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レゴ バットマン・ザ・ムービー 感想

『レゴ バットマン・ザ・ムービー』の感想。

ナルシストで他のヒーローに悪態付いてばかりだが鬼畜で強い、しかし本質は家族を持たず孤独に苦しむヒーロー・バットマン、そんな彼に頼りきりのダメダメ犯罪都市ゴッサムシティ。その新警察本部長に就任したのは、前本部長ゴードンの娘であるバーバラ・ゴードン。

バットマン=ブルースは彼女に一目ぼれするが、その就任パーティでバットマン不要論が飛び出し、さらに宿敵ジョーカー&ヴィラン軍団が自首したことで存在意義を失うバットマン

自身をヒーロー足らしめんとするべく、パーティの席で勢いで養子にしてしまった孤児・ディックを利用してスーパーマンから異次元転送装置を盗んだバットマンは、異次元の監獄・極悪ゾーンにジョーカーを飛ばすが、ジョーカーは協力者と共に極悪ゾーンの悪党どもを率いてバットマンへの復讐とゴッサム壊滅を企んでいたのだった……

  最高でした(笑)

 周囲で好評だったのでどんなものだろうと思って見たら、想像以上に手ごたえのあるヒーロー映画で、完全に侮っていた……。

 開幕から「良い映画は黒い映像から始まる」とか「ロゴがドーン」とかメタ発言連発で始まるので色々危機感を覚えたのですが、その後出てくる主人公・バットマンが全方位に余すことなく酷くて、一気に飲み込まれる展開。

 隠す気配なしに凄く最低で饒舌の本作のバットマンですが、いざジョーカーが逮捕されたら存在意義を失いかけて悩んだり、それでジョーカーの策略にまんまと乗って酷いトラブルを招いたり、その辺はすごく『バットマン』(笑)

 そんなバットマンを抑止力として頼りきりのゴッサムシティも既に酷い街なのですが、新本部長のバーバラ(前本部長の娘なので、明らかにコネを匂わせる人事なのがアレ)がバットマン不要論を掲げたときに、これは市民一人ひとりが立ち上がるように呼びかける内容なのかと一瞬思ったところで

 「でもバットマンの力は有意義なので犯罪抑止に使いたいから警察とチーム組ませるわ」(意訳)

 となるのがさらに酷く、この街にマトモな人間は居ないと確信した瞬間(^^;

 なおバーバラ、ゴッサム改革計画の一環に上げた内容にしれっと

 忍術

 とか書いているんですが、一体どういう街にしたいんだ?!

 ディック(ロビン)も家族(あわよくばブルースの財力)欲しさにブルースに接近したり、いい加減家族を持って大人になれとバットマンに迫り基地のコンピュータにチャイルドロックかけるアルフレッド、バットマンを差し置いてジャスティスリーグ集合パーティを開くスーパーマン(ニュース出演時もテーブルに足を乗せたりして、ジャーナリストの癖に妙に態度悪い)とか、ひどい連中がそろい踏みしすぎて、大のヴィランかつ最凶の狂人ジョーカーが一番の常識人に見えるというトチ狂いっぷり(笑)

 スーパーマン基地の動力源を、スーパーマンの父の映像と言葉を無視しながら延々引っこ抜くバットマンとか、やりすぎてどうかと思う描写もありましたが(^^;

 キャラクターで言うと、極悪ゾーンにはDCキャラ以外の悪党が放り込まれており、吸血鬼ドラキュラなどの古典的悪役はまだしもキングコング(髑髏島がワーナー配給)やグレムリンなどのワーナー映画悪役が登場して大暴れし、中でも異彩を放つのは『ハリー・ポッター』シリーズの悪役・ヴォルデモート卿。

 登場以前に『ハリー・ポッター』で聞いた呪文が出るシーンがあったのですが、こんな形で出るとは思わず、出たら出たで市民を魚に変えるようなえぐいけどショボイ魔法を繰り出す割に扱いが大きいという謎の待遇。

 科学の利器(異次元転送装置)をぶっぱなしながら「おら、止まれマグルども!」と悪態を吐くのが、最高に最低です(笑)

 一方でサウロンは、かなーりギリギリというかアウトに近いのではないか(^^;

 全方位に狂気が漲る本作ですが、バーバラの心情の吐露と要請を受け、勢いで養子にしてしまったロビンとの対話と交流、自分の過ちを見つめ直す過程を踏まえて、傲慢で孤独だったバットマンが「ヒーロー」として完成されていく流れは、お見事と言うほかありません。

 レゴの映画という面で見ると、途中何度かあちこちからブロックをかき集めて即興で装備を作り上げるシーンがあったり、崩壊するゴッサムシティを救うため人々が文字通り「繋がる」ところが、上手くできていて面白かったです。

 元に戻るときの(効果音含む)あっけなさも併せて、インパクトの強いクライマックス。

 思いつく難点を上げると、ロビンの心情の描き方。ブルースに接近するシーンなど、明らかに私欲で迫っているのですが、いざ基地に入ってからはバットマンの方からロビンに近づいていくばかりで、ロビンの側からの変化の過程はかなり雑にされている感じ。バットマンに無碍に扱われても「ようやく出来た家族なのだから乗り越える」の一点で強引に突破した印象が拭えません。

 ロビン以外にも孤児が描写されているのに、そちらは以後一切触れられませんし。

 ロビンと言えば、私は吹き替えで視聴したのですが、小島よしおさんの吹き替えは思ったよりすんなり受け入れられました(笑) 途中で持ちネタを放り込むのは(おそらく吹き替え版のスタッフからの要請があったのでしょうけど)どうかと思ったものの、全体的に狂気が迸っているのもあってか、露骨に雰囲気を壊す演技は無かったと思います。

 むしろ吹き替えの演技という面では、バットマン/ブルース役の山寺宏一さんが、どっちでもガラガラ声で演じているのが気になったところ(^^; ノーラン監督の実写映画シリーズ(クリスチャン・ベール)の演技を意識したのかもしれませんが、あちらでもブルースとバットマンで使い分けているわけで、本作のこれ、正体を隠す演技になってないのでは……山寺さんほどの演技力で、演じ分けができないとは考えられませんし、いったいどういう指示があったのか。

 『バットマン』原作や、他のDC作品やワーナー映画やレゴ映画シリーズをもっと追いかけているとさらに楽しめる部分が見えそうなのですが、本作単品でもエンターテイメント作品としてもヒーロー映画としても十分以上に楽しめた、傑作でした。