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キラキラ☆プリキュアアラモード 第22話感想

キラキラ☆プリキュアアラモード』の感想。

 ところで、本作の妖精はここまで頭の二文字が語尾になっているのですが(ペコリンは「ペコ」、キラリンは「キラ」)、するとピカリオは電気ねずみよろしく「ピカ」なのだろうか。

 そして、その流れで「ジャバ」を語尾につける長老の本名は何かが気になったのですが、ふと「ジャバウォック」が頭に浮かんでしまい長老のラスボス感が一気に増してしまって危険なので、一旦この話題から離れます。

 

 ううむ、ジュリオ/ピカリオの設定と展開が、ここまで突き抜けるとは思っていなかった……。

 今回の設定が色々とツボにはまってしまい、冷静に見れてない部分があるかもしれません(^^;

 前回から続いてプリキュアとの戦闘になるジュリオ、体内から闇のキラキラルを取り出し、プリキュアの個別技を跳ね除けるなど以前より強敵であることをアピール。するとキラリンは、ジュリオの髪飾りに気づいて、彼の正体が双子の弟ピカリオではないかと呼びかける。

 「ふん、やっと気づいたか。だが、そんな名前はもう捨てた」

 「捨てたって何キラ? ずっと心配してたキラ! あなたをさがして」

 「うるさいんだよ! 人の気持ちも知らないで姉さんぶるな!」

 キラリンを払いのけたのち、怒りに身を任せて強大なエネルギーを放出するジュリオ。プリキュア(とまだ帰還せず残っていたビブリー)は巻き込まれ、吹き飛ばされてしまう。

 変身解除されたいちかたちが目を覚ますと、先の攻撃で空いた大穴の中。どうやらいちご山は内部が空洞になっていて、キラキラルの光が溢れだす空間だった。

 キラキラル関係の設定が割合ふわふわしているので、ますます謎が深まっていくのですが、これは『ファイナルファンタジー7』のライフストリームみたいなものと解釈していいんでしょうか(^^; なおこの空間、長老も存在を知らなかった模様。

 ピカリオに拒絶され落ち込むキラリン。長老は留学先で何があったのか尋ねるが、キラリンには心当たりがなく、ある嵐の日に突然キラリンもスイーツも嫌いと言い残して消えてしまったという。そこに追撃に現れるジュリオ。

 「どうしてキラ? ピカリオも一緒に、プリキュアになろうって……」

 「違ったんだよ! お前とは全然違ったんだ!」

 闇の手の攻撃にプリキュアは弾き飛ばされるが、ホイップはそこでジュリオの想いをキラキラルから読み取る。

 プリキュアを夢見る資格があったのは、才能があったお前だけ……俺は、何もかも最初から違ってたんだよ!」

 そう、パリでの修行の中で、ジュリオは行き詰っていたのだ……

 男はプリキュアになれない!

 じゃなくて、

 杖の木から魔法の杖を貰えなければそもそも一般人未満

 でもなくて、

 めきめきと実力を上げていく姉に対して、伸び悩んでいる自分には才能がない、と。

 だから伝説のパティシエになる、どころかそれを夢見る一介のパティシエになる資格さえないのだと。

 「何を言ってるキラ! ピカリオだって……あの時のワッフル!」

 まだいちご山でスイーツづくりをしていたころ、自分を励ますためにピカリオが作ってくれたワッフルはキラキラルで輝いていたことを思い出すキラリンだが、ジュリオにとってはただの一回きりの偶然でしかなく、パリでの修行で募らせた想いを吐露。

 今回、ここまで入れられる余裕がなかったとはいえ初めて判明する事項が多く、そのために回想を多用していてテンポが悪いのが難点。

 キラリンが人間のパティシエの元、実力を上げていくのに対して、ピカリオは全然上達せず。精神的に参っていたところに追い打ちをかけたのは、シエルが修行の成果で人間に変身できるようになったことと、その時ピカリオが作ったワッフルに対する、

 「うん、おいしいよ。でも、いちご山で作ってくれたワッフルの方が、もっとおいしかったな

 という言葉。その言葉に絶望したピカリオは街をさまよう中でノワールと出会い、

 「君には、埋もれた才能がある。君にしかない力が……」

 という言葉と共に与えられた闇のキラキラルの力でジュリオに変身。そしてキラリンとの別れに至ったのであった。そして今や、ジュリオはその力でプリキュアを倒すことにより、キラリンが目指した理想を否定する道に走る!

 判明したジュリオのバックボーンですが、かなり複雑に入り組んでいて、いきなりこれを叩きつけられた時は流石に面食らいました(^^;

 今回のこのエピソード、ジュリオの視点から一方的に叩きつけている話であってかつキラリンもまたピカリオの意志を理解できなかったことへの後悔を表しているため、一見キラリンの態度に問題があるように見えるのですが、実際のところキラリンの態度に正当性がないわけでもなければ、ピカリオの態度に全く問題はないのか? という疑問も実はあって、読み解くのがかなり厄介なので、順番追って解読。

 まずキラリンの台詞について、気が滅入っているピカリオにして見れば現状の否定だし、事情を知らない第三者の視点で言えば「今より以前の方がおいしかった(上達どころか退化している)」と叩きつけたと読み取れてしまうので、その点キラリンの言葉選びに問題があることを否定はできません。

 しかし、パリでのピカリオのワッフルは映像でも露骨に形が崩れた「失敗作」であり、キラリンの視点から見れば「ピカリオは自分自身でこれが失敗作だと気づいているはず」だと読み取る(実際、回想シーンのピカリオの身の振りようを見ればそこは間違いない)わけで、そうなると「いちご山で作った方がおいしい」は「これを成功だと思ってはいけない」という形でのピカリオの矜持の尊重であり、加えて「現状も十分おいしい」で才能の肯定もしているという形での、励ましの言葉だったと解釈もできるわけです。

 だから「キラリンの言葉選びに問題はある」けれど「そこに悪意はないし、タイミングによっては有効だった」というのが明白で、故に正当化はできないけど否定もできないことになります。

 そこでピカリオの態度ですが、本人は姉に追い付くために努力をしたように説明しているのですけど、キラリンが人との交流をしていたという台詞、帰宅時のキラリンが毎度ピカリオがいることを前提の言葉をかけていることから、どうにも屋根裏部屋から出ないで引きこもったまま、人間に触れずキラリンとだけ交流し、本の知識と自分の感覚だけで修業を行っていたと思われます

 喜んでもらえたワッフルの再現に拘るあまり引きこもりっぱなしで、人とのコミュニケーションなどの勉強やってないんじゃないか、と。

 (まるで成長していない……誰かピカリオに基礎を教える人間は居るのか? あいつフランス語はどうなんだ? 現地のパティシエと上手くコミュニケートできてないようだ)

 ……それはさておき(今回色々重いので、たまにこうしておかないと書いてて潰れそうになります)

 この辺り、キラリンが外での修行の結果人間の姿を得たのは、スイーツの本の知識だけでなく広い世界での人との交流や他の知識の吸収を踏まえた上での成長――大人になることの暗喩でもあるように思えます。

 かなりネガティブに極端に言ってしまえば、部屋に閉じこもるだけの修行しかしないなら何故わざわざ外国まで足を延ばしたのか、となるのですが。

「なんで喜んでるの? お母さん、外で好きなことしてるだけだよね? 勝手じゃない?」

 と17話でいちかに投げかけたジュリオですが、今振り返るとこのセリフ、いちかの母とキラリンを重ねてのジュリオ側からの一方的批判であると同時に、外に出ないで好きなことだけしている勝手な自分を棚に上げた発言でもあって、こういう形で突き刺さってくるとは。

 このセリフを含め、ジュリオ/黒樹リオは長らく「他人に寄り添う努力をしないのに自分のことは理解してもらおうとする」「狭い視野で一方的に他者を判断し、理解は不可能と簡単に諦めてしまう」という問題点を抱えた人物として描写されていたのですけど、どうにもこれ、ノワールがそそのかしてこうなったのではなく、ピカリオの時点でそういう性質をある程度有しており、ノワールは背中を押したに過ぎないと思われる描写なのが、またきついところ。

 そんなところから、ピカリオは「プリキュアになる」「パティシエになる」夢を、どれほどに思っていたのか。

 明確なきっかけとしては、キラリンにワッフルを喜んでもらえたことなのですが、この辺りつなげると、ピカリオは「プリキュア(パティシエ)になる」は本来どうでもよくて、ただ単に「キラリンに喜んでもらえる」だけで良かったのではないか、と思ったり。

 キラ星シエルみたいに万人が喜ぶパティシエではなく、いちかのように目の前の特定人物を喜ばせようと努力する方向に進めばあまりこじれなかったのかもしれませんが、ピカリオの生来の態度が先の通りだろうし、加えて相手が実の姉となると照れくささが混じって、そういう心情を上手く吐露できる相手がいない限りは、同じなのだろうなあ……。

 そのうえで本作がえぐいのは、そんなピカリオの身の振りように対して、

「どんなに苦しくても、私は闇に逃げたりしないわ。私の性格は、誰のせいでもない! 私が自分で選んでこうなったの! 寂しさも、憤りも、誰のせいにするつもりもないわ」

 と、キュアマカロンは自己責任論で完全に叩き潰してしまっている(しかも「架空の姉を題材に釣る」という、知らなかったとはいえクリティカルヒットのネタで)ところで、それが全部積み重なると「ピカリオが精神的に弱すぎるのが全面的に悪い」というあんまりな結論が出かねないのですが(^^;

 もちろん、非の度合いで「○○が全面的に悪い」はここに存在しないわけで、まして本作がコミュニケーションを重要なテーマの一つとして扱う関係上、完全に自己で閉ざしてしまうその結論は避けてもらいたく思います。

 その辺、ノワールという明確な悪意がピカリオを歪めた一因なのは間違いない(と言ってもノワールに全責任を被せたら「悪いのは幻影帝国」メソッドになってしまいますが)し、キュアマカロンのセリフはあくまで彼女個人の意思表明としてだけのことでピカリオにもそうなることを強要しているわけではないですし、バランスが上手く取れることを期待したい。

 今回の結末を見るに、作り手はそれをきちんと把握していると思うので、不安は払拭できないけど、一応。

 ……しかし、つくづく悪魔の所業だなあ、キュアマカロンのアレ(笑)

 そしてジュリオは上記の性質もあって「自分には才能がない」と認識していますが、仮に人間の姿を得ることが才能の発露としての性質も含んでいるのならば、ノワールの力とは言え人間の姿を得られたジュリオに「才能がない」と切り捨てるのは乱暴だし(その点、ピカリオに才能を見出したノワールの言葉は間違ってないことになる)、ピカリオの言う「才能」がシエルの目指すパティシエの方向しかないのであればいちかがプリキュアに変身できることの説明がつかないわけで、ピカリオは「無才」じゃなくて「努力の方法を間違えてしまった者」という印象が強く感じます。

 ピカリオという個人に向いているものが、ピカリオの望みに合致するかはさておき。

 そんなジュリオの想いを知るキュアホイップだが、放出されるキラキラルにピカリオの想いが表れていることを再度確認し、仲間に自分を支えるよう伝え、ジュリオに立ち向かっていく。

 ――自らは全く攻撃をせず、ただ身を打たれ続けながら。

 激しいバトルの印象が強い『プリキュア』シリーズですが、ここでキュアホイップがとったのはピカリオを救うための非暴力の説得という、まさかの展開。

 「痛い……痛いよ、ジュリオ。めちゃくちゃ痛いよ、ジュリオ! でも……でも、本当に痛いのは私じゃない……」

 ジュリオの闇の波動の出し方がひっかくような手の動作で、感情の発散の方法を知らずに乱暴に暴れる子供を押さえつけるように見える映像が、強烈。

 シリーズディレクターのコンテということもあって、本作が目指した「肉弾戦の廃止」というのは、こういうことをやりたかったのだろうなと、物凄く腑に落ちました。

 と言ってもこれを毎回やるとどうしてもカタルシスの欠如に至るのは明白なので、普段は屁理屈で投げ捨てられた格好になってしまったのは、残念だけど仕方ないとも思えてしまうところ……うーん、「非武のヒーロー」って、特撮だとウルトラシリーズ上原正三さんが長年かかって取り組みつつも巧く表現に至らない要素という印象があるのですが、改めて難しいと感じます(^^;

 「闇の力が強ければ強いほど、感じる……本当に痛いのはジュリオの、ううん、ピカリオの心。大好きなお姉さんに自分を認めてもらいたかった、本当の気持ち」

 その言葉に、動揺するジュリオ。

 「ジュリオの気持ち!」

 「お姉さんもスイーツも」

 「大好きな気持ち!」

 「心の奥底の、大切な気持ち!」

 「そう、その闇の力は! 全部、大好きな気持ちの裏返しってこと!」

 ホイップに叩きつけられた言葉で呆然となるジュリオは、攻撃を休め、その隙に決め技発動。今にも泣きそうなホイップの声と、いかにも力を張っているジェラートと、声優の演技も気合入っています。

 「ジュリオ、私には伝わったよ……あなたの気持ち。あなたは言った、「スイーツなんかで思いが伝わるか」って。でも、心の奥底でそれを信じていたのは、あなた」

 「や、やめろォ!」

 「思いを込めたスイーツなら、大好きな姉さんにきっと、思いが届くって……」

 抵抗を続けるジュリオだが、続けるホイップ。

 「大好きから始まった気持ちはね、それが生まれたときからずっと、消えずに残っているの」

 頑なに心の奥底を否定するジュリオだが、その時女神のような姿が現れ、その力によるものかジュリオはついに浄化され、ピカリオの姿に。

 ……「レスキューポリスシリーズなら死んでた」とか、余計なことを考えたのはなしで(^^; いやなんか、シチュエーションと「憎しみは愛情の裏返し」が『特捜エクシードラフト』の46話を思い出してしまい、プリキュアシリーズなのに割と本気で冷や冷やしました。

 11話の津田さんとか今回のジュリオの皆川さんとか、そのまま死にそうな勢いの熱量で演技するので、本当怖い。

 今回のキュアホイップはジュリオを「倒す」ではなく「救い出す」対象として見たわけですが、以前17話でも「何故こんなことをしたのか話してもらう」と対話の姿勢を示しており、ジュリオがキラリンの弟だから特別救うのでもなければ、あくまで彼の内面の気持ちを思い出させることで立ち上がらせるという形で、過剰な干渉にならないよう調整。

 とは言っても、ホイップはジュリオを「救った」だけで「赦した」わけではなく(17話の対話の呼びかけも念頭にあるのは「私、怒ってるんだからね!」ですし)、また先に述べた通りピカリオの精神面の問題はあくまで妖精時代から持ち合わせているピカリオ自身の問題で、本当の意味でピカリオが「助かる」ためには、これから先の道のりがまだ通そうですが。

 キラリンはピカリオを救い出すキュアホイップの力に、自分の力不足を感じて嘆きはじめ、それをよそに空洞の奥に現れた祭壇から古代プリキュアの力を感じ取る長老。そんな彼らを空洞の入り口から見つめる影があった……。

 前回、展開のための必須条件は満たすものの跳ねるための積み重ねがないので山場の盛り上がりが今一つと書きましたが、今回も正直そういった部分は見えるものの、綿密な脚本とコンテと演出による設定の見せ方と声優の演技で強行突破した印象。ジュリオの設定をここまで切り込んでくるのは、想定外でした。

 闇の手との戦闘とかバトルシーンが微妙な絵面だったのですが、原画&作画監督が定番の青山さん単独なことと、会話シーン優先で意図的にそうしたものでしょうか。

 ジュリオのことがひと段落付き、次回、追加戦士登場。