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キラキラ☆プリキュアアラモード 第31話感想

キラキラ☆プリキュアアラモード』の感想。

 幼少期、泣き続けるいちかにケーキを作る母の姿。

 「いちか、いつも笑顔でいなさい。いちかが泣いたらね、パパもママも友達も、みんな悲しくなるの」

 うわあー、完全に呪いの言葉だぁー!

 えー、今回の話の内容をかいつまんでいうとそこからの脱却・解放になる(泣いてもいい、という話)ので、これでいちかの母の株がいきなり下がるわけではないのですが、開幕からいきなりこれが飛び出してきたのは衝撃を受けました(^^;

 いきなり休みを取れて帰ってきたいちかの母は、夫に荷物を押し付けるとパティスリーにダッシュ。抱きしめられるいちかは涙をこらえつつ、喜びと困惑でいっぱいに。

 しかし、翌日の昼までしかいられないという母の言葉に応じ、家族団欒を楽しませようと後押しするパティスリーの一同。かくして街中でひと時を過ごす一家

 「街をぶらつくだけでいいのか? 遊園地とか行っても……」

 「それじゃお話できないでしょ? いつも通りがいいの」

 その言葉に少し顔を曇らせる母。

 最初の母のセリフのこともあって笑顔をなるべく見せようとふるまういちかですが、ポイントは、いちかがこれまで「泣かない」人間として描かれているのではなく、むしろ序盤1クールほど泣いてないエピソードを探す方が難しいぐらい泣いており、必要な時にはきちんと泣いて助けを求められる人間であるということ。

 そこからこの「泣いてはいけない」をいちかがどう処理したかというと「『お母さんの前では』涙を見せられない」というところに落ちており、それがますます呪いのような印象。

 「いつも通り」と言いつつ、実際は辛い時にも喜びの時にも涙を見せないいちかは、明らかに無理をして大ウソの「いつも」を作ってしまっており、わかりやすく大きなひずみを生んでいます。

 いちか母も母で(自分の言葉の呪いには気づかないにしても)自分が離れて久しい状況からいちかの「いつも」が現在の振る舞いからかけ離れていることを察していると思われますが、一方で「自分がいない状況がすっかり日常になっている」ことに折り合いをつけられないフシがあるのが結構面倒くさいことに(^^;

 いちか母がケーキ作りを提言するのも、いちかを喜ばせるためという理由はもちろんあるのでしょうが、どちらかと言うと昔の自分がいた日常を取り戻したいという気配が強く感じられます。

 結果的には現在のいちかの日常(キラパティ経営中)がそこと噛み合っていたことで、ケーキはいちかが作るという話になり、上手いこと軌道修正につながったわけですが。

 なお、いちかは以前に母が帰国しようとしていた時、作ったケーキを失敗作にしたうえに変身アイテムとしてバンバン活用中です(笑)

 そんな歪な「日常を過ごしたい」が交錯する中で「夕飯は自分が腕によりをかけて作る」と言いだすいちか父だけは、凄く平常運転。

 夕食後、家に仕事の電話が入るが都合がつかず断る母を見て顔を曇らせるいちかに、ケーキを作るのは翌日にして休めと提案する父。

 今回、お父さんが心眼でも身に着けたのかというぐらい妙に鋭いのですが、カラテか、カラテの成果なのか。相変わらず時と場所にかまわず道着姿のまんまなので、絶妙に台無しですが(^^;

 母が外に出る日の夢を経て翌日、ケーキを作り始めるいちか。様子を見に来たペコリンとキラリンだが、何故かケーキは何度やっても膨らまず、宿されているキラキラルも少ないまま。どうやらいちかの気持ちが影響してしまっているらしい……。

 結局、失敗したケーキを持ったまま、それでも笑顔で詫びに来るいちかだが、言葉を詰まらせたその時に、父がいちかの頭をなでる。

 「昨日からずっと我慢していたな? 無理をするな」

 凄く、格好よく美味しいところを持っていった!

 どうしたお父さん、何か悪いものでも食ったのかお父さん(笑)

 1年という時期を置いて上手く距離を測れないまま、その上で互いを思いやりつつ歪な「いつも」を作ってしまっている二人を他所に、独り「いつも」を崩さない格好でいるいちかの父は一歩間違えばただの空気が読めない人になりそう(というかいちかは実際そう認識してしまっている)な綱渡りだったのですが、逆にそれを貫いているからこそいちかのこともきちんと見ていて異変に気づくことができ、二人の間を取り持って歪な状況を治すことができる、という話で本当に格好よく綺麗に収まりました。

 過去の夢では大きな理想と目的のために立つ母を「ヒーロー(ヒロイン)」と称して送り出すいちかでしたが、そんないちかがあまり注視していない、むしろ邪険に扱ってさえいる父の方がこの瞬間にいちかと母にとってのヒーローになってしまうというのが、にくい。

 父が席を外した後、いちかを抱きしめ、涙を流す母。

 「ありがとう、いちか。こんなに優しい子に育ってくれて……ごめんね」

 「……どうして? どうしてお母さんが謝るの?」

 「寂しかっただろうに、もっと甘えていいのに……私のために、ずっと笑顔で頑張って」

 互いに抱き合いながら泣き続ける親子。いちかは泣き止むともう一度だけチャンスをもらい、ケーキを完成させて母に贈る。空港へ向かうバスを待つ一家だが、そこに空を飛んで現れたのはグレイブ……。

 エリシオが執拗な精神攻撃連続でジュリオやビブリーと異なる特性を明確に示した一方、力押し一辺倒のグレイブはどうにも扱いが雑な印象に(^^; 今回、ビブリーがノワールサイドに回収されて放心状態なのをエリシオが眺めており、消去法的にグレイブ出動な空気なのも余計にそういう雰囲気を強めています。

 グレイブを確認したいちかは、母にケーキを手渡す。

 「私ね、お母さんの仕事、本当にかっこいいって思ってる。私もさ、キラパティとかやって、前よりもちょっとはわかるようになったかなって……それでね、私にもやらなきゃいけない事があるんだ。だから、行ってくる」

 本作のプリキュアが単なる「ヒーロー」ではなくパティシエという「職業」の面も併せ持つことを掘り起こして母の活動と接続し、かつ歪な日常から戻ったいちかが、既に日常として組み込んでしまっているヒーローとしての戦いと使命に戻っていく、という流れに。

 ケーキ型モンスター(炎属性)の強力な攻撃を受け止め、笑うキュアホイップ。

 「なんだその笑顔は?!」

 「勝利の笑顔よ。私はみんなを笑顔にしたい。だから戦うの!」

 ワンダフルアラモードで撃破した後、自分の結晶も変化したことを確認したキュアホイップは、自分の作ったケーキを食べた母が乗る飛行機を見送るのであった。

 ヒーローと認識する母への憧れから、また別のヒーロー(父)の登場による救済を踏まえて、キュアホイップもまた改めて誰かのヒーローとなることを誓う、とヒーローの再起/覚醒編として、1話の枠内で無理なく鮮やかに展開。

 また「誰かを笑顔にするために自分が泣いてはならない」という話で一旦思いっきり歪ませたところから、違う方面からの助けで変革・改善していくという構成で、改めて本作が「コミュニケーションの意義」と「自己の肯定とそれに伴う自己責任」を描こうとしているのが見て取れる内容。

 爆弾になりかねないいちかの母の存在でしたが、ネガ・ポジ双方の面をきちんと書きだした上で父の方もきちんと話に組み込んできて、満足の内容でした。

 一方、ビブリーにはノワールが更なる力を与え、次がラストチャンスだと告げられる……。

 次回、新アイテム登場とタイムスリップ。

 って、予告時点でメンバーにビブリーが混ざっているのですが(笑)