじゃない。選択肢は無限にあるの、本当はね。だけど、その中で自分が選べるのは一つだけ」

 「自由意志」「未来の選択」も本作のテーマの一つですが、クーデリアも蒔苗から選択肢を見せられているところで、このセリフ。

 そしてこのセリフ、三日月について考えると、アトラが「いつもきっぱりしすぎている」と評したように自分が選びたい選択肢以外を完全に切り捨ててしまうというのが非常に危ういところなのですが、どう爆発するのか先が気になります。

 三日月は一見、劇中では問答無用で完璧超人だと持ち上げられているように描かれているけど、明らかにどこかで破綻する展開を見越しているような感じがあるのですが、何にせよ流石にこのままでは済まないだろうなあ……。

 場所は宇宙に移り、ヴィダールとジュリエッタの訓練と会話に。ガランの死を未だ引きずり、彼に教えられた戦術とそれを買ってくれるラスタルを誇りにしていると再三主張するジュリエッタ。

 「君のような人間を知っている。尊敬する上官に拾ってもらった恩を忘れず、上官の存在を誇りとして戦い抜いた」

 「その方は、今どちらへ?」

 「今は……近くにいる」

 なんとも含みを持たせた言い方をしているヴィダールですが、ジュリエッタに重ねている「上官の存在を誇りとして戦い抜いた」者の末路を想うと、どう考えても「選択肢を間違えた者」で、ジュリエッタの今後に影響しそうな予感。 

 ここのヴィダールはその人物を引き合いに出してこそいますが、その生き方を肯定も否定もしていないというのが意味深。

 そして鉄華団はマクギリスからの提案――協力してもしマクギリスがギャラルホルンの実権を握れば、鉄華団に火星の統治権を譲るという話を持ち掛けられ、オルガは理想のために乗ることを決める。それは下手をすると彼らの親会社であるテイワズにもにらまれることになりかねない話だが、オルガの心は決まっており、三日月たちも賛同する。

 「団長が、俺達の未来のために悩んで、いろいろと考えてくれてるのは分かっているんです。だけど……俺は、フウカを泣かせたくない。火星の王になればでっかい幸せが待ってるのかもしれない。だけどそのことで、今そばにある幸せを捨てなけりゃならない。俺にはそれができないんです」

 しかしタカキは、オルガたちが示す未来とは別の選択肢を見て、そちらを選ぶ。そしてオルガも、それを止めはせず、笑顔で送り出して新たな人生のフォローもする。

 さらにはクーデリアも、蒔苗に自らの決意……火星に戻ることを伝えに行く。

 「たとえ間違った結果を導き出してしまうとしても、すでに選ばなくてはいけない時が来てしまったのです。私も、鉄華団も」

 「どこかに絶対の善良さや正しさは存在するのかもしれないけど、しかし一筋縄で通用する世界ではない」という雰囲気の強い本作世界観で、恐らく一番一貫しているのがこの「時間は有限なので、間違う可能性があるとしても動かなければならない時がある」というテーゼ。

 今回は「自分の生き方を選択する」ことについて、「選択肢を広げるため、最も有意義な選択肢に向かうために学ばなければならない」と「しかしそれでも選ばなければならないときは来る」が並び、そして選ぶ行為自体は否定も肯定もされない、ということで貫いていますが、残されているのは「選ぶことができない者」はどうなるのか。

 片腕と片目が使えない三日月のことも踏まえ、さらに突っ込んでいけそうな話。

 そしてそんな中、昭弘に特別な思いを寄せているラフタが、一応名瀬には内緒とアジーに釘を刺す、という話が出てきますが、よく考えたら名瀬は夫人や愛人について「選ぶとか考えてない」ということなのか。選択肢を絞らない生き方、と思うと鉄華団の生き方に対してちょっと皮肉に思えます。

 火星に帰ればまたお偉いさん回りだとぼやくオルガと三日月の会話。

 「タカキが辞めてさ。なんか分かんないけど、少しだけほっとしたんだよね。なんでなのか、オルガにはわかる?」

 ややこしいけど、三日月の思う「理想」「選択」については細かく纏めながら見る必要がありそう。

 三日月はオルガが見せる理想の未来に行きたいと約束している(そしてオルガの最大の行動原理はそれ)ので、火星の王になる件も「オルガが望むなら(それが理想の未来なら)」となるのですが、三日月はその一方で一応「自分がやりたいこと(農園を作る)」を自分の中に持っている人間でもあり、そこの食い合わせが実は微妙にうまく行ってません(クーデリアがこの「オルガが望むなら」に対して一度三日月を呼び止めているのは、その不整合に気づいているから)。

 「いつもきっぱりしすぎている人間」である三日月が、「自分の中の自分だけの理想」とは直結しないはずのオルガにだけは問答無用で従うわけで、三日月には果たして「未来の選択肢」「未来の理想」とはどう見えているものなのか。

 作品全体として、三日月の本心が見えづらい描写を意図的にされているのですが、三日月が求めている幸福とは何なのか、それは誰が与えるものなのか、果たして三日月には与えられるものなのか。それはオルガやクーデリアのみならずおそらくは三日月にもわかっていない。

 そう思うと、三日月の生きているうちの目標である「農場を作る」は、自分で選んだ道なのだからその先に自分の幸福と魂の救済があるに違いない、と思いこもうとしているだけの話にも見えてきます(自分がやりたい研究以外を平然と切り捨てているのも、それを踏まえれば納得)。

 そんな中、タカキは自分の意志で自分だけの幸福を発見し、そのために生きることを選んで行けた……というところに、三日月は安堵したのだと思います。

 「タカキの家族はフウカだけ」と一見冷たい言葉なのですが、言い換えれば「フウカの幸福を与えられるのはタカキだけだし、その先の幸福を得る権利があるのもそれを選んだタカキだけ」なので、昭弘がフォローしたように三日月なりの思いが入った言葉なのでしょう(この辺、三日月って割と抽象的な言葉ばかり並べる人間なので、どこまでそう考えていいかわかりづらいですが)。

 そして三日月の方は、既に腕と眼が使えない(=選択肢は昔より確実に減った)わけなので、生きているうちに自分だけの幸福にたどり着けるのか? という不安を抱いてもおかしくはなく、理想の場所が「ずっと遠い」とか言いだせば約束した手前オルガは謝るしかないのですが、三日月はその言葉に他意がなくて首をかしげるという酷い会話(笑)

 基本、本作は善意=呪いなので、下手なこと言わない方がいいぞ三日月!

 そしてその善意の化身にして歩く呪いのような存在となりつつあるアトラ、今回も登場せず(^^;