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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

鉄血のオルフェンズ 36話感想

アニメ感想 鉄血のオルフェンズ 金元寿子

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の感想。

 イオクのために動き出したモビルアーマーはプルーマというオプション兵装や尻尾攻撃を繰り出してイオクの部下を次々撃破。マクギリスたちは一時離れ、イオクは部下に説得され、撤退することに。

 「クジャン家の未来をお考えください! イオク様の命は、あなた一人のものではないのです!」

 この仇を取ることを誓うなど、善良ではあるイオクですが、非常に惨めな敗走で凄まじいポンコツっぷり。

 採掘場をシノたちが確認(イオク撤退直後、ザックがプルーマによる燃料庫襲撃を確認するシーンが入るなどするので、ちょっと時間の流れと場所の移動がわかりづらい)した結果、モビルアーマーは既におらず、ギャラルホルンモビルスーツコクピットを正確に貫かれて全滅。

 「君は、あれをどう見た? 三日月・オーガス

 「凄かったな。凄く綺麗だった。地球で見た鳥みたいだ」

 2期になってから、意図的にそうしているような気がするのですが、割と他人に促される感じで三日月が物事に対する感想を述べたり、自分の心情を言葉で現したりするシーンが増えた印象。

 特に「綺麗」という表現を使うのはおそらく劇中で初めてで、そういう表現しがたい感動を三日月が覚えたのは、面白い要素。

 で、モビルアーマーの説明を聞きつつも、マクギリスの言葉と三日月の返答に対してオルガが険しい表情をしているのですが、どうも流れ的にこれ、マクギリスが三日月の興味を引く要素を与えたのが気に食わないみたいに見えてしまうのですけど(笑)

 ヒロインの座を懸けた争いが、今、始まる!

 ……冗談はさておき。

 「鳥ではないよ。あれは、天使だ」

 この後、マクギリスによる解説を受ける三日月ですが、食事をしながらも「人口の4分の1を殺戮した」と聞いて手で「4」「1」を作ってみるなど、話の内容に興味がある様子を細かく示します(前回書いた通り、三日月はクーデリアに畑で採れる作物の価値を説いたりしているので、計算が全くできないわけではない)。

 厄祭戦は天使の名を冠したモビルアーマーにより引き起こされ、それを討伐するためにギャラルホルン創始者アグニカ・カイエルをはじめとする者たちが、悪魔の名を冠するガンダムフレーム72体を生み出したのだという。

 1期でガンダムは戦争を終わらせるために作られたものと示されており、話の内容からして「強大な力を持つガンダムを『神の偶像』とし、それに対する信仰や畏怖で統治する」という印象だったのですが、流石にそれだけでは無理があるのではないかという部分を、「人類共通の敵」が存在していたから、という理由で補強。

 ……って、そうなるとマッチポンプだったのではないか、厄祭戦

 いくら「天使」と言っても機械である以上、それを生み出したのはまぎれもなく300年前の人類であるはず(劇中、人類史以前の太古の文明とか地球由来でない地球外出身の知的生命体は一切登場してません)なので、そこにある意図は最初から仮想敵とすることだった、と思うとつじつまが合うのですが(1期終盤でマクギリスがグレイズアインをバルバトスに倒させることでギャラルホルンの腐敗を表明した、という話ともつながりますし)。

 その面で考えると、モビルアーマーにはプルートの生産機能がある(機械が機械を生み出せる)という部分も含め、人工知能を有している理由は人間に一切の責任が帰属しないようにする(全て自律機械のした意思決定にして、全責任を機械が負えるようにする)ことで、完全に人間から断ち切った敵対者とするためなのではないか、と推測してみたり。

 まあ、いかなる理由を上げようとも(例えば人類を助ける平和利用が本来の計画で、AIの暴走で人類殲滅に切り替わったとか)明らかに破壊兵器を装備した高度な人工知能を有する巨大な機械に天使の名を冠してしまう開発者確実に狂人ですけど。

 マクギリスの降りてきた基地が襲撃され、マクギリスはモビルアーマー復活はギャラルホルン側の失態だが掘り起こしたのは鉄華団であるということから協力して迎え撃つ作戦を提案。オルガはそれを呑んで、行動開始。

 「ようやく地固めのできた火星を手放すわけにはいかない。それに、イオク・クジャンの言っていた七星勲章……私も欲しくなった

 前回時点では勲章以外の策略があるのかと思われたマクギリスですが、ここで七星勲章を狙うことが明確になると同時にモビルアーマーの処遇はまだ決めていなかったことがはっきりしました。

 正直、私はマクギリスとヴィダールが双方何か策を練っていると思っていたので、何も考えていなかったのは拍子抜けしましたし、ヴィダールは普通に推理を外したことになるのですが、推理を外した原因は「マクギリスの策略を読み取れなかったから」ではなく「マクギリスの策略を深読みしすぎたから(ヴィダールの洞察力が鋭すぎたから)」とすることにより、ヴィダールがただのポンコツで済まないように若干のフォローが入りました。

 とはいえ、「ラスタルを超える」と言いながら現時点では具体的な方策を示せなかったマクギリスに、今回のヴィダールの推理ミス(とイオク様の暴走)は「七星勲章」という選択肢を明示してしまったことになるため、少なくともマクギリス側に何も利益を与えなかった、という話にもなっていないのが、面白いところ。

 勿論、ヴィダールは「マクギリスが知っていて自分が知らない情報」があるために推理ミスすることはありえても、「マクギリスが絶対に知らないと言える情報」から推理をしているとは流石に思えないので、イオクならともかくマクギリスはほっといたところでいずれ七星勲章に気づけた可能性は十分に考えられるのですが、今回でその時期を早めてしまったのは確実で、それはかなりの痛手になる可能性もあります。

 で、ヴィダールが深読みしすぎた原因を考えると、「マクギリスの持つ知識と彼の知能なら七星勲章には当然気づけたことだろう」という話だと思うのですが、言い換えればそれは「マクギリスの能力を信頼していた」ということである、というのはなんとも皮肉な話です。

 石動の言及によればモビルアーマーは人口密集地を目指すということで、一番近いのは当然クリュセであると気づく三日月たちは、さっそくクリュセへ向かい事の顛末をクーデリアに伝えるが、クーデリアはシェルターへの避難を拒否。

 「そうなれば、必ず立場の弱い人々がつまはじきにされます。そういった人達の助けになればと、このアドモス商会を立ち上げたのに、真っ先に逃げ出しては、この先誰も信用してくれません。三日月達が今を懸けて戦っているように、私も、自分の仕事に命を懸けたいのです」

 目先の命を心配するのは当然ながら、しかしその先にある未来のために、という選択をするクーデリア。全面的に肯定できるわけではないですが、単なる善意で選ぶのではなく、その先を見越した計算まで加えた上での選択という形で、印象を良く見せました。

 同時に三日月の戦いにも言及することで、鉄華団への信頼があるから、という面でも「逃げない」という選択肢に説得力を持たせています。

 で、それを隣で聞いていたアトラ。

 「なら、私も逃げない。この町にはおかみさん達もいるし、クーデリアさんを放って行けないよ」

 まーたこの子はそうやって、善意で人を追い込むっっ(^^;

 しれっと「自分が逃げないならおかみさんたちも逃げない」という前提なのもおかしいですが(実際、おかみさんはアトラを捨てて逃げるような人なら幼少期のアトラを救ってないと思いますが)、ここでアトラが「クーデリアさんの命はクーデリアさんだけのものじゃない」とか言って説得すれば、素直にクーデリアは従って逃げる方に転換した可能性もあるのですけど、そこで「アトラも逃げない」ために余計にクーデリアが逃げられなくなったぞ!

 この構図、前半のイオク様&その部下たち(善意で戦おうとするイオクを説得して逃がし、それに従って逃げるイオク)と綺麗に対になっているのが凶悪です!(笑)

 しかもクーデリアだけでなく、アトラが残ることで鉄華団は余計に失敗が許されなくなってしまう(三日月の個人的感情抜きにしても、アトラが鉄華団メンバーである以上は、仮にも「家族」を称する鉄華団が黙って見殺しにするような杜撰な仕事をするわけにいかなくなる)ので、あちこち逃げ道が塞がれていきます。

 本人には本当にまっっったく悪意が無いし、実際クーデリアとしてもアトラが隣にいるのは心の支えになっているのでしょうし、アトラ自身は物語の流れ的にも死にそうにない感じ(金元寿子だから仕方がない)なのですが、置いておくだけで周辺の人生強制ハードモードみたいになってきてて、本当に怖いよこの子の善意(^^;

 それを伝えに戻る三日月(こういった部分の場面転換と時間経過の描写が今回、妙に雑でそれが非常に残念)、迎撃ポイントを聞いてバルバトスに向かう。マクギリスもまた、グリムゲルデ改修機体を石動に任せ、準備を進めていた。

 昭弘たちは、谷間に進むモビルアーマーを追いかけ迎撃ポイントまで向かうが、その時横からの砲撃を受けて、モビルアーマーが進路を変更してしまう!

 「見たか! 正義の一撃!」

 こ の ヤ ロ ウ (笑) 

 進路変更で農業プラントに向かうモビルアーマーへの対処に鉄華団が慌てる中、コクピットから出てきて空を仰ぎ見つつ感激に浸るイオク様。

 「これで手向けになるか? お前たちの忠義のおかげで、あのモビルアーマーに一矢報いることができた……」

 ……えー、これまで「ダメな大人」を度々描写してきた『鉄血のオルフェンズ』ですが、ここまで超ド級のハイレベルダメ人間が出てくるとは夢にも思いませんでした(笑)

 現状を全く確認しないでコクピットから出てきてしまっているという戦闘技術の稚拙さを通り越したダメっぷりに、死んだ者たちの意思を都合よく解釈して自分だけ勝手に感激(1期終盤のオルガやメリビットと全く同じです)し、正しいことをしたのだと信じて疑っていないというとんだ「善人」っぷりで、よくここまで突き抜けるセリフと展開を用意できたものだと、謎の感動までおぼえてしまいました。

 そこに降りてきたジュリエッタ、モビルアーマーには全く攻撃が通じていないことを告げるが、それを知るとまたコクピットに戻って出ようとするイオク様。

 「いいから! もうあなたはおとなしくしていてください!」

 あ、ついにキレた(笑)

 昭弘たちが追いかけ、農業プラントに向かうモビルアーマーの前に立ちはだかるライド。そこにモビルアーマーが撃ち出したのは、ビーム兵器!

 ナノラミネートアーマーなら耐えきれると説明され、実際に受けたライド機は手などの一部を破壊され計器類にしばらくのノイズが走るも、コクピットはほぼ無傷で無事。しかしモビルスーツに命中して拡散したビームは、農業プラントを壊滅状態に追い込んでしまった。

 それまで日常生活を営んでいた農業プラントの人々が、何もわからないままいきなり火に飲み込まれていく、というストレートにきつい被害描写。

 激昂するライドはプルーマの群れに飛び込んでいくが、飲み込まれそうになる。そこに入ってきた、バルバトスの救援。

 初代ガンダム踏襲のトリコロールなバルバトスですが、足を見せるだけでバルバトス(三日月)だと一目でわかる、というのは演出面でいい作用をしています。

 一方マクギリスは、石動と共に移動中のところ、ガンダムヴィダールと遭遇する……で次回に続く。

 今回脚本の吉野弘幸さんは、本作初参加。途中述べたように時間経過や場面転換の難点は見えたのですが、イオクのハイレベルダメ人間っぷりを余すことなく描写するという、とんでもない仕事。

 無能様のイオクっぷりは、シリーズ構成や監督の指示によるところが大きいと思われますが、「見たか! 正義の一撃!」「これで手向けになるか?」と立て続けにすごい勢いのダメ台詞を並べられたのは、恐るべし(笑)