『キラキラ☆プリキュアアラモード』の感想。
冒頭、来日した天才少女パティシエ・キラ星シエルの正体は、いちご坂の妖精であることが視聴者にだけ明かされるという形で描写。
来日して街で食材を集め、自分の店をここにオープンすることを宣言するシエル。いちかたちはそれを受け、来店してシエルのスイーツを楽しむことに。
既に情報が開示されているのですが、新プリキュアの「キュアパルフェ」という名称、言語の統一では「キュアショコラ」が本作にいるので今更とは言え「パルフェ」はここまでの命名に沿わず、前作の「キュアフェリーチェ」と同じノリで決めたんじゃなかろうかと思っていたところ、劇中で「パフェと間違う」というネタが入ったので、明らかに確信的にやっています。
明確に「キュア~」となる妖精プリキュアもまだ二人目なので、命名は初期メンバーからやや外す方向で続けるのかもしれませんが、他にないのだろうか(^^;
シエルの独創的なスイーツの連続に、いちかはジャンピング土下座をしてまで弟子入りを懇願。弟子を取らない主義のシエルだが、特別にいちかが自分自身を表現したスイーツを持ってくるようにという試験を行うことに。試験当日、シエルリスペクトの演出などにこだわるいちかはショートケーキを作り上げるが、採点結果はボロボロ。
「特に、このソースが全て壊してる」
いちかのトレードマークであるうさぎケーキでありながら、いちかが格好つけのために用意したものが蛇足となって減点という辺り、ロジカルな展開。
そもそも、いちかのうさぎショートケーキは失敗作から転じたイレギュラーに近いものであり、それが計算の上で精密に再現できるのかというとおそらく不可能なのが、今回の減点に別方向から説得力を持たせています。
今回、シエルは明確に努力を惜しまない人間として描かれており、ひらめきから活路を見出すいちかと対になるように描写されているのですが、そうなると「シエルが突破できない壁をいちかがひらめきで突き抜ける」と「いちかがひらめかない場面をシエルが努力と経験の蓄積からクリアする」のバランスが難しそう。話としては前者が通じた方が派手になるのですが、ひらめき一辺倒に偏るのは努力や計算の軽視になってまずい、というわけで。
立ち位置的にシエルとひまりが被っているのも、悩ましいところなのですが(しいて言えば、ひまりの科学・計算主義が、材料ひとつひとつの違いさえも把握しようとするシエルと衝突しそう)。
で、おそらく二度と再現できないうさぎのショートケーキはある種の「究極」だと思い至ったのですが……まさか「一期一会(いちごいちえ)」で「イチゴ」なのか?!
シエルが席を離した隙に、ビブリーが来訪してキラキラルを奪い取る。いちかは変身し、シエルの努力の証であるキラキラルを守るため戦うが、シエルのキラキラルによる強化はかなり強く苦戦。そこにキュアショコラが駆けつけてホイップを救出、5人そろったプリキュアはビブリーを撃破するのであった。
悪役としてちょっかいを出す理由が弱いため、ビブリーが話の筋の中でもう一つ面白くならず、キュアホイップは定番的に「キラキラルを守る」という目的を叫ぶだけ、逆転も(いちかの応援に向かうという描写があるとは言え)都合よく仲間が駆けつけたみたいに見えてしまい、残念。
いちかはシエルに対し、弟子入りを諦めないことを伝え、一度の不合格でへこたれていられないと駆けだすのであった。
前前作『Go!プリンセスプリキュア』でサブライター、昨年は『動物戦隊ジュウオウジャー』でメインライターとして全力投球だった香村純子さんが、2クール目も半ばと言うところで参加。細かい部分をロジカルに手堅くまとめてくるのは流石に手馴れていると思いましたが、いちかとシエル以外のキャラは上手く回せず(戦闘中のマカロンが猫の真似で挑発するのも、出番が少ないから申し訳程度って印象)。
参加が遅いため、慣らし運転といったところで複数キャラを扱わなくてもいい内容を指示されたのかもしれませんが、やたらに「努力」が押されるのも香村さんのカラーが出すぎたように思え、馴染むまで回数が必要な様子。
次回、シエル密着取材。