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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

鉄血のオルフェンズ 46話感想

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の感想。

 シノの突撃失敗により、ホタルビを自爆させてチャフをばらまき撤退することに決まる鉄華団。三日月はシノに代わって突撃しようと考えるが、それを妨げるジュリエッタ。しかし三日月の攻撃で、重傷を負う。

 (違う……この人の強さは、私の知っているどんな人間とも。いえ……もはや人間では……)

 阿頼耶識をフルに使う戦術と容赦のない戦闘は、確かに異形のそれなのですが、敵を倒せなくとも守りたいものを守れればそれで勝利と覚悟が決まっているジュリエッタも精神的に突き抜けていて、人間の意義が曖昧に。

 そのころマクギリスとガエリオガンダム同士の戦闘に、手が出せずにいる石動は鉄華団の作戦失敗を悟る。

 「どうしたマクギリス? お前の信じたバエルの理想は、その程度のものだったのか!」

 「言ってくれるな、ガエリオ! 私の理想を否定するお前も、結局は禁忌の力に手を染めているではないか

 涼しげな顔ですが、この段階に及んでマクギリス、ガエリオを揺さぶる材料がその程度の悪口しかないのは、本当に追い詰められている感じがする(^^;

 「これが、お前の心を救ってやれなかった俺自身のけじめだ! お前の信じる力で、お前を殺した時! 俺たちはようやくわかりあえるだろう!」

 「イカれているな、ガエリオ!」

 「正気ゆえだ!」

 一方のガエリオも、人が個人の力だけでなく調和の中で生きていくものならば、人は人を救うべきであるし救えないことは罪という前提の上で、この段階で未だにマクギリスを救おうと考えており、しかもその手段が「自分も同じレベルまで落ちてやって、マクギリスを殺す」であるという、凄まじい狂いっぷり。

 そしてそれを、愛と信頼を受けて生きているが故=正義のため、だから正気ゆえの狂気と考えているという、凶悪さ。

 ガエリオ、「人の信頼と愛を背負って生まれ変わった」って物凄いヒーロー設定を背負う一方、その執行手段が完全に壊れていて見事に愛と正義が暴走したモンスターと化しているのですが、乗っているMSの装備は誰がどう見ても殺意の顕れでしかないドリル膝だし、カラーリングは紫だし、メタルヒーロー好きな身としてはすごくゾクゾクする内容で興奮します(笑)

 なんだかんだ五分の戦いを演じるマクギリスだが、アルミリアに刺された傷が痛んで動きが鈍ったところを殺されそうになる。そこに石動が割り込み、石動の言葉を受けて鉄華団と合流しに向かうマクギリス。

 「まだわからないのか?! 奴の語る理想の、犠牲になっていることが!」

 「例え流血の先だとしても、准将の下でなら夢を見ることができた……」

 石動は、後ろ盾のないコロニー出身ゆえにギャラルホルン所属でも明日の夢も見られない身、と出自を説明。狂信者と前回設定された以上、そこは無闇に語らなくても問題なかったと思うのですが、わかりやすさを優先したか。

 先に書いた通り、ガエリオは積極的にマクギリスを救おうとして叶わないという立場ですが、他方マクギリスが積極的に救おうとしていない石動は、自らの意志でマクギリスの理想に寄り添うときだけ救われている、と対比してくる、えぐい流れ。

 人を救うために力を使わないマクギリスなど、ガエリオにして見れば悪の頂点なのですが、石動という「マクギリスに救われた者」が飛び出してきて、でもそいつはマクギリスが積極的に救おうとしてたんじゃなく、自分で勝手にマクギリスに救いを求めてただけ、という。

 なんだかんだ言っても、理想のためにあらゆる命を犠牲にすることに一切躊躇いのないマクギリスは邪悪と断言して差し支えない人間だろうし、それを心の底から信仰している時点で石動は狂人と言っても問題ないレベルだし、マクギリスのための捨て石として惨たらしく死ぬというのは客観的にはバッドエンド以外の何物でもないですが、死の瞬間まで夢を見たままだった石動は、実は幸福な最期を迎えたのではないか? と揺るがしてきて、とにかく放り込まれる要素が凶悪(^^;

 「俺も、一度は奴の理想に夢を見た。……もう、覚めてしまった。過去の夢だ」

 その一方でガエリオは、夢を変えることは不可能ではないし、変えられないまま間違った道を歩むのは不幸以外の何物でもないと、さらにえげつなく切り捨ててしまうわけですが、そこで間違った道以外を信じられるようになるにはどうすればいいのか? は、微妙に濁していて悪辣。

 1期最終回の「罪? 救う? ……それを決めるのは、お前じゃないんだよ」がここに繋がってくるのですが、では人を救うのは何なのか、って回答の一端は、ここのガエリオと石動の対決に出てるんじゃないかなーと思う次第。

 大打撃を受け、今後の戦況について混乱する中、鉄華団とマクギリスは火星に戻って体勢を立て直すことを考えるが、どう考えても戦力不足。

 鉄華団らしくないな。君達は常に、圧倒的に数で差をつけられた戦場を、その力でくぐり抜けてきたじゃないか」

 涼しげな顔で言ってますが、ここで別に何か策があるのではなく、今までなんとかできたんだからここでも何とかできるだろうという楽観で、完全に万策尽きてやがるこいつ(笑)

 マクギリスの境遇を考えたら、本気で何もかも失ったとして0に戻るだけだから涼しげな顔もしてられると考えられなくはないですが、ここで「鉄華団の力への信頼」がすごくマイナスな方向に抉りだされ、本当に持ち込まれる内容がいちいち凶悪で酷いよこのアニメ!

 2期に入ってからの策の弄し方の甘さなど、マクギリスが本気で革命を成し遂げようと考えているのかさえ怪しい領域になってきていますが、「自分が世界に何かした証明が欲しい」「何でもいいから残したい」って考えで動いていると見えなくもなくて、精神的にはもう超人か魔物のどっちかだろう、という気もしてきました。

 なんだかんだ、トリックスターとして話を引っ掻き回す役割は十分すぎる以上に果たしているので、面白いのですが(笑)

 死んでいった団員に泣きごとを言うオルガを責めるヤマギ、そのヤマギをなだめてシノの話をするユージン、何かが変化したアトラに気づくハッシュ、と団員回りも色々整頓。

 ていうかシノ、ヤマギが自分に向ける「好き」を、完全にそういう方向で認識していたのか(笑)

 シノの言葉により、突出した人間が何かを引っ張るのではなく、個性豊かな面々が生きる鉄華団という姿がおぼろげに輪郭を見せ、馴れ合いで今を取り繕うラスタルとも個の力の尊重以外が存在しないマクギリスの理想とも似て非なるものとして出てきたのですが、そういうことが判明するのはいつも何かが終わった後で手遅れ、という見せ方を意図的にやっているのは、実にえげつない。

 本作の場合、えげつないとか酷いとか言ったら全部褒め言葉になりそうなぐらい、全体がシニカルな構造で、こういう作りをすることの是非を言いにくいのが困ったものなのですが(^^;

 「俺は今まで、散々吹いてきた。「この戦い次第でいい目にあえる。金も立場も全部手に入る」」

 「金は手に入ったよ。立場はよくわからないけど」

 「あんだけ吹いたのによ……でっけぇ嘘、ついちまった」

 「オルガに嘘をつかせたのは、俺だ。俺が邪魔する奴らを全部片づけてれば、オルガの言ったことは嘘にならなかった。俺が、最後にできなかった」

 その言葉を聞いて、思い直すオルガ。

 (仲間を間違った場所に連れてきちまったんじゃないか? そんな迷いは、思い上がりだ。 お前が連れてきてくれた。みんなが連れてきてくれた。俺の言葉を実現するために、支えるために、お前らが)

 ユージンたちは、自分たちが追い詰めたのではないかとオルガがいないところで悩んでいるのですが、対するオルガは自分が引っ張ってしまったのだと悩んでいたズレが、三日月の言葉でオルガは前向きに転換するものの、三日月以外の誰も知らないことである、というさらに厄介な話に。

 「三日月の前では格好よくなければならない」だったはずのオルガが、鉄華団という組織をまとめる中で、いつの間にか「三日月の前でだけ格好悪くなれる」になってきていますが、きっかけはやっぱりビスケットの死と直後の三日月の後押しだったのだろうか、と思うと今回の三日月の「オルガに嘘をつかせたのは、俺だ」もそこにかかっている気がします。

 そして、ガエリオなどに現れている本作の「大人」の扱い――一旦嘘をつける人間になっても、いずれ自ら真意を明かせる人間になること、を考えたら、「オルガは三日月の前でだけ大人になれる」だけでなく、「三日月は自分から嘘をつけないので、オルガが嘘をついてくれることでなんとか大人に近づける」という構図にもなっていて、単なる依存ではなく互いの足りない部分を補いつつ強くなるという要素も見えてきます。

 後は、オルガが三日月以外の前でも大人になることができればいいのですが、それが作品の着地になるかどうかは、微妙(^^;

 またオルガのいる状況、「人の信頼を受けた上で、信頼・尊敬できる人間を持ち、そのために向上しようとする」というもので、実はガエリオジュリエッタや石動と近い位置にいるのですが、ガエリオと石動のように本当は同じラインを走っているはずなのに立場の違いなどが原因で互いに理解できていない、というのがこの世界観のまたえげつないところ。

 1期から見えていた、「絶対的に「正義」と呼べるものは確実に存在するのだけど、それが一筋縄で通用しないしそれで人を救えると限らない」というのが、作中における「正義」が固まってきたことで、より悪質に浮かび上がってきた気がします。

 オルガが迷わないことを決める一方、マクギリスはギャラルホルン火星支部支部長と会話。

 なんと、まさかの軍籍剥奪。

 どういう理屈でバエルを持つ者を否定するルールになったのか不明ですが、仮に正当な方法でルールが替えられたのであれば、マクギリスが倒れても世界に変革が訪れる、という話になるのかなあ……。

 正直、流れとしては鉄華団全滅&マクギリス死亡が筋が通るのですが、お話としてはそれだと面白くないので、なんとか捻ってほしい(^^;