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キラキラ☆プリキュアアラモード 第40話感想

キラキラ☆プリキュアアラモード』の感想。

 ピカリオ復活に喜ぶ暇もなく攻撃を繰り出してくるグレイブだが、ルミエルの祭壇で眠っていたために得ることができたキラキラルの力で、有効打を与えられずとも善戦するリオ。しかし、町中の人を攻撃できないプリキュア達を見て、撤退して立てなおすことに。

 使える技が攻撃ではなく防御メインだったり目くらまし(ワープ?)などの補助技だったり、なんだか暗黒騎士→白魔導士ジョブチェンジしたみたいな印象を受けます(笑)

 リオの案は、今いちご坂を覆っている闇も元はと言えばキラキラルであることから、町中のスイーツ店にキラキラルを呼び戻せば打ち払うことも可能だろうということ。それを聞いたプリキュアは、リオとビブリーの時間稼ぎの中で町中を駆け巡り、スイーツを作ることに専念。

 しかし、プリキュアがいつまでたっても出てこないという異変に気づいたグレイブは、町中に光が出ているのを確認すると進路変更。そしてプリキュア達の前に、粘土兵士となった町の人が現れる。

 「まさか……お父さん?!」

 場所や状況問わず普段着が道着というツッコミどころ満載ファッションセンスの宇佐美父ですが、顔が隠れているこの状況だと個人を特定するトレードマークとして機能してしまうという、絶妙なミラクル(笑)

 他のプリキュア達にもそれぞれの知人が迫り、結構えげつない展開なのですが、そもそも交流を広げるのが苦手なのがキャラ設計の根幹であるカスタードと、基本が妖精なので人間側のキャラ関係の広がりが薄い(関連人物のほとんどが海外)パルフェには、誰だかわからないクラスメートが接近することにならざるを得なかったのは、もったいない部分。

 宇佐美父の動きをケーキで止めることはでき、リオの仮説の正しさを証明することはできたが、状況を把握したグレイブはさらに闇の手を伸ばし、プリキュア達の作り上げたスイーツを破壊、材料も悉く闇に染め上げる。

 増していく闇の力にプリキュア達は圧倒され、リオも対抗するが、ステッキは徐々にひび割れていく。

 「いくら古のプリキュアの力といえど、所詮は借り物。プリキュアでないお前が、いつまでも使えるものか!」

 ついにステッキは砕け散り、町中にばら撒かれてしまう。服従を迫るグレイブにアニマルゴーランドを放つも、前回同様跳ね除けられ、さらに強烈なビームを受けて地面に叩き伏せられる。

 目が赤く光って顔が牙をむいた野獣然としたものになり、いよいよグレイブがサ○ヤ人染みてきました(^^;

 叩きのめされるプリキュアに絶望するペコリンたちだが、ステッキの欠片からルミエルの意志を受け取った三ツ星にゃんこが材料を調達し、妖精たちと相談。

 それを見て、ビブリーも何かを決意した表情。

 「いい加減敗北を受け入れろ。弱い奴は強い奴に従えばいいんだ」

 「誰が強い奴よ! あんたなんてね……あんたなんて! 「俺が、俺が」ばっかり言ってるただの負け犬よ!」

 ディアブルを取り込んだことにもかけているのでしょうが、おそらく他のプリキュアには確実に使えないだろう「負け犬」というフレーズを持ち出すビブリーがツボに入りました(笑) このセリフだけで、ビブリーを仲間にした価値はあったかも。

 「あんた世界が自分一人のものだって思ってるの?!」

 そしてビブリーもノワールの下僕だった当時は、ノワールから与えられた(偽りの)「愛」の証であるイルに縋るばかりで世界を見つめられなかった人間であり、それ故に自分以外の全てを人形のごとく扱って世界を見られないグレイブの核心をこの場の誰よりも一番理解でき、かつ真正面から否定できるという流れに持っていったのは秀逸。

 ビブリーを消し去ろうとするグレイブだが、庇おうとするホイップとパルフェ。グレイブを取り囲むプリキュア達は、険しい顔つき。

 「その生意気な目……人間だったとき、俺を追いだした奴らと、同じ目だ!」

 グレイブが語る過去……彼は誰よりも優れた力を持つと自負しており、己の障害となるものは全て叩き潰してきた。そうして地位や財力を手に入れたが、人々はそんな彼の傲慢さと悪行を蔑み離れていった。そんな折にノワールに自分の闇を肯定されたことで、配下に下ったのである。

 「そう、俺はいつだって正しい!」

 前回気になっていましたが、自分を純度100%の悪人と認識しているにも関わらず、自分が生きるためには自分のことを正しいと思いこまなければならない、という矛盾した性質を持っているのがグレイブの正体なのだろうと、このシーンで確信。

 グレイブはプリキュア達を持ち上げると、自分が洗脳した町の人々を見せつけ、表情を持たず服従するだけの弱者の末路と称するが、ホイップは父の姿を見るとそこに彼の笑顔を重ね、叫ぶ。

 「おかしいよ……あなたのやり方は、間違ってるよ!」

 「ふん、お前に何が分かる!」

 「人の心はみんな違うんだ! それを同じ闇に染めるなんておかしいよ!」

 「正しい」に対して「間違っている」と突きつけるホイップですが、作り手の間で気を遣ったのだろうなと思ったのが、ホイップが「間違っている」と叫ぶのは「あなたは」ではなく「あなたのやり方は」であること。

 自己の肯定の先に周囲を取り巻く他者も肯定していくことを描き続けてきた本作故と言うか、間違った道をそれと理解しつつも選び続け人を踏みつけてきた、同情の余地のない悪人と言えるグレイブに対しても、グレイブの存在そのものは否定しません。

 またこの辺、「同じ闇に染める」という言い回しもかなり際どいところで、異常なのは「闇」ではなく「同じ闇に染める」という行為であるところも、若干くどいセリフ回しになってしまっているものの本作の示すものを外すまいとする意図が見えるように思います。

 ホイップを潰そうとするグレイブだが、その時。

 「キラキラキラルン、キラキラル……キラキラキラルン、キラキラル!」

 妖精たちが一斉に呪文を唱え、町中の工場から光が迸り、一気に闇が晴れる!

 急激な色彩の変化が強烈で、圧巻の一言。

 「どういうことだ!」

 「あんた、周りが見えてないのよ。キラキラルを作れるのは、プリキュアだけじゃないのよ」

 そう、妖精と動物たちが、プリキュア達を救うため思いを込めてスイーツを作り、そのキラキラルが町の闇を晴らしたのだ!

 ドヤ顔でグレイブに説明するビブリーですが、改めて妖精と猫の会話をある程度聞いてからグレイブに突っかかっていった流れを見ると、作戦を把握した上で時間稼ぎをしていたのか。また前回「弱点」と称しつつも自分が捨てなかった「愛」「優しさ」がグレイブを打ち勝つ瞬間に喜びを覚えたようにも見えます(笑) 前回の餌付け発言以降、何かと美味しい立ち位置。

 「この町に暮らす者は、みんなスイーツが大好きジャバ。種族を超えた想いが、町を守るプリキュアのために集い、スイーツを、キラキラルを生み出したのジャバ。そして、ルミエルの光のかけらがみんなの想いに反応し、闇を防ぎ、スイーツ作りを助けてくれたんジャバ。これはみんなが、心を合わせて生んだ奇跡ジャバ!」

 ネコゆかりの回は個人的にしっくりこなかった内容だったのですが、今回の「種族を超える」という部分の布石として必要だったと思うと、納得。

 闇を打ち払う力を生み出す団結は、大きな力を持つ者の意志の働きで為されたのではなく、形が違えどそれぞれが抱えている「大好き」という想いが合わさったために出来たものであり、弱者の心をないがしろにしたグレイブに対し痛烈なカウンター。

 そして光は! 闇に打ち勝つ!!

 「ノワールはこの町を闇に染められなかった。お前の闇も、所詮は奴からの借り物って事だ」

 さらっと意趣返しするリオ(笑)

 「この闇は俺の闇だ! 俺の力だ! 俺が全てを支配するんだ~!」

 吼えるグレイブだが、目覚めた人々と団結した動物や妖精たちはそんな彼に、怒りのまなざしを向ける。

 「やめろ……そんな目で……そんな目で俺を見るんじゃねえええええ!」

 既に(肉体的にはともかく)精神面では完全にただの負け犬となったグレイブですが、結局のところその敗因は、ノワールに頼らずに自分自身を肯定できるようになるチャンスを見失ってしまったことなのかと思います。

 と言うのも、回想でグレイブが踏みにじってきた人々は、グレイブの視点からすれば単なる邪魔な障害物としてしか見えない者で一括りであり、おそらくは一方的に踏みにじられた弱者や実際にグレイブと同種の悪で敵対した人たちがほとんどなのでしょうけど、前回のキュアカスタードが「あなたも闇を利用されているだけ」と説得を試みたように、グレイブに対して道を修正するように歩み寄ってきた人もいるのではないかと思うのです。そういう人たちも顧みることなく踏みにじったために、グレイブはますます孤立を深めたと見えるわけで。

 しかしグレイブは結局、そういった手をも払いのけた末に、自分の中にある闇を無条件で肯定するノワールに飛びつき、自分を正当化してもらうことで自己を保ち、しかしその闇を生み出す自分は100%の悪でなくてはならないという矛盾に嵌まり込んでしまったのではないか。

 ……つくづく思いますが、自分の主義や主張やアイデンティティを他者の存在に依存して立たせようとする人は、ロクな未来を持たないよなと(^^;

 話の流れでノワールより先にグレイブが倒れたからこういう問題にも持っていけますが、これもしも順番が逆でノワールが先に倒れたら、グレイブはいよいよ行き場所がなくなってしまい、同じように自分を拾う悪に縋りつくか死ぬしかないという負け犬人生まっしぐらの気がして、えぐい。

 で、どうしたら自分の中に闇や悪を抱えていると知りつつも、自分のことを肯定できるようになるのか、となれば、闇以外の色も積極的に自分の中に取り入れていく(そのために様々なことに目を向け、挑戦し、他人とコミュニケーションする)というのが29話で出てきた本作の答えであると同時に今回ホイップが「グレイブのやり方」を糾弾したセリフに現れた内容なのですが、改めてグレイブは道を踏み外して闇を肯定できなかった(いちかに出会わなかった)ゆかりの末路ではないか。

 その時、グレイブを大きな闇が覆って、巨大化。

 絶体絶命に陥ったグレイブとディアブルは、互いのパワーを吸収しあい、合体獣「ディアグレイブル」として蘇った!(ナレーション:浦野光

 明らかに「怪獣」とか「巨大不明生物」という単語で言い表すような見た目となったこれを、どう表現するのだろうと思っていたら、

 「怪獣ペコ!」

 思ったより直球で、なんかツボにはまり笑ってしまいました(笑) 妖精枠としては不遇の印象があるペコリンですが、思い返せば直球表現のセリフ(「シュークリームペコ!」とか「お化けペコ!」とか)を度々発しており、今回のセリフは今までで一番面白かったかも。

 劇場アニメ版『ゴ○ラ』が公開される直近の時期に攻撃的なネタが放り込まれますが、「100%の悪が生きるために自己を正当化する」という矛盾の解消は「100%の悪などいない」が筋のところで、仮に100%悪となる方を取るなら正当化不要の道に進む=人間性や理解を捨て去った「怪獣」になるしかない、という流れでしょうか。作り手が「怪獣」というフレーズをどこまで意識して放り込んだのかわかりませんが(^^;

 「大丈夫。今の私達には、みんなが作ってくれたキラキラルがある」

 集められたキラキラルを手に飛び立つプリキュア達は、キラキラル錬金術で新アイテム・スイーツキャッスルを作り上げる。

 キラキラルの存在がご都合と言えばそうなのですが、こういう山場で都合よくアイテムの存在が明らかになるとか今までの小道具がアイテムになるのではなく、自分たちで装備を作ってしまう(クリーマーでさえも既存品に自分たちでカスタマイズ)あたりが、本作のプリキュアのすごくて恐ろしいところ(^^; 「材料さえあれば原爆は台所でも作れる」という『パイナップルARMY』のセリフを思い出します。

 「レッツ・ラ・おきがえ!」

 全員スカートの丈が長くなったドレス姿で、パッと見た印象は前前作『Go!プリンセスプリキュア』のモードエレガント。使われる技「ファンタスティック・アニマーレ」は、アニマルゴーランドとの差異がわかりづらくて微妙でしたが(^^;

 倒れたグレイブの前に現れるエリシオへ、手を貸すよう言うグレイブ。ここまで心身ともにズタボロでなおも自分の生き方を変える気がなくて、いっそ潔い。

 しかし、なんとエリシオはグレイブとディアブル、グレイブの車をカードに封印!

 「これが私の能力。ノワール様が見出した闇を、育ちきったところで刈り取る

 「じゃあ、あんたのカードって……」

 「元闇の下僕です」

 ディアブルの登場からずっとおとなしいと思ったら、グレイブとディアブルの一斉退場にとんでもない爆弾を放り込んできた……(^^;

 グレイブは負け犬どころか話の上で噛ませ犬となってしまいましたが、闇を理解し自分の闇で暴れていると吼え続ける裏は、自己を肯定できない矛盾した感情であると同時に他者を認めていけない矮小さであったという部分を目一杯押し出し、山場で印象に残る悪役となりました。ディアブルを取りこむまで今一つ面白くなかったのですが、同情できない背景にしつつも単純に絶対悪で片づけるのでなく、作品テーマと組み合わせて肉付けしたことで強いインパクトに。

 そんなわけでグレイブ自体は想像以上に面白くなってくれたのですが、本作のテーマ部分が序盤から割合強固に固められているため山場を作るための谷の作り方が微妙(正直、前回の時点でグレイブがどこかで崩れそうな弱みが見えていた)という、ディアブル本格参戦の時と同じ空気を若干感じたものがあり、今回の山場も高く跳ねたというよりは無難な地面から無難なジャンプという印象に。

 11話の山場は積み重ね不足からの微妙さが目立つ(一方で問題を飛び越える最低条件はそろっている)のですが、この終盤に来て山場における本作の微妙さは、作品の示したいものが序盤から固まりすぎているというところに原因があるような気はしてきました。

 そういう面もあって、残されたエリシオ&ノワールとの決着では意外な展開をもっと期待したいですが、自己と他者の肯定を軸とする本作でグレイブの(自称)100%悪の上を行くものと言うと……あー、無我というか、虚無とか? そういえばエリシオの事象は「空っぽの道化師」でしたし。

 またえげつなさが目立つグレイブのカード化ですが、「育ちきったところで刈り取る」と表現の内容が「栽培」を意識したもので、言ってみれば利用しているのが人間だからえげつないのであり、人間の立場から見た家畜や野菜の栽培などを考えると、食、それも栄養的に無価値と言われることが劇中でも指摘されたスイーツを扱うプリキュアに対してこれまた強烈なカウンターなのではないか(^^;

 エリシオがある程度目的を明かしつつもどこまでも正体不明なのもあって先が読みづらいのもあるのですが、今後に期待したいです。

 次回、ピカリオ更生プログラム。