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電磁戦隊メガレンジャー 第51話(最終回)感想

電磁戦隊メガレンジャー』の感想。

 ギャラクシーメガの復旧を急ぐ一同。一方ヒネラーの総攻撃準備が整い、新たな怪人登場。

 ギャラクシーメガの復旧は未だならず、そこに集まってきて苦情を言う市民たち。

 「ま、待ってください! この子たちには何の罪もない! 責めるなら私を」

 最後の最後まで、メガレンジャーとして健太たちを戦わせてきた責任に向き合う久保田博士。

 そこに先の怪人が登場、健太たちは変身して戦闘開始。イエローが「私たちだけ相手にしなさいよね」と言うのも聞かず、久保田博士を執拗に狙う。

 一方、恵理奈は校長先生に卒業式の延期を求めるが、聞く耳を持たない校長先生。

 「ヒーローだって人間です! 一人一人の高校生です!」

 前作『カーレンジャー』がヒーローであると同時に一般市民である、という設定で描かれた作品だったのを引き継ぐ形で、本作は高校生がヒーローになる設定から「ヒーローも人間」を描き出したのですが、学生設定を年間通じて活かすというよりキャラの個性として序盤と終盤に固めて出したという形になったのはやや惜しいところ。

 怪人は、ドリルスナイパーカスタム&マルチアタックライフルが通用しない強敵だが、突如異変を起こす。その怪人が現した正体は、なんとDr.ヒネラーその人。

 「久保田……貴様だけは、この手で……」

 しかし鮫島、否、Dr.ヒネラーは、手先がネジレていくその現象を見て、驚愕する。

 「鮫島……やはりお前の体は」

 「言うな! 戦いはこれからだ。私の科学の頂点を、今こそ見るがいい!」

 ヒネラーはデスネジロ要塞を呼び出して搭乗。月面で早川がボイジャーマシンを引きずり出し、出せる力は70%というところを自分たちが130%で動くとして、メガボイジャーを呼び出して対抗するメガレンジャー

 「来たな……久保田のつまらぬ科学が生んだ産物が!」

 メガボイジャーで突撃するが、なんとデスネジロ要塞は姿を巨大人型ロボットグランネジロスに変化。

 「これが、生命体なのか?」

 「これこそ私の科学が生んだ傑作中の傑作、その威力存分に味わうがいい!」

 最終決戦、敵勢力が本拠地の変形ロボという、まさかのギャラクシーメガ鏡写し。

 「久保田のつまらぬ科学」を嫌悪しておきながら、やっていることが実質同じ(というか後追い)であることが微妙に情けなくも見えますが、ギャラクシーメガと決定的に違うのは、この中にはヒネラーしかいない孤独の城だということ。

 機動力と出力でメガボイジャーを上回るそれに、ボイジャースパルタンで右腕を落とすメガレンジャーだが、生命体の長所と言わんばかりに再生するグランネジロス。

 「鮫島……自らを犠牲にしてまで……何故だ!」

 「見ているか久保田。これは復讐だ。人間どもが私を排除する原因となった、お前へのな」

 「鮫島……」

 「どういう意味だ! 何の復讐だ?!」

 「私にもかつて不完全だった時代があった! 人間を信じ、人間のために科学を使おうとした青い時代が! 宇宙開発のため……どんな環境にも耐えうるよう、人間の体を強化しようとした私は、誰からも期待の目で見られた……だが……進んで実験台となった娘が命を落とすと、人間どもは途端に私を責め立てた。殺人科学者だ、悪魔だとな! それは久保田。おまえが掲げたメガスーツ理論が、私の理論に代わって脚光を浴びたたからだ! 人間の弱さ脆さに何の手も加えず! ただスーツで人間を守ろうとした浅はかな理論が! 人間を神に近づけようとした私のどこが悪い?! 科学者として当然ではないか! どこが悪い、どこが悪いというんだ?!!」

 現実の視点から見て明らかにトチ狂っているし、実際視野の狭さゆえに己の過ちに気づけないヒネラーですが、

 「悪いとか、いいとかじゃない! それであなたは幸せなの? 娘さんまで犠牲にして、幸せなの?!」

 と、返す言葉が微妙にズレるイエロー。

 まあヒネラーの言を素直に受け止めるなら、彼の考える強化人間計画は鮫島博士の時代には本気で有力視されていた研究であり、娘が進んで実験台になったのもそういう意識があったからなのだと推測できるわけで、メガレンジャーの側にそこの善悪を答えられるだけの背景を持ち合わせていないのもあり、こういう返し言葉になるのも已む無しなのか。

 「ならば聞こう……お前たちは幸せか? 久保田の科学でメガレンジャーとなり、挙句の果てに人間どもに裏切られ、それでも幸せか?!

 そしてそこから突きつけられるのは、久保田博士の選択肢の先にいるメガレンジャーが、ヒネラーの言う人間の悪意に同じように追い詰められているという事実

 卒業目前に正体がバレ、学校から追い出され、市民からも冷たい目で見られるという展開はかなり急に入ってきたのですが、ここで集約。

 「人間は裏切る。感情に左右され、すぐに平気で裏切る。だが科学は裏切らない……ジャビウスは私に、私の科学を完成させてやると言った。それを確かめるために私はネジレ次元に飛び込んだのだ」

 「科学は人間のためにあるんだ。お前のためにあるんじゃない!」

 「そんな人間レベルの科学のくだらなさ、証明してやる!」

 ヒネラーの「お前たちは幸せか」に正面から答えられていないし、メガレンジャー側の主張が完全に自分たちの側の価値観を述べているだけでヒネラーの主張への反証に一切なっていないのですが、感情を否定しているヒネラーが娘の姿をシボレナに投影した(鮫島博士の娘はシボレナと一人二役)り、人間不信と科学の絶対性信仰と過去の己の不完全さを掲げながら結局他者(ジャビウス)の存在なくして己を完成させられないなど、ヒネラー側が矛盾に溢れすぎている(そうなる理由に説得力はある)ので、メガレンジャー側が負けているようには特に感じられないのがものすごい作劇。

 序盤のギャラクシーメガの無敵っぷりから、デルタメガ・ボイジャーマシン登場でもやはりメガレンジャー側が優勢で、ピンチらしいピンチがネジレンジャー出現と最終盤ぐらいしか思い当たらない本作なのですが、なんというかヒネラーは滅ぶべくして滅んだ悪、を徹底しているのだろうなと。

 メガボイジャーの左腕が落とされ、ギャラクシーメガの修理を急ぐ久保田博士と職員たち。一方学校では、先生(生きてた)が避難指示をしている中でも、健太たちを信じて逃げずにいる恵理奈。

 ちなみに校長先生は学校を捨てて一人逃げようとして危うく死にかけました(^^;

 「例え命尽きるとて、悔いはない……メガレンジャー、お前たちを倒すことで、私の科学のすばらしさは証明されるのだ」

 ついに全身がネジレ始めるも、なおも戦いを辞める気配はないヒネラー。脂汗びっしょりで、本当に苦しそうなのがものすごい熱演っぷり。

 「負けるかよ、そんなお前なんかに」

 「そうだ。俺たちの青春、潰されてたまるか」

 「俺たちは、人間を信じたいんだ!」

 「そうよ、ひとりひとりは弱いけど、仲間がいれば強くなれる!」

 「私たち、それが心からわかったんだから!」

 人間不信から矛盾と過ちに塗れながら憎悪を燃やして戦うヒネラーに、たとえ冷たい目を受けたとしても人間を信じていきたいと返すメガレンジャー

 そこに響いてきたのは、学校の生徒のメガレンジャーに対する応援の声!

 「お前たちの無力さを教えてやる……ハハハ、友情とやらの儚さをな」

 メガボイジャーの体を貫く剣。ダメージにより、変身が解除されるメガレンジャーたちは、それでも戦おうとする。

 教室に人が集まってエールが強まる中、一人だけ離れて眺めていたシンタロウも教室に戻り、

 「死ぬな……死ぬなー! みんな、頑張れー!」

 終盤戦、シンタロウは本当に美味しいポジションを得たキャラになったなあ(笑)

 立ち上がったメガボイジャーは、グランネジロスの剣を奪い取り、深々と突き刺す!

 声援が直接メガレンジャーの力になったわけではないのですが、自分たちの人間としての目標――学校の卒業、を実現するためにヒーローとして立ち上がることを優先するメガレンジャーの姿が、最終決戦、生身での戦闘続行&逆転で強烈に表現。

 決着で一つ面白いのは、メガボイジャーは早川の設計によるもの、メガスーツは装着していない生身、さらにとどめを刺した剣はグランネジロスの武器で、ここにヒネラーが憎悪する「久保田の科学」が直接関係するものは一つも入っていない、ということ。

 勿論、INETの博士ということもあり、さらにメガレンジャーを選任した本人ということもあってメガレンジャー関係はほぼ全般久保田博士の科学に関係していると見てもいいのですが、ヒネラーが最後に敗北したのは信じていなかった人間の心であると同時にもっとも危険視していた久保田博士ではないもの、それに加えて完全と自負する己の力である、といくつも重なっているのが秀逸。

 メガピンクの主張する「仲間」が単なる戦隊メンバー5人+追加戦士だけでなく、久保田博士や省吾などのINET職員に学校の生徒など、彼らに関わってきた人々全てであるというのが一つにまとまり、印象に残るカットになりました。

 死を確信したヒネラーだが、往生際悪くメガレンジャーを道連れにしようとする。学校を巻き添えにしないため、グランネジロスを抱えて高く飛ぶメガボイジャー。

 「久保田ぁ! 俺はお前に勝つ! 今それがわかる! ハハハハ……おお、見ろユガンデ! シボレナ! メガレンジャーの最期だぁ!」

 そしてはるか上空、久保田博士が絶叫し、INET職員や学校の生徒が見守る中、メガボイジャーとグランネジロスは大きな爆炎を残して消え去った……。

 後日、卒業式はつつがなく行われるが、空に消えた5人の席には花瓶が建てられる中で虚しく響く卒業生への名前の呼びかけ。

 「最後に、今日は来られなかったが、この学園を守って戦ってくれた5人の勇気ある生徒達の名前を呼んでやりたいと思います。 ……伊達健太!」

 するとそこに、

 「おっ待たっせしましたー!」

 メガレンジャーの姿のまま、飛び込んでくる5人組。彼らは間一髪変身に成功し、脱出していたのだ!

 クラスメイトが生還を喜び、シンタロウもメガレンジャーに謝罪し、晴れて5人は青春の一行事である卒業式を終える……と大団円。最後は久保田博士が大岩先生に謝っており、ここでも後始末感(笑)

 

 全体として、まとまりは悪くないけどテーマ的に気になる部分もなく地味な感じで、嫌いではないけどそれほど、という印象の作品でしたが、終盤から最終回は強烈でした。

 正直、総合としてはメガレンジャーよりも、久保田博士と鮫島/Dr.ヒネラーの物語みたいになりましたが(笑)

 客観的にどう考えても矛盾にまみれ一人だけで崩壊しているヒネラーですが、先に書いた通り「久保田博士が直接関与しない勝利」をメガレンジャーが納めてしまったということは、裏返すと「久保田博士「は」ヒネラーに勝てなかった」ということでもあります

 当の久保田博士は、鮫島を止められなかったことと、自分の科学技術や計画に健太たちを巻き込んだ責をずっと抱いていて、それに対して真摯に向き合ってきたのですが、結局最後までヒネラーとの和解に至ることもなければ、自分でトドメを刺したわけでもありません。

 最終的に生き延びたのは久保田博士&メガレンジャーでしたが、久保田博士個人は最後の最後で鮫島という人間に対し折り合いをつけられないまま終わってしまったわけで、その点では「人間全てを見限る」という選択肢を曲がりなりにも選んで行けたヒネラーの勝利だったのかもしれません。

 逆に久保田博士では究極的には勝てない相手だからこそ、メガレンジャーや人々が勝てたとも見える訳で、その点では最終的に久保田博士がギャラクシーメガを回復させて勝利、にはならなくて良かったと思います。

 まあとりあえず、真の主人公は久保田博士、というのは通して見ての印象(笑)

 色々、満足でした。