遺跡に封じ込められ、真空状態になっていく空間に苦しむシャイダーは、ここには戦士シャイダーの残した武器があるはずだとあたりを探る。するとバイクが封印されているのを発見した。
仕方ないのはわかりますが、一話限りなんだからSUZUKIのロゴを外すぐらい許してくれてもよかったのに、スポンサー……。
だがバイクはエネルギー切れで動かない。そしてシャイダーの酸素ボンベも残りが少ない。コム長官はマリーンとアニーを救援に遣わすが、アニーはイースター島で捕まってしまう。
水晶玉の陰りが消えないことに不満を覚えるポーを、アニーを捕まえて拷問してもシャイダーは反応しないということで説得するクビライ。
「シャイダー、助けて! このままでは殺されてしまう!」
あらゆる電波を遮断する遺跡の中にいるシャイダーに、その言葉は届く。
アニーにはテレパシー能力があるのですが、そんな設定お構いなしに愛の奇蹟扱いでバイクを動かすことに成功するシャイダー、不思議宮殿に突入してクビライと対決。胴体と機械で補うクビライはギャルの命を捧げられ、パワーアップ。
胴体があまりにもアンバランスすぎて、もはやギャグの領域なのが途中で首だけで襲うことにより多少改善。最初から胴体いらんだろって話の気もしますが(^^; 最終決戦だけあって、火薬の量も映像の光学合成も派手。
クビライにレーザーブレードを繰り出すシャイダーだが、通用しない。
「どうした小僧! 戦士シャイダーに遠く及ばぬ未熟者!」
クビライは基本遊びの世界を求めている悪党で、正々堂々とかと無縁(『ギャバン』のドン・ホラーみたいに他の部下を退けたりもせず)なので、ここでシャイダーを煽って怒りを買うのは唐突に盛り上げようとした感が強く、どうもしっくりきません。
「未熟者」扱いする前にギャルの力でパワーアップしちゃってますし。
「そうだ、戦士シャイダーはクビライに勝った!」
遺跡の中の手がかりを思い出したシャイダーは、レーザーブレードを再起動すると弱点の眼を突き、ブルーフラッシュを浴びせてKO。今ここにフーマの大帝王は散るのであった。
安堵するシャイダーたちは、異空間に去っていくポーと珍獣を見る。クビライの力を受けられず、醜く果てるばかりのポーは笑顔を浮かべるとどこかへと去っていく……。
クビライの死は全宇宙に轟き、一斉に宇宙刑事たちは戦局をひっくり返す。ついに宇宙に平和が戻ったのだ。
「不公平だわ」
「何が?」
「私には、帰る故郷がないんですもの」
「アニー、君はいつか言ったじゃないか。この地球を第二の故郷にするって。これからは、地球を故郷だと思えばいい。この地球をね」
アニーは大がやさしく投げかける言葉を受け止め、固く握手を交わす。そして夕日を背に、走り出す二人の姿……
うーん、結局ポーとアニーとの因縁は深まらないまま片づけられてしまい、非常に残念。
フーマであるとは言え、ポーの出身地が地球のムー帝国であることに変わりはないのに、そこから追い出されたわけで、それに対し地球を第二の故郷とすることを受け入れられるアニーという図は明らかに対にされているのですが、掘り下げがいまいち足りず。
この辺のテーマ、上原さんの思想性(故郷を追われる身の哀愁、本作でも度々描写されている「個人や家庭の事情に介入できないヒーロー」の存在)が入っているのかもしれませんが、ポーのことを一顧だにせず「大には故郷があるのに私にはないなんて不公平だわ」と言い出すアニーは凶悪。
まあ「フーマは怪物だし悪だから人権はない」のかもしれませんが、最終回で少しでもいいから故郷を離れるポーの悲しみについては掘り下げてほしかったところ。映像では哀愁漂うポーの姿ですが、それに対する宇宙刑事の反応がドライなのが何とも。
また「大=戦士シャイダーの末裔」についても、この最終回まで本当にそうなのか? とふらふらさせたまま進んだために、シャイダーとフーマとの個人的因縁の確率としてはどうしても弱く、最終的にアニーも大も個人的な因縁抜きでの勝利となってしまったことで、いまいち盛り上がりきりませんでした。
本作がそういう設計なら仕方ありませんが、両方ともそういう個の因縁を想わせる描写があっただけに、物足りない感じに。
キリがないので、思うところ諸々は次回、宇宙刑事三部作の総集編が配信された後に総括で。