70年代をも飛び越え、60年代特撮! あの『マグマ大使』『ウルトラマン』に匹敵する古さの作品です(『ウルトラマン』が終了したのはこの第1話が放映された4日後)。
脚本は、既に『隠密剣士』で忍者ドラマのセオリーを組み上げ、後に『仮面ライダー』で名を馳せる伊上勝が全部執筆。4クール特撮で全部執筆するのは極めて珍しいですが(同じ記録を有しているのは上原正三、井上敏樹、小林靖子、三条陸)、その元祖だと思われます。
第1話はとりあえず基本事項の説明。飛騨の忍者である赤影は少年忍者青影とのコンビで、木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)の配下・竹中半兵衛のさらに部下。日本に広まる怪しげな新興宗教・金目教の脅威を探り、これを撲滅するため戦う、というストーリー。
そこまではいいとして、最初の刺客・鬼念坊との戦闘の流れが謎の時間の飛び方やシーンチェンジと共にぶっつり切られるBGMなど、どうも演出が上手く定まらず、強引な印象。段取りとかより勢いで撮影したような。
というか、刀を受け止め当たった手裏剣が砕ける鋼の体を持つ鬼念坊に、赤影、苦戦。
別に未熟設定でもない(むしろプロな)のに、第1話でここまで苦戦しているヒーローも珍しいような。
青影の援護で弱点が目だと知る赤影(仮面に触れたときに流れた電撃は効いてたのだから、それ使えばいいんじゃ……)は鬼念坊を追い払い、後半、蝦蟇法師と対決。
正直グダグダの第1話ですが、1話で二回の大きな戦闘、蝦蟇法師が呼び出す大蝦蟇による怪獣映画化など、見どころはたくさん。とにかく詰めろという感じで、まだこういう等身大特撮もテレビで放映される怪獣特撮も少ない当時なら、こりゃ確かに人気出たかも。
蝦蟇に刀を突き立てるも通用しない赤影は、突然手榴弾。
安全ピンを口で抜いてから投げるそれはどう見ても戦国時代の道具じゃない(^^;
何故か妙に物哀しいBGMと苦しむ演出がされる蝦蟇は撤退して1話終了。
2話、顔盗みで信長の伝令(これを襲う竜巻の映像がなかなか迫力あります)に化けた金目教の傀儡甚内は、藤吉郎を殺そうとするが青影に阻まれる。だが悪童子の助けで青影を逆に捕まえ、これを人質に赤影を呼ぶことに。
火薬を積んだ船ごと池に放置して赤影を誘い、それに向かおうとする赤影に、凧で空中から爆弾矢を射る悪童子。
そこにやってきたのは「影」の字の凧。それは救援・白影だった!
白影を演じるのは後に『変身忍者嵐』タツマキを演じる牧冬吉さん。ほとんど顔の形が変わってないのですが、『赤影』だと名前を現すために髪の毛の一部を白く染めており、『嵐』より昔なのに老けて見えます。
凧を破られつつも、空中戦闘の末に悪童子を倒した白影。三人そろって再び金目教を追う!
1話・2話ともに話の出来はお世辞にもいいと言えないのですが、特撮黎明期と言っていいこの時代の話の出来を、現代の感覚で評価するのはナンセンス。なので、ツッコミを入れながら見るのが基本という感覚で感想書いてます。作っている側も、蝦蟇とか手榴弾とか仮面の電撃とか、第1話時点で明らかにツッコミ前提の作劇してますし。