『激走戦隊カーレンジャー』の感想。
カーレンジャーのマシンが排ガスを出さないのはクルマジックパワーによるとダップが説明入れつつ、排ガスを分析。シグナルマンの変調もシグタロウの病気も、排ガスによる洗脳だと判明する。
「ボーゾックの作戦にしては、偏差値が高すぎるだっぷ」
酷ェ(笑)
馬鹿であることを自称している連中ではありますが、そこまで言われるか。
そのころバリバリアンでは、女房と別れるから付き合ってくれとゾンネットに言い寄るシグナルマンがいた。……えっと、子供向け番組、ですよね……?
そんなシグナルマンとゾンネットの間に割って入ったガイナモは、ボーゾック一の植木職人BBコイヤを紹介。彼が提示する作戦は、カーレンジャーに種を植え付けて花を咲かせ、そこに宇宙バチを襲わせるというもの。
標準から離れているという意味では、逆に偏差値が高い作戦の気がしますが(笑)
ダップはサイダーをシグナルマンに飲ませることでゲップをさせ、それでガスを吐き出させる作戦を考案し、ずっこける一同。
「あまりにもくだらない方法だからさあ……」
「話になるかい、そんなもん!」
「うーんもう、うるさいだっぷ! シグナルマンの体から5色の排気ガスを出させるのにくだるもくだらないもないだっぷ!」
ゲップだけにくだらない話、ってことでしょうか(^^;
ボーゾック発生を受け、予想された作戦通りに事を運ぼうとするコイヤだが、カーレンジャーは種を回避。しかしペガサスサンダーとドラゴンクルーザーには種が植え付けられ、2台の車を宇宙バチが襲う!
蜂に刺されてボコボコになる車を平然と認識して阻止しようとするカーレンジャーは普通だったらツッコミどころ満載なのですが、浦沢ワールドでは仕方がないのでちょっと反応に困る(^^;
ちょっと想定外だけどカーレンジャーが2台の車を助けるために宇宙バチと格闘することになり、間接的に作戦が上手く行くことに。
小さい体を生かして格闘する宇宙バチ、針からビーム。
ふざけてるのに強いのが面倒くさい(笑)
ハチ自体は耐久力に難ありで、ナビックショット一発で灰になる程度ですが、それを見たコイヤが繰り出すシャワービームがすさまじい爆炎で、普通に戦った方が強い疑惑。
そこにシグナルマンが登場、とどめは俺に任せろと一人でカーレンジャーに向かうシグナルマン。
「ようし、俺に任せろ」「任せた」
と、眼前にいきなりサイダーを突きだすレッドレーサー。
「飲まないか? ……飲めよ? ……どうした?」
妙に優しい口調で迫るが、殴られる(笑)
怒りのシグナルマンはサイレンダーを呼び出して暴れ、それにVRVマシンで対抗するカーレンジャーは、5体のロボットで翻弄して疲れさせたところにサイダーを飲ませる方針に変更。
「5体でかかってくるなんて卑怯だぞ!」
のセリフの後に5体のロボが取り囲んでいる姿をサイレンダー側から見たカットを入れる坂本監督、すっごい悪意(笑)
BGMもコメディ調の軽快なものに切り替わり、巨大ロボのリンチ、それもヒーロー同士の対決という酷い絵面をマイルドに見せてしまうのは、凄いけど恐ろしい技法の気がする(^^;
疲れて休憩のシグナルマンに、変身を解いてサイダーの売り子として接近する恭介。シグナルマンはサイダーを飲んでゲップにより排気ガスを吐き出し、洗脳が解除されることに。
ここで話の収拾をつけるためとは言え、既にこの段階でポリス星にサイダーが送られていてシグタロウも問題解決、その上何故か排ガスが去っていくところまでやってしまったのは、いささか強引過ぎで、もったいなかったところ。
特に星全体に充満しているガスは、出所が不明ということでこれから出てくる謎の敵にも関わる部分なのですが、シグタロウ救済と同時に流れで処理してしまったために今一つ深刻な問題として広がり切らず、結果として謎の敵のスケール感まで下げてしまうことになってしまいました。
本作がコメディ作品として貫かれていることから言えば、これから先、蓋を開けてみれば謎の敵はたいしたことない可能性の方が高いのですが、「たいしたことなさそうな敵が本当にたいしたことなかった」のと「凄そうな敵が実はたいしたことがなかった」のとでは受ける印象が大きく違ってきます。
ハッタリでも謎のスケールは大きい方が、後で壊した時により強い破壊力を生むと思うわけですが、浦沢さんや坂本監督にはあまりそういう意識はなかったのかなあ。
いずれにせよ、一度深刻な問題に見せた排ガスを吹き飛ばす件は、コメディなりに説得力を持たせてほしいと思うところで、今回の場合例えば星の住民全員のゲップとか星自体がゲップするとか、そういうぐらい突き抜ける必要があったのでは。
前回の描写と恭介のナレーションでは星の住民全体が同様の被害に悩まされているということになっているので、おそらく前者を意図して描いているとは思うのですが、映像で描写されるのがシグタロウとシグエだけ(着ぐるみの都合とかあるのでしょうけど)なので、シグタロウが助かる=星全体のガスが引く、と直結したみたいに見えてしまいました。
まあ、あちこちからゲップの音が轟くという映像を見たいかと言うと、それはそれでどうかと思いますが(笑)
巨大化したコイヤと宇宙バチ(巨大化してもそれなりに戦えて強い)に、VRVロボとサイレンダーで対抗し、巨大戦はあっさり解決。シグナルマンはコバーンベースの掃除に向かい、一度落書きしておきながらもシグナルマンが気がかりだった市太郎は、シグナルマンが元に戻ったことを感じ取って落書きを消し、掃除を手伝うのであった。
市太郎たちに行ったことを詫びないばかりかさらっと市太郎に掃除を手伝わせるシグナルマンに疑問は浮かびますし、今回市太郎の出番が前回のこの部分を処理するだけの扱いなのは惜しいのですが、落書きを目にしても気づかないふりをするシグナルマンと、やっぱりヒーローのシグナルマンが好きだった市太郎を描写してきたのは、良かったところ。
視聴者の視点からすれば色々問題アリのシグナルマンなのですが、戦えば強いし本人なりに子供たち(特に市太郎)について真剣に対応しているし、格好いい時は素直に格好いい。
市太郎がシグナルマンについて回るようになったのはまさに「いつの間にか」という感じで、どこがきっかけになったとか劇中で明確にされてはいないのですが、宿題は手伝うし一緒に遊んでくれるし、興味のある仕事を体験させてくれたり、命の危機を救ってくれたりするので、彼を信頼するようになった理由はなんとなく察せられるぐらいの塩梅が巧いところ。まあ市太郎、割と本能と欲求のまま合理的に動く自然状態の子供な感じで、人との信頼関係については油断ならないヤツなのですが(^^;
えー……他の作品に対する愚痴みたいなのも混ざってしまうのでなんですが……「○○を好きになった理由はない」っていうのは、こういう話だと思います!
正義に戻ったシグナルマンに失望するボーゾック。そんな中、バリバリアンを包み込むように巨大な謎の影が姿を現していた、で続く。
いくつか事態の解決法に疑問が浮かぶところはありますが、暴走したヒーローを助けるヒーローたちと、ヒーローを信じ続ける子供の関係とをしっかり組み込んで話として成立させたうえで気が狂ったようなアイディアを無理なく詰め込めるあたりは、流石の浦沢脚本。そしてそれをきちんと膨らませる坂本監督の演出と、安定のタッグが安定の仕事といった感じでした。
次回、ボーゾックに進呈されるスーパーロボット。