『時空戦士スピルバン』の感想。
地球の地層は埋もれていった人間の年輪であり、その中から滲み出てきた負の感情をワーラーが実体化させたという触れ込みでヨウキ登場。
もうすっかり、水が目的とかどうでもよくなっているのですが、「星に蓄積された知的生命体の憎しみから生まれる戦士」というものをワーラーが切り札に使うこと自体も、どうしてそうなるのかよくわかりません(^^;
真水を求めてたどり着いた辺境の星から即興で絞り出した新たな戦力って言われたところで、未来のワーラーの末裔であるギローチンより説得力が薄いと思うのですが、ただでさえギローチンが能力に比してやたら持ち上げられているので、既に暗雲漂います。
ヨウキは、社会で金や名声を得たために退屈してサバイバルゲームに興じている人々を匂いで洗脳、スピルバンに当てる戦力・ムムムとして使役する。
サバイバルゲームを「戦争ごっこ」と評し、それに興じているのが「社会的には勝者」である者たちというのは作り手の思想性が反映されている気配なのですが、ヨウキの存在も含めて世界観設定の変動が目まぐるしく、困惑ばかりが募ります。
意外と強いムムムでスピルバンを翻弄するヨウキのお手並み拝見と満足げに笑うギローチン皇帝だが、あわよくばギローチンを倒し自らがワーラー帝国の支配者になろうとしているのではないかと疑うリッキーは、ギローチンのためにヨウキの妨害を決意。デスゼロウ将軍と組んで戦闘機械人ワルサーを送り込むが、それによってムムムは散らされ、ワルサーもスピルバンにあっけなく倒される。
女王に咎められるところで、全責任をリッキーに押し付ける気満々の将軍と、自らの願いを隠すことなく堂々と宣言するリッキーの対比がされるのですが(この辺、デスゼロウのセリフからしても明確に性別による差を押し出していて、果たして素直に飲み込んでいいものかどうか)、帝国内で相当な地位にある鳴り物入り幹部を妨害したことに皇帝は怒り、女王の手でリッキーはヨウキの椅子に変化させられる。
『シャリバン』のガイラー将軍よろしく、新幹部登場と同時に旧幹部がその椅子にさせられたのですが、上原さんの中でこのネタにはこだわりがあるのか(笑) ガイラー将軍はむしろ「椅子を背負わされた」格好なのに対し、リッキーは「四つん這いの姿勢で石化させられ椅子になる」というもので、エロスを感じるのですが。
新幹部登場と旧幹部退場ですが、ギローチン皇帝追加の際にも女性幹部が退場しているし、ヘレンはスピルバン側に移ってしまったので、非常に女っ気のない職場になってしまったワーラー帝国。
女王様は、リッキーよりデスゼロウ将軍をリストラすべきではなかったか。
そんな中、不敵な笑みを浮かべるヤバい新幹部登場に、太鼓持ち一人を失って地位が危うくなりかけていることにようやっと気が付く皇帝であった……。
正直、世界観の変化にしがみつくのがやっとといったところで、面白い面白くない以前の状況に達しているのですが本作(^^;