『Go!プリンセスプリキュア』の感想。
新学期が始まる中、街のあちこちに紫色の種のようなものが落ち、怪しげな雰囲気。
きちんと夏休みの宿題を提出するはるか。まあ、これまでのはるかを考えるとここでそれを外したらまずいですから、きちんと片づけたことに安心。
それを褒める「ザマス」の先生は久々に喋るところ見ますが、「少しはノーブル学園生徒らしくなった」と言われても、いまいちピンと来ないのはちょっと困ったところ(^^; これ自体ははるかの目指す「プリンセス」に近づいたことを示すセリフとして悪くないんですが、先生側の積み重ねが足りないので。
そして久々、プリンセスレッスンはフラワーアレンジメント。その中でトワが言及する、拾った妖精の話。
ロックの正体は闇に囚われた妖精だった!
前回、おもむろにパニッシュしちゃったことにはるかたちが何も触れないまま終わったのが気になって仕方ありませんでしたが、今回こういう形で拾ってくれたのは安心しました。
とりあえずシャムールが面倒見るということですが、闇に囚われた経緯とか今後どういう形で決着するのか。
カナタを想うトワに対し、夢でカナタと会えたのだからきっとまた会えるというはるか、今度は花壇の草むしりを開始。だが花壇は同じクラスの花恵ちゃんが掃除しており、一緒に掃除することにしたはるか。
花壇の構成について考える花恵に、将来の夢は花屋なのかと尋ねるはるか。
「特には……ノーブル学園に入ったのに、得意なことがなくて」
「そんなの関係ないよ! 夢は、誰にでも持てる宝物だよ!」
そして、花恵の活けた花からフラワーコーディネーターをお勧めするはるか。
ここ数話ほど、はるかの説教スキルが高まりすぎてどんどん人生相談員みたいになってたので、そこには違和感がない(笑)
ただちょっと、ここの会話は「まだ意識のない夢を芽生えさせた」(後の展開を考えるとそういうニュアンス)というよりも、はるかが自分勝手に他人の夢を固めてしまったような印象になってしまい、首をかしげてしまいました。
本作、基本的にプリキュア側の悪い部分が強くプッシュされない中で、はるかの欠点として序盤から描写されているのが「一直線な一方で視野が狭い」というところで、それに則ったら筋が通った展開ではありますが、それはあくまで「欠点」なので、肯定されたら落ち着きません。
本作のここまでの展開を考えると、あくまで夢は自分の意識から作り出し掴むものであり、他人の協力などはその先に立つものと描写されていたように思うのですが、今回そこがズレてしまった雰囲気に。
脚本見たら成田さんだったので、ちょっと納得してしまったのですが、どうもこの辺作家性が出てしまってるのかもしれませんけど、もうちょっとコンテとかの方でなんとかできなかったのかなあ。
花恵から花を活けるアドバイスをもらおうと花を持ってこようとするはるかだが、空に飛び交う無数のカラス。不吉な予感を感じ取ったパフとプリキュア達が駆けつけると、一羽のカラスが襲い掛かり、語りかけてきた。
「地獄の底から舞い戻ってきたぞ、プリンセスプリキュア……お前たちを倒すためにな!」
そこに現れたのは、倒したはずの三銃士が一人、クローズ!
目の周りのメイクが変更され、裾の長い服を着ており、以前のパンクロッカー風ではなくなったことに加え、真殿さんの演技も小者っぽさがなくなりシリアスな悪役になってます。ちょっと顔のメイクが物足りない気がしますが、かっこいい。
プリキュアは変身してクローズに立ち向かうが、バリアーを張ったりエネルギーの斬撃のような技を使ったりと高い戦闘能力を見せるクローズはプリキュアを圧倒。二つの種を地面に落として、フリーズ・ストップという新たな敵を出現させる。
フリーズとストップは花恵を襲い、生まれたばかりのその夢をゼツボーグに。今回は二つの鍵で二つの眼玉を表現。このゼツボーグもまた強く、苦戦を強いられる……のですが、どうも使ってくる花のミサイルが動きが遅かったり同じ飛び方だったり、単調な演出で微妙に迫力なくて、いまいち強そうに感じません(^^; 前回で作画班、燃え尽きてしまったか。
「花を、こんなことに使うなんて!」
「花は咲いたら必ず枯れる。そういうもんだろ?」
「それでも、花はまた咲くよ!」
エクラ・エスポワールでゼツボーグを撃破するプリキュア。さすがにやっぱりあのバンクは長すぎると思ったようで、バンクが半分ほどの時間(例年の最終必殺技と同等)に短縮されており一安心しました。
ゼツボーグを倒されたにもかかわらず、笑っているクローズ。
「花は何度でも咲く。絶望も同じだぜ。絶望は絶望を育てて、大きくなる……」
意味深な言葉を残し、去っていく。
一方、ホープキングダムでは、本拠地を奪われたためにシャットが困っていた(笑)
そこに現れるクローズに驚愕するシャット。
「絶望は消えやしない。音もなく気配もなく、夢見る者たちに忍び寄る。そして、突然……現れる……!」
集めた絶望エネルギーを使い、城の跡地に絶望の森のイバラを育て、城の形に作り上げるクローズ!
「おかえりなさいませ……ディスピア様」
「クローズ、大義であった」
ディスピア、復活。
そしてディスピアから、以降クローズに従って行動しろと言われるフリーズ・ストップ・シャット。
ちょっと離れたところから
「え?! 私も?!」
と驚くシャットが面白いのですが、序盤ではクローズと同等かそれ以上のつもりでいたシャットが、まさかのクローズ配下にされるという展開。
というか、シャットがここまでギャグ要員になるとは思いませんでした(笑) 結果的に、キャラとして面白くなったので良かったのですが、今度はクローズが面白くなってくれることに期待できるかどうか。フリーズとストップは傀儡的な印象で、どうも今回見た限りだとそこまで面白そうに見えないのですが。
その夜、花恵のアドバイスでフラワーアレンジメントを完成させるはるか。そして海に佇む謎の青年。冒頭のはるかの夢で現れたカナタが海に立っているシーンと重なり、印象的なラストカットとなりました。
今回のエピソード単体で面白いというよりも、今後要素を生かすための布石を置くエピソード。
ただ、プリンセスプリキュア側の信念はいつまでも変わらないのですが、そこを揺るがす展開になるのか? と考えると、正直「絶望は何度でも現れる」はこの時点でほぼ吹き飛ばせるだけの意識を持ち合わせているのだから、そこに突っ込んでも今までとあまり変わらない展開になるだけで、そんな面白くなりそうにない気がするなあ……。
せっかくクローズ復活という一大イベントまで用意したのだから、ここでテーマを停滞させずに、さらに新たな方向から揺るがすことを期待したい。
次回、みなみさんのフィアンセ登場。
正直、プリキュアが劇中人物と恋愛しようがなんだろうがそこに問題はないと思うんですが(前作はそういう以前の問題だと思ってます)、みなみの夢は「父や兄の存在に寄ったもの」「周囲からの期待」というところに置かれており、それは揺るがす前提で置かれているものだと私は思っているので、次回持ち込まれる「婚約者」の設定はそこに踏み込むのに非常に扱いやすい要素。どうまとまるものか。