『キラキラ☆プリキュアアラモード』の感想。
ファンクラブに男性会員がいたのか?!
割と衝撃の事実ですが、男女問わず入会したらこのつぶらな瞳にさせられると思うと、イヤだなあ、ゆかり様ファンクラブに入るの(そうじゃない)
あきらとゆかりの通う高校の学園祭にやってきたキラパティ一同。そこにはあきらの妹であるみくと、あきらの祖母も来訪していた。
王子様のコスプレをしつつ、学園祭の実行委員として大忙しのあきら。みくを学園祭に連れて回るのは、キラパティ一同が担当することに。
一同もコスプレするのですが、ひまりのコスプレがハンプティ・ダンプティなのは、カスタードプリン=卵繋がりにしても地味に酷い気がする(笑)
で、こういったコスプレの提案はあきらによるものとの説明が入るのですが、あれ、いつの間にあきら、自分の意見を率先して出せる人間へとなったの……?(^^;
今回の話の主軸とは直接関わらないのですけど、実行委員も自分の意志で率先してやりたいのではなく、周囲から推されてなったけどなったからには責務を果たすつもりで真剣、みたいな印象に捉えていたので、こういう大きな活動にあきらが表だって出ているという設定には、ちょっと違和感。
一同が学園を回る中、女王様として担がれるゆかりはトランプ占いの宣伝。しかし一同と出会うと、クッキーを作りたいという一同に加わることになり、調理実習室へ。この学園祭には、後夜祭で一番大切な人に手作りクッキーを渡すと、思いが伝わるという恒例行事があるのだという。
しかしクッキーのデコレーション中にみくが体調不良を訴え、外で休むことに。ちょうどその時、外で無線連絡をしていたあきらがおり、みくと祖母の下に駆け寄ってきた。みくを気遣うあきらだが、無線で本部に呼び出し。みくを想いためらうあきら。
「お姉ちゃんが行かないと、みんな困っちゃうんじゃないの? 私は大丈夫」
というみくの言葉を受けて、本部に駆けだすが、一部始終を見ていたエリシオが会場の客とみくから一斉にキラキラルを奪い、あきらを閉じ込めてきた!
閉じ込められた空間は二体のトランプモンスターの立つ法廷となり、みくと客がそれぞれ鏡の中に閉じ込められ、エリシオは裁判官としてキュアショコラの裁判を開始。他の人を守るために妹をないがしろにしたと責め立てる。
「あなたは一体、誰を守りたいのですか? 妹? それとも、他の誰か? ……まさか、全員だなんて言うつもりですか? そんな事無理なのに、なんと罪深い」
一方的な裁判で有罪判決を言い渡すエリシオですが、相変わらず大掛かりな舞台装置の準備にこだわる上に今回自ら裁判官役を執り行っていて、冷静に見ると結構シュールな絵面です……(笑)
エリシオが言い渡したのは究極の二択の刑。みくと他の客から天秤型装置(だからそういうディティールにこだわるのはなんなのかこの人)を使ってキラキラルを奪っていき、ショコラが助けたいと願った方だけを解放するという陰険なものであった。
装置を破壊しようとモンスターを振り切って攻撃するキュアショコラだが、装置はびくともせず。外部で変身した他のプリキュア達も、閉鎖空間に飛び込めない。
「なんで、こんな真似を……」
「見たいんですよ。あなたの闇を。感じていたはずです。何もかも守ろうとすれば、大切なものを失ってしまうかもしれない。大好きな相手を守るために身を削る行為には、限界がある。だから、どうぞ大切な妹を守るために、皆を切り捨ててください」
相変わらず当人の弱い部分をピンポイントで抉るエリシオ。
あきらが単なる義務感・使命感で自分や家族より他の人を優先しているというだけならまだしも、前回29話であきらは他人や周辺の事情に気を配るようになったきっかけとして病弱なみくの存在を上げているわけで、「大切な妹」抜きには「何もかも守ろうとする」心は成り立っていないというのが、複雑。前回と順番が逆だったら、ここのシーンの印象はかなり変わっていたと思います。
「確かに、言う通りなのかもしれない……私の想いは、矛盾しているのかもしれない」
ショコラの言葉に、不敵な笑みを浮かべるエリシオ。
「それでも! 私は絶対に、誰も犠牲にしない!」
その時、ショコラの結晶が姿を変え、立ち上がったショコラはなんと自らのキラキラルを捕まった人々すべてに分け与える!
あまりの行いに嘲笑するエリシオだが、ショコラが差し出したキラキラルはエリシオの予想をはるかに超えており、天秤型装置は容量オーバーで爆発!
「みんなの事を大切に想って、何が悪い!」
格好よく決めたキュアショコラですが、キラキラルを使いきって満身創痍だし、エリシオが予想を甘く見積もったというのは単なる偶然でしかなく、下手をしたら自分を含めた全員が壊滅という分の悪い賭け。
前回のキュアマカロンが「自己の肯定」なのに対してキュアショコラが「自己の犠牲」に向かうのは筋が通るし、手段としてこれ以外になかったのはわかりますが、文字通りに犬死に寸前だったわけで、勝ったという結果があるから正当化された感じに。
私が個人的にあきら/キュアショコラに対して(「嫌い」というほどではないけど)あまり好印象を抱いていないのもあって、かなり厳し目に見てしまっていますが、正直手放しでキュアショコラ格好いいで褒められるシーンではないように思います(^^;
満身創痍のショコラに今こそ好機と攻撃を仕掛けるエリシオだが、溢れた全員のキラキラルがそれを阻止。
今回良かったのは、ここでキュアショコラを助けるのは、外部から他のプリキュアメンバーが入ってくるのではなくキュアショコラが身を呈して守った人々だというところ。
ショコラ/あきらの想いを妹のみくを含むここにいる全員が悪意だと感じておらず、その想いを真剣に受け止めているからショコラを助けるために周りの人間も戦おうとする、というのは単純に美しいし、自身を削る代わりに人々を犠牲にしないというショコラを、他のプリキュア(ヒーロー)ではなく直接キュアショコラの挺身の恩恵を受ける人々が守ることで間接的に自己犠牲も否定したわけで、一安心。
まあキュアショコラ、そういう人々の見返りとか抜きに命を投げ捨てようとしていたわけで、これが「ヒーローとして当然」とも「結局他人との信頼関係を大事にできてない」とも取れるのが、かなり困ったところですが(^^;
直後、法廷の障壁をなんとか破った他のメンバーが突入し、戦闘の末にトランプのモンスターは浄化。エリシオは撤退。
夕方、医務室で休んでいたはずのあきらの姿が見えないことを心配するいちかたちだが、あきらはクッキーを作ってファンクラブの会員に配っていたのであった。
「一番大切な人が何人もいたって、問題ないでしょ?」
ゆかりがいちかやあきらの名前を持ち出さなかったことに安堵するべきかがっかりするべきなのかわかりませんが、それはそれとして、今回の話は完全に外側にいたはずなのになんとなく話をまとめた(笑)
ゆかりさん、自分用に特大クッキー隠し持ってたりしないだろうか。
そして姉にクッキーを渡そうとして緊張するみくに、「早く喜ばせてあげて」とひと押しするゆかり。みくは姉に思いを伝えられ、姉妹揃って笑顔を見せるのであった。
うーん、書いている内容自体は嫌いじゃないですが、どうにもキュアショコラに対して個人的にもう一つ肯定的に見れないというのが、大きなネックになっているという印象のエピソード(^^;
今作のプリキュアメンバー、ほとんどを好意的に見れている中で一人だけ未だに引っかからないのが厳しいのですが、作品が描いているものを考えたらこれだけ違う方向を向いているキャラ造形ができているのはむしろ歓迎するべき部分で、結構厄介。
次回、いちかの母リターンズ。