『Go!プリンセスプリキュア』の感想。
海で泳いでティナを追いかけるが、後ろからやってきた父の船に気をとられている隙に見逃してしまう……という夢を見るみなみ。
ノーブル学園はクリスマスパーティの準備中のところ、きららは図書館に勉強に行ったところで態度の怪しいみなみと遭遇。そしてはるかもみなみの様子がおかしいことに気づき、尋ねるもなんでもないと返されてしまう。
その後、座間先生(2話から登場のメガネをかけた「ザマス」口調の先生)から進路希望調査が提出されていないと指摘されるみなみ。
前日にGYAO!にて『秒速5センチメートル』を視聴したので、即座にそれが浮かんでしまったのをとりあえず引っ込めて視聴(笑) それにしても、この先生って進路指導の担当だったのか。
みなみは座間先生に幼少から夢が先生だったのかと尋ねるが、そんなことは無く小学生はアイドル、中学生は警察官、高校生は漫画家と次々変遷して教師になったのだという。
「自分のやりたいことに何度も悩み、教師と言う夢にたどり着いたザマス。悩むことは悪いことではないザマス。あなたもとことん考えるザマスよ。」
一時間前の忍者たちに同じ指導をしてやってください先生!!!!
こういう方向で夢の在り方を提示する大人が本作になかなか現れてくれなかったので、一つその部分が心地いいことと、それを最序盤性格のきつさが目立っていい印象のなかったこの先生に当てたことで好印象を持たせたことと、綺麗に仕上がった組み合わせ。
生徒会で仕事中のみなみを緊急事態と言って連れ出すきらら。しかし実際はウソで、図書館で手に取っていた本を借りてきてみなみに渡すと同時にお茶でも飲みながら悩みを聞こうという魂胆だったのだが、態度を硬化させてしまうみなみ。
「はあ……もう、上手くできないなあ」
「え?」
「あたしはさ、みんなに応援してもらって、いっぱい力をもらったの。だから、あたしも友達が悩んでる時は、力になりたいなと思うわけ。でも、こういうのはあんまり慣れてないからさ。どうしていいのか、よくわかんないや。ごめんね、みなみん」
考え方としては『スマイルプリキュア!』というか定番のプリキュア思考ですが、ああ、ここにきて交友スキルの足りなさが浮き彫りに!
まあ、こういう問題を容赦なく解決していけるはるかは交友スキルどうこうと言うより赦しの使徒なので、アレと比較して同じラインに立てと言うのは酷な話だと思います(笑)
お茶を飲みながら、最近見る夢について語るみなみ。海に歓迎され、その先にある何かを知りたくても、汽笛を聞くと行くことができないという夢。
「行きたいの?」
「どうなのかしら。よく、わからないわ」
寝ているときに見る「夢」と将来の理想像としての「夢」をかけた言葉遊びを含みつつ、みなみの本音と行く先の不安を示す展開。
きららが悩み相談に乗っている中、トワははるかの言葉から、みなみの発言の真意が周りに迷惑をかけたくないという思いからくるものだとはるかの実家に遊びに行ったときに聞いた話から気が付き、はるかにみなみが本当は悩み苦しんでいるのだということを伝える。
今回と同じ成田さんの脚本回とは言え、きちんと拾ってきた!(笑)
正直、見ている私としては忘れかけていて、あれが伏線だったのかと驚愕しております(^^; 1クール以上間隔を開けてのすごく長い伏線、恐るべし。
そのころ、そろそろ手柄を立てないとまずい! と先の危機を感じるシャットがこちらの世界に降り立っていた。
危機意識はあったんだ(笑)
そして、不審者扱いで座間先生に捕まり、進路指導室に連れて行かれそうになるが。
「私の進路は私が決めるのみ!」
何故にそんな主人公っぽい台詞を(笑)
もうシャットは口を開けば面白い部類になりつつありますが、みなみが自分の道を決められず悩んでいるところに堂々言いきってしまうシャットの勢いは強烈。
その後のみなみたちの前に立ちはだかっての
「お前たちの進路は地獄のみ!」
「人の進路を勝手に決めないでよね!」
という会話まで含めて、いい切れ味のセリフが並び続けます、今回。
変身して戦うマーメイドたちだが、マーメイドは悩んでいるためか力を発揮できずにおり、駆けつけたフローラとスカーレットの救援も煙幕で妨害されて一人執拗に狙われる。なんとか脱出したトゥインクルは、マーメイドに誰でも悩むことはあると諭し、そこに不機嫌そうな顔のフローラが迫る。
「マーメイド!」
「は、はい……」
「悩みがあるのならどうして相談してくれなかったんですか?! 水臭いじゃないですか!」
水のプリキュアだけに、というダジャレはさておいて説教スイッチが入っちゃったよフローラ(笑)
やっぱりスイッチの一番の原因は、自分を卑下したり「かっこ悪い」とか言っちゃうことの模様。
「ごめんなさい。なんだか、言い出しにくくて……新しい、夢ができたの。それで悩んでいるんだわ。どちらに、進めばいいのか……」
マーメイドの手の上に手を置いて、きりっとした表情で迫るフローラ。
「新しい夢が、抑えきれないんですね?」
から、笑顔に変わって
「だったら、それでいいじゃないですか! 夢は、変わってもいいと思います!」
と迫るフローラの相変わらずの赦しの使徒っぷりに若干の恐怖まで感じるところ(^^;
「あたしが思うにさ、大事なのはどうしたらいいかじゃなくて、マーメイドがどうしたいかじゃない?」
「どう生まれたか」が問題ではない、「どう生きていくか」が重要なんだ!(『特捜ロボ ジャンパーソン』ジャンパーソン)
きららの時も触れましたが、「長い目で見て正しいと思う選択よりも、今全力で正しいと思った選択こそ正解」というテーゼが段々前面に押されるようになってきており、本作のテーマの一貫性が見て取れます。
同時に、前2話で自分の願う方向の選択をしたことに後悔しない、という展開を行ったきらら/トゥインクルだからこそ説得力のある台詞として機能しており、お見事。
その言葉に揺り動かされたマーメイドは、反撃に転じてゼツボーグを海に叩きこむ。
「本当はもう、気づいていた。自分の心の奥底から湧き上がる望みに。なのに気づかないふりをしていた。幼いころからの夢も、とても大切だったから……でも! もう迷わない! 私は、自分の信じる道を進む!」
フルパワーでゼツボーグを圧倒し、サンゴキーからの必殺コーラルメイルシュトロムで叩きあげ、グランブランタンでKO。
みなみは、あすかへの憧れから海洋動物の獣医になることにあこがれを抱き始めており、あすかがフロリダの水族館で働いていることも突き止める。彼女と相談できれば夢に近づけるかもしれない、と皆と笑い合うところで締め。
えー、とても良かったです、はい。
前回の予想通り、今週の脚本は成田良美さんが担当したのですが、構成の丁寧さにセリフの切れ味と、凄くフルスロットル。本当に序盤の事故は一体何だったのか(^^;
引っ張ってきたみなみの夢を「自分が信じて正しいと思うなら、そちらを選ぶべき」という本作のテーマに従い、最終的にみなみが自分の信じた夢を選ぶ、という流れになったのが良かったところ。
みなみがここであえて今までの夢に従う方向でも問題なかったのですが、きららが今までの夢を追うという結末に着地したことから、みなみの夢が変化する結末にしてバランスを考えたのでしょうか。
細かいところで、今回のみなみの結末を考えるとみなみもまたノーブル学園を離れていく、という結末が予測され、これはクローズがはるかに迫った「夢を応援すればはるかは孤独になる」という展開をまたもなぞることになっています。
前回きららを笑顔で応援する姿を見せているので、その問題は解決しており今更揺らぐことはないと思われますが、いつか離れていくことになるその結末を、本作はどのように着地させるのかも一つの楽しみ。
次回、クリスマスにみなみは「夢」を両親に伝えられるのか……?