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ぼんやりと特撮・アニメなど

特撮やアニメの感想を適当に投げるブログ つぶやき → https://twitter.com/wayohmugen 某mugen製作 →https://onedrive.live.com/?id=3AB66F1D6B2F66E4%21139&cid=3AB66F1D6B2F66E4

時空戦士スピルバン 第23話感想

時空戦士スピルバン』の感想。

 特撮では『仮面ライダー剣』の後半、アニメでは『鋼の錬金術師』『コンクリート・レボルティオ』などで活躍する會川昇さん(当時は本名の「会川昇」名義)が参加、これが特撮デビュー作とのこと。

 かつて鬼が住むという伝説があった竜神山で相次ぐ遭難事故。米田博士は竜神山に登山しようとして、息子の健太と娘の百合に止められるが、振り切って山の中へ。

 米田博士は、差出人不明の手紙に従い竜神山にやってきた。米田博士は研究から、竜神山周辺の異常気象は山に落ちた隕石のエネルギーによる可能性が高く、鬼伝説として伝わったのは隕石を守る宇宙人ではないかと仮説を立てたのだが、マスメディアは宇宙人と聞くなり博士を嘲笑ったのであった。

 「今度こそ、私を軽蔑してるやつらを見返してやるんだ!」

 回想開けての第一声がこれで、すごく、ダメな雰囲気。

 後で健太が言うには、仕事に没頭していたばかりに妻は待つうちに疲れて亡くなったとのこと(しかもこのこと自体は一切フォローされない)で、果てしなくダメ人間です米田博士(^^;

 実際、仮説は一部当たっていて隕石が竜神山に落ちていたので、博士はその分野では本当に優秀だった模様ですが。

 博士の抱く仮説に根差す「鬼の伝説」「宇宙人」について、露骨にバカにするマスメディアの姿も含め、この辺「子供の夢を抱いたまま大人となった人間」と解釈すれば後の『コンクリート・レボルティオ』などに共通するテーマ性になりそうなのですが、博士が鬼の伝説と宇宙人を結び付けるに至った経緯など一切語られないので、深読みしすぎか。

 そのエネルギーを使えば真水を容易く抽出することができると踏んだワーラーの手で、隕石の発掘作業が進められていた。遭難事故は山に人を寄せ付けまいとしたワーラー帝国の策略で、竜神山の地理に詳しい米田博士を発掘作業に携わらせることを目的として手紙で呼び寄せたのだ。

 博士に「この山を知り尽くしている」と前もって言わせておくことで、ワーラーが博士を特別に狙う理由づけに説得力を持たせているあたりは、手堅い作り。ここ数話忘れ去られていた感じになりつつある「ワーラーは綺麗な真水が必要」という要素も、きちんと作戦に組み込んできました。

 こういう丁寧さが光るだけに、デスゼロウ将軍があっさり姿を現して博士を力づくで従わせてしまう強引な展開になるのは、尺の都合とかあるのでしょうが惜しかった部分。

 一方スピルバンは独自にエネルギー反応を竜神山に感じ取り、鬼の伝説と遭難事故の情報からワーラーの気配を感じて調査に。その中で父に憎まれ口をたたく健太と、それでも父が好きと言い続ける百合を発見。

 「嘘をつくなよ」

 「嘘じゃない!」

 「俺も父さんのいない寂しさ、わかるつもりだ」

 ここでドクターバイオ関連の回想を入れなかったのは小西監督の裁量もあったのでしょうが、スピルバンが「わかる」と断言するのではなく「わかるつもり」と微妙に濁しているあたり、前々回戦闘を繰り広げたばかりという複雑な心境を読み取れるようになっていて、印象的。

 健太たちの父が米田博士と知るスピルバンは調査を開始するが、戦闘機械人ゴドラーが出現、百合が誘拐されてしまう。博士は百合を人質にされてやむなく隕石を探し当て、隙を突いて逃走を図るが失敗、殺されそうになる。

 そこに健太と百合の飼い犬であるタローが、百合の匂いを追いかけるスピルバンの考えで到着し、将軍に体当たり!

 映像的に犬を投げつけてぶつけたみたいになってしまっていますが(笑)

 タローについて、話の中で役割を持たせたあたりにも生真面目さというか手堅さというかそんなものを感じるのですが、ここまでタローの存在や能力についてあまり強調されていないのでやや都合よく転がった感じが否めないのは、やむなしか。

 スピルバンが博士を助け、ダイアナとの連携で隕石は破壊、ゴドラーも撃破。米田博士は子供たちの言葉を聞き入れなかった己を恥じ、親子は和解するのであった。

 ラストシーンでは親子の和解を喜ぶスピルバンが、その後に少しだけ暗い表情を見せるあたり、演出と渡さんの演技が秀逸。

 後年の會川さんのインタビューでは「(以降『アバレンジャー』まで東映特撮の仕事がなかったことについて)『スピルバン』がしんどかったから、別にいいやって(笑)」「何回書き直したんだろう」と述べており、その後の諸々についてのきっかけとしてはともかく仕事自体には微妙な反応を残している感じなのですが、劇中の要素の使い方は多少荒いところが見えつつも堅実にまとめられており、面白かったです。

 台詞や場面転換も露骨に過不足は無く、密度の割にテンポよく進んでいた感じ。ここまで実質上原さんだけの脚本で構成されていたところに、違う空気が吹きこまれたのも新鮮でした。

 ところで、冒頭では江戸時代の鬼が描写されるもののそれから全く触れられず、鬼伝説の正体は謎のままに終わってしまっているのですが、今後の伏線として引っ張られることはおそらくないだろうし、いったい何だったのか。

 脚本の初稿では正体に触れていたのかもしれませんが、劇中では一切手がかりなしで、それも「江戸時代」と明確にテロップで記したために単なる伝説ではなく作中世界で実際にあった事件だと思われるあたり、本筋にあまり関係ないとはいえモヤモヤします(^^;

 次回、2201年の挑戦。